題名:HappyDays-15-16章

五郎の入り口に戻る

 

日付:1998/7/25


15章:1993年最後の合コン

 

その日、寮の前のバス停でSGと一緒になった私は中日ビルの一階をめざして歩いていた。

表向きはにこやかにSGと談笑していた私であるが、実は内心ある不安を抱えていたのである。きっかけは昨日YDがつたえてくれた妹のせりふ「年が同じくらいのN2号と話したかった」である。

私はYD合コンリターンマッチにおいて特に意識せず妹さんと会話をしていた。しかし実際のところ妹さんのほうはあまりおもしろがっていなかったのではないか。そしてそれは妹さんとの年齢ギャップによるものではないかという考えが頭を離れなくなっていたのである。

なるほどここからYD合コンにおいては(少なくとも2次会では)席順を慎重に選択するべきであったという教訓と反省が得られる。しかし本日は相手がみんな22ー23の女の子だ。最低でも私より7つ年が若いわけである。はたしてもし相手が年齢ギャップを感じて何となく不満そうにしていた場合どうすればいいのだろうか。KNが最初に声をかけてくれたときは何も考えずに承諾した私であったが、ここにきて妙な不安に駆られだしたのである。

 

さて私が不安にかられていようがいまいがそんなことは関係無しに、我々は中日ビルの一階に到着した。異様な混み方である。しばらくSGとふたりでうろうろしたあげく、声をかけられたのでふりかえってみればCであった。彼に今日は異様に混んでいる、と言うと彼は次のような見解を披露してくれた。

「Mr.Kと同じで、今日がクリスマスをひとりですごさないためのタイムリミットだと思っている人がたくさんいるんですよ。さっきから見てるけど忘年会で待ち合わせをしているようには到底見えなくて、合コンの待ち合わせだという感じの連中ばかりですから」

なるほどさもありなん。確かにそこらへんをうろちょろしているのは若い男あるいは女の4ー5人の集団ばかりだ。

ほどなくして待ち合わせ時間になったがまだほかのメンバはこないのである。待っている間に先ほどのCの発言の「Mr.K と同じで」というところが気にかかったので問いただしてみると、「パンスト2号は彼女の方に昔から思っていた人がいて、それとうまくいったということでちょん。保母さんのほうは結局電話がないままなんじゃないですか」という返事であった。いろいろあったが結局彼もてぶらだということだ。

さてKNとMr.Kはほどなく来たが、KBは20分近くおくれた。その間にKNはすでに相手をみつけて、我々にこういう感想をきかせてくれた。「えらい気合いはいっているけど、やっぱり若いなあ」このセリフを聞いて私の不安が倍増されたことは述べるまでもない。さていよいよ彼女達と対面する時間となった。

 

初対面は、非常に印象的であった。いわゆるGood News, Bad News stuffである。最初にGood Newsである。まず最初少し見ただけで、過去の合コンで出会った女の子達と比較して、彼女たちは非常に美しい方々であることがわかった。おそらく大坪くんが経験した二桁の上のほうに達するであろう合コンのなかでの上からかぞえて3番をくだることがないだろう。

Bad Newsというのが、彼女たちがキャピキャピ系統の女の子達のように見えたことである。私はずっと抱いてきた悪い予感が現実になることを恐れた。しかしこの際そんなことを言っても始まらない。彼女たちのほうを見てにっこり笑うと宴会場所に向かい始めたのである。

宴会場所は11月の初め以来3回目の利用となる贔屓屋である。なれた様子で私は扉をくぐったが、私の前を歩いていたMr.Kはいきなり扉の上の端に頭をぶつけていた。この店は昔の家の雰囲気をだすために妙に入り口の扉が異様に低いのである。

さて我々は案内されてしゅくしゅくと予約してあった場所に向かった。そしてその途中に異様な光景を目にすることになった。

それはおそらく3組以上の合コン以外とは考えられない集団であった。なぜ合コン以外とは考えられないか?まず第一に彼らはだいたい同数の男女で構成された総計8ー10名の集団である。第二に異様に雰囲気がかたい。合コンの始まる時によくみられるあの感じである。おそらくCの予想は正しかったのだろう。あの妙に殺気を含んだ雰囲気はクリスマスを一人ですごしはしないという気合いの現れなのかもしれない。

さて例によって最初の座席をきめる際には多少の混乱があった。なんだかんだと決まったのが以下の配置である。

さてこの座席を見ると、変なことに女性である豊田とSheeda1号がとなりあって座っているのである。かといって女の子があまっていたわけでもない。後になって判明したが多分この二人は結構な仲良し同士なのだろう。

