Slowish TV

2017-05-22 07:20

Apple TVのCBSでSunday Morningというコーナーを見るのが好きである。とにかくのんびりとした景色が映し出される。平和だ。家ではけたたましい喋り声に満ちたTVを付けっ放しにしていないと落ち着かない病気の人が一人いる。その人がでかければCBSのSunday Morningである。

そこでノルウェーのSlow TVというものをやっていた。暖炉で薪が燃える様子をひたすら写し続ける。あるいは鉄道旅の様子をひたすら実況する。

とにかく日本のTVは騒がしい。わびさびだの、余白の美だのは遠い世界の寝言のように音と色と情報を詰め込まないと不安に陥るらしい。この病気についてはいろいろ考えなければならないが、今日述べたいのはSlow TVではなく、"Slowish TV"である。

話はこうだ。今やケーブルTVも含めればTVのチャンネル数というのは莫大に増えつつある。つまり万人受けする映像ばかり作らなくてもいいのだ。とはいえ予算は少ない。どうするか。

Slow TVでは「何も起こらない」Slowish TVは「長さはSlow TVと同じくらいだが何かが起こる」

事件を後で映像にする時は、「無駄な時間」を全部カットする。だから短い時間に出来事が立て続けに起こったように思える。しかし現実はそんなものではない。ひどい事件でもほとんどの時間は何も起こっていないのだ。

美しい山間の小川を水が流れて行く。1時間後に人影が現れる。人はだんだん増えて行き、、、

おそらく相当の暇人というのが世のなかに存在し、この様子をtwitterで告げる。すると多くの人がチャンネルを合わせる。何がおこるのか。しかし肩すかしのように人々は消える。

「何が起こるか、いつ起こるかわからない」この番組を全部見る暇な人は少数でもいいのだ。今やその少数の人が強力な発信手段を持つようになった。24時間の間に起こる事件はほんの些細なもの。些細なことでも構わない。それをリアルタイムで目撃するため人はチャンネルを合わせる。

これなら制作費もあまりかかんないと思うのだが、どうですかねえ。シナリオライターに十分な金と時間をあげて、いい「作品」を作ればいけるような気がするんですけど。誰も見ないよな「釣りチャンネル」とか流しているくらいなら、こんなチャンネルが一つあってもいいんじゃないですか。