簡単に聞こえるけど

2017-02-10 06:43

Tim Cookがグラスゴー大学から名誉学位を受け取ったのだそうな。そのあと学生たちからの質問に答えた。その中にこんな言葉があった。

I met a CEO for the first time that was totally focused on basically one thing: making great products. He had a focus that was unlike any other. His thinking was so pure. He wasn't trying to maximize his wealth or anything else. He really understood the sort of things we work on, and the results that come from those things, and he separated those two.

引用元:Tim Cook Chats With Students After Receiving Honorary Degree From University of Glasgow - Mac Rumors

いいかげんな訳:たった一つのこと:偉大な製品を作ることだけにフォーカスしているCEOに会ったのは初めてだった。彼はみたことがないほどそれに集中していた。彼の思考は純粋だった。彼は自分の財産を増やそうとかそんなことは一切やらなかった。彼は我々がやろうとしていること(訳注:偉大な製品をつくること)とその結果(売り上げ、利益、etc)をよく理解していて、それらを分けて考えていた。

訳注のところは、Youtubeビデオ(49:42あたり)から聞き取って私が付け加えたこと。だから当然間違いの可能性は高い。


これが当たり前のことと思われるだろうか?多くの企業が「売上、利益、成長率」ばかり考えていないだろうか?時々聞こえてくる理屈というのは

「偉大なサービスを作って、それが受け入れられれば、売上、利益が上がるはずだ」

というものがあるが、これは能無し経営者の寝言としかいいようがない。偉大な製品を作ったからといって、それが必ずしも金に結びつくわけではない。私の考えでは前述した寝言をいう経営者というのは

「私は何がいいサービスで、何が悪いサービスか判断することができず、またその責任を追う勇気もありません。ですから売上、利益という数字にその判断を委ねています」

と公言しているようなものである。納得できないというなら、現代に生きる日本人ほとんどが納得できる例をあげよう。AKBだ。あの

「顔もスタイルも悪く、頭も悪く、歌は素人以下で踊りもできない少女の集団」

が偉大な売上と利益を上げている。これは「AKBが偉大な歌手」であることを証明していると思うか?

この「サービスの偉大さ」というのはまだ誰も定量化に成功したことがない指標だ。それゆえ「何でも定量化」にすがりつく人間には手に負えない代物でもある。

しかし

人間の直感とか無意識というものは時として非常に懸命な判断を下す。そうはいってもよくわからないな、と思ったらこの問いに答えてみればよい

「あんたがやっている製品、サービスは偉大なものか?これは私がやりました、と他人に自慢したくなるか?」