私の右隣はわりとおちついた感じのSheeda2号である。(これも後で判明したことであるが、彼女だけひとつ年上なのだそうだ)これで少し安心した。

さてとなりに誰が座るのかなと思って左を見た瞬間に、豊田のあんよが目に入ったので私の心の動揺はひとかどのものではなかった。(彼女はながーいセータの様なものを着ていた。つまりいきなりセータの次にはストッキングがくるのである)彼女はこの中で一番若々しく見えた女の子なのである。再び私は妙な不安に駆られだした。

さてこの合コンで珍しいことは、最初に自己紹介がなかったことである。いきなりみんな乾杯をして歓談の時間となったのである。

さて今回の会話は基本的に(1)私の右側の4人と(2)私の左側の6人というパターンで進んでいた。(どうも最近二人の世界がたくさんできる合コンが少ないような気がするのは私の気のせいだろうか。)さて4+6では10にしかならない。間でポツネンとしているのが私と鈴木である。とはいっても私がポツネンとしていると、Mr.KとKBが結構助け船をだしてくれたので非常に助かった。

さて左側に座っている豊田に意味のない恐怖を感じていた私は基本的に右を向いて話すことを心がけたのである。右に座っているのは中井美穂ことSheeda2号である。彼女は私の意見によれば、プロ野球ニュースの司会をしている中井美穂に似ている。しかしこの意見は誰も支持してくれなかった。Sheeda2号自身も賛成しなかった。そこで「きっと笑うともっと似ているから(にっ)こういうふうに笑ってごらん」と言ったら「あなたのほうが似ているわよ」と言われてしまった。

さて気がつくと私の右側は4人でもりあがりはじめた。となると私には二つしか選択肢は残らないことになる。ひとりでぽつねんとしているか、妙な恐怖心を捨てて左に座っている非常に若い感じの豊田としゃべるかである。選択肢がある限りひとりでぽつねんとしているのはいやだ。というわけで左側のおねえちゃんに話しかけてみたのである。

彼女は豊田市で働いているのである。最初の印象とは裏腹に非常に素直な明るい感じのこであった。非常に素直に人の話を聞いてくれるので、ついついきゃんきゃんと話したあげく「会社でもてるでしょう。それだけかわいければ」と何回も連呼してしまった。私は口は軽いがうそは言わない。従って彼女に言ったのも私の考えるところの真実であったのだが、どうもそうはとってもらえなかったようだ。

さて、彼女は「あっちの彼女の方がずっともてるんですよ」と言った。見れば先ほど「バレーの大林に似ている」と評判であった通称大林が座っている。なるほど確かに彼女はかわいい。 そこで豊田に向かって「本当の大林がこれくらいかわいかったら今頃国民的アイドルになっているよ」と言った。すると豊田は「それを彼女に言ったら」と言ったがそんなことを机をはさんで大きな声でいうわけにもいかない。従って黙っていた。そうしていたらいきなり豊田は机の向こうにすわっている大林にそれを言い出した。彼女がどのような反応をみせていたかまったく覚えていない。

そこで誰かからよこやりがはいった。内容は全く覚えいていないが、これで豊田との会話がとぎれた。従って再び右隣のSheeda2号と話をする事になった。

 

最近のドラマでホモが登場するのがある、という話題にしているうちにどう話が続いたかしらないが、今度ゲイバーツアーをやろうとういう話になった。Sheeda二号によると、いっぺんゲイバーに行ってみたいのであるが、誰もいっしょについて行ってくれないのだそうである。私もゲイバーというところは噂だけ聞いて、行ったことがなかったので、「いっしょにゲイバーツアーをやろうじゃん」と提案したのである。連絡をとるために自宅の電話番号をわたそうと思ったが、筆記具がなかったので、名刺を渡した。とはいっても、このときはツアーの成立にそんなに成算があったわけではない。-過去の例からすると名刺を渡して電話がかかってくる確率は1割以下である-なぜもっと成算の高い「電話番号教えて」攻撃にでなかったか?基本的に私は及び腰であることと、それほど気合いが入っていなかったということなのだろう。「あたればめっけもの」状態であったわけだ。しかし後で考えてみればこれが「あたる」わけはなかったのである。

とにかくその後に私はこれまたTraditionalな話のネタである「ロリエセイフティー大坪」の話をした。某女性用生理用品の「夜でも安心」というキャッチフレーズが似合うくらい大坪君は人畜無害だという話である。従ってゲイバーツアーにつれていくには格好の人物ですよというやつである。普通この話はうける。ところが彼女の反応は一種理解しがたいものであった。(まじめ顔で)「まじめな顔してそんなこと言わないでください。」???

 

さてそうこう話しているうちにいきなり大林が私のほうをむいて「蝶ネクタイがにあうんじゃない?」と言った。そして彼女の友達達は、「始まった始まった。」などと言っていた。詳しくは聞けなかったが、大林は宴会でそういった脈絡のないことを叫びまくるのが常な様である。女の子の言葉によれば、こんなのは序の口であり、あとはとめどもなく意味のない発言が続くであろうということであったが、結局私が聞いたのはこの発言だけだった。

さて残りの女性についても書いておくのが礼儀というものだろう。Sheeda1号というのはとくに特徴のない子であった。とはいっても彼女は6人のなかで2人しかいない彼氏持ちのうちの一人なのであるが。次は幹事のドラム娘である。彼女は短大時代バンドをやっていて、大林がキーボードっだったそうである。大林を我々のバンド(C,私、ST、YZ)に迎えるという話は、私の「私はいままで3回しかドラムセットの前に座ったことがない」というセリフを聞いて大林が沈黙したためなんとなく没となった。最後は乗りの悪い女の子鈴木である。(どうも最近の合コンでは必ずこういうタイプが一人はいる)彼女だけは本名だ。だって特徴がないんだもん。合コンの最初でいきなりMr.Kが肩に手を回したので、本気で彼女は怒っていた。そしてあまり会話に参加はしていなかった。これは彼女の左に座っているMr.Kは反対側を向いて盛り上がっているし、右に座っているCは基本的に大林のほうばかりみていたからともいえる。しかし私は彼女は基本的にのりが悪いのではないかと思う。

さて今回の合コンではMr.Kが英語でしゃべりまくっていた。自分では単なる酔っぱらいだといっていたが、それでもほとんどかつての私と同じくらいのペースで英語でしゃべっていた。これには驚かされた。おまけに合コンでCをキャサリンと呼んで、その語源を説明するのは通常私の役なのであるが、今回の合コンではMr.Kがそれをやっていた。というわけで彼はきわめて快調であったわけだ。もっともなぜかSheeda2号にむかって「アジャコングに似ている」などといっておしぼりをぶつけられていたが。

この合コンは結構もりあがったので、ほかにも書くことはいろいろあるのであるが、とりあえずここらへんにしておこう。珍しく今回は男の子及び女の子に隠された意図が交錯したのでそちらを書いたほうがおもしろいと思われるからである。

 

さて一次会の場所を離れた我々は下りのエレベータを待っていた。その場所にいたのは男の子と幹事であるドラム娘である。(ほかの女の子は先にエレベータでおりていた。)突然誰かがドラム娘に「あのなかで誰が彼氏がいるの?」と聞いた。

当時の私は若い女の子達ととりあえず平和のうちに会話ができたことだけで大変幸せだったので何も考えずこのやりとりをハタで聞いていたのだが、これこそが合コンに参加した男の子達の最大の関心事であったのだ。あとから判明したのだが、この合コンに参加した男の子のうち有効投票数4(別途彼女がいるKNと若い女の子と話せただけで幸せになっている私をのぞく)のうち3人までが大林を気に入っていたのである。

さてここでドラム娘の答え。「大林とSheeda1号には彼氏がいる」

私は(なるほど。大林かわいいもんな)と思った。しかし今から考えれば3人の男の子は内心こけていたのである。

さて男の子が内心こけていようがいまいが、集団は2次会のカラオケに向かい始めた。道の途中で「ある男」に「誰がよかった?」と聞くと、彼の答えは「豊田」であった。そして私は彼女が非常に素直な感じの子であることを説明し、彼の幸せを祈ったのである。

さてSGと少し話したら、彼は2次会に行かずに帰ると言った。そのセリフを聞いて私も急にかえりたくなった。明日は明日でひるまっからK島のカラオケツアーが待っているのである。なんだか疲れているし、さっさと帰って寝たくなった。というわけであっさりみんなと別れてSGとふたりで寮に帰った。そして安らかな眠りについた。

 

これはいつものパターンだ。少なくとも私にとっては。しかしこの時間、男の子と女の子達の間ではまだ戦いが続いていたのである。

 

16章:長い夜

 

さて翌週、他の連中がカラオケに言った後どうなったのかなーと思っていた時、Cがたまたま私の席に来た。そして次のような話をしてくれた。

カラオケに行った一団は結局午前1時まで騒いでいた。Cの話によると行った場所には英語の曲がかなりあって、彼はJohny Be goodを歌ってごきげんだったそうである。さていきなり(というかこれがふつうだと思うのだが)豊田が終電がなくなるので帰ると言い出した。おまけに彼女は栄の駅の場所がわからないと言ったのである。「ある男」(私との会話で「豊田が良い」と言った男である。)がこのチャンスを逃すわけがない。彼はさっそく「じゃあぼくが送っていくよ」とかなんとか言って、豊田を栄駅までつれていったのである。このとき内心こけていた残りの男の子たちは別に異議をとなえる気もしなかったであろう。

さて駅までの道のりにおいて「ある男」は首尾良く豊田と電話番号の交換をすることに成功した。彼としては万々歳という状況になるはずであった。「クリスマスを一人で過ごさないためのタイムリミット」であるといわれた今日、まさにその日において彼は幸運をつかんだのである。ところがそう簡単には話は進まない。

結局彼らは1時までさわいだあげく、ようやくお開きにしようということになった。その時彼らが使用できた車は二台。つまりKN号と「その男」の車である。これでみんなを送っていくことになったのであるが、問題が一つあった。この合コンに来るにあたって、Sheeda二号とドラム娘は「友達の家に泊まるって言ってきたの」ちゃん だったのである。従って彼女たちはどこかで夜を明かさなくてはいけないわけだ。そして同時に(これが話を複雑かつ興味深くしたのであるが)Sheeda二号は「その男」を結構気に入っていたらしいのである。

さて「その男」の車にはCとSheeda二号が乗ることになった。Cを送った後、「その男」は自分を気にっていて、おまけに「今日は帰らない」状態のSheeda二号と二人で車の中にとりのこされたわけである。彼は確かに幸運をつかんではいるが、一つ間違えば総てをご破算にしかねない状態においこまれたのである。

Cの言葉を借りれば、このときSheeda二号は「どうにでもして」状態だったそうである。しかし「その男」も馬鹿ではない。どこかで時間をつぶして結局朝の六時半にSheeda二号を送って行って、ちょんとしたそうである。

 

さて水曜日。「その男」はお目当てである豊田に電話をした。するといきなり豊田は「そういえばこの前、Sheeda二号と朝の六時半まで一緒にいたんだって?」と言った。その時の「その男」の心境やいかに。なんら彼はやましい行動をしてはいないといえ、突然そう指摘されたときの心の動揺はいかばかりであっただろうか。しかし彼はなんとか自分の身の潔白を証明したそうである。

Cはさらに次の話を付け足した。その後か前かはしらないが、「その男」がすでに豊田と電話番号交換をしていたと知ったときの「Sheeda二号」の反応。

「そんなこと別に関係ないじゃない」

Oh. God.....

 

いつかねるとん紅鯨団で、一〇代の男の子女の子を集めての「若いってすばらしい」特集があった。この番組では必ず誰にも声をかけられず、あぶれる女性が何人か存在する。二〇代以上の女の子であればなんとなく侮辱されたような感じをいだきながら、TVカメラを避けるようにして足早に歩き去っていく。しかしこの「若いってすばらしい」特集ではあぶれた女の子たちの反応は違った。

「あったまきちゃうわよね」

「あの男たちどこに目をつけてんのかしらね」

といいながら歩き去っていったのである。こういう話を聞けば三〇代の私としては「若いってすばらしい」としか言いようがない。

 

Well.Sheeda二号、その男の話は二〇代の人たちの話である。しかし三〇代の私はこのセリフを繰り返そう。「若いってすばらしい。。。。」


注釈

パンスト2号:彼女が何者であるかはHappyDays4章参照のこと。本文に戻る

 

クリスマスを一人ですごしはしない:(トピック一覧)最近はどうか知らないが、このころはクリスマスを一人で過ごすことに対して強迫観念的な恐怖感がはびこった時期でもあった。私もこのころはまだ"Who Cares?"などと言っていた。最近は気にもしないが。本文に戻る

 

私は口は軽いがうそは言わない:(トピック一覧)女性にほめ言葉を言うと、必ず「うそでしょー。」とか言われるが、私は嘘はつかない。美人だと思わない相手に美人と言ったことはないのだが、どうも信じてもらえないようだ。本文に戻る

 

確かに彼女はかわいい:合コン後のCの感想。「かわいい子が多かったですけど、大林はズバ抜けてましたね。」本文に戻る

 

ロリエセイフティー大坪:(トピック一覧)昔はこの言葉を振り回して「五郎ちゃんは安全なんだよーん」と騒いでいたが、最近は昔に比べれば安全でなくなったかもしれない。いろいろ月日を積み重ねると「安全であるが故に相手の怒りをかうこともある」という事実にたくさんつきあたってしまう。「安全」であるよりは「妥当」であろうとしている、というところだろうか。本文に戻る

 

英語の曲がかなりあって:この合コンが行われた頃は、まだ通信カラオケがあまり普及していない頃だった。従ってたいていのカラオケの場所にある曲数はいまよりもずっと少なく、洋楽好きの我々が英語の歌を歌うなんてのは不可能に近かったのである。それでもたまにはこうした英語の曲がてんこもりの場所があり、我々の憩いの場となっていた。本文に戻る

 

「友達の家に泊まるって言ってきたの」ちゃん : 吉田戦車作「たたかえ!軍人君」(参考文献一覧)のなかにでてくる「ときめき少女爆弾」の2号。1号は確か「やさしくしてねちゃん」3号は「もう子供じゃないのちゃん」だったと思う。本文に戻る