題名:HappyDays-56章

五郎の入り口に戻る

 

日付:1999/6/1


56章:敗北

さて土曜日、私は一日中ねて体力を温存した後に、栄にむかった。

水分橋で到着したバスに乗り込もうと思ったら、美人が目にはいった。瞬間「不吉」ということばが私の頭に浮かんだ。しかしとりあえず美人は一人だけだ。。。

 

いろいろと買い物をしてから中日ビルにいった。例によって最近凝っている北朝鮮の本を立ったまま読んでいた。結構おもしろい本なので、時間を忘れて読みふけっていたが、考えてみたら約束の時間の3分前になっていた。どうして誰も現れないんだ?

いつもの強迫観念にまさにおそわれてようとしたときに、大正生命の姿が目に入った。彼女は前回とうってかわって結構着飾った格好をしていた。(前回もそんなに変な格好をしていたわけではないが)彼女とへれへれと話をしているとHNYが到着した。

ほどなくN2号も到着することになった。男はあらかたそろったのに女の子はまだである。しかしながら幹事の大正生命がすでに到着している以上、待ち合わせ場所を間違えた可能性はないわけだ。

ほどなくして大正生命が一人女の子をみつけたようだ。これが後にVery Tallと呼ばれる女の子である。彼女は女性にしては異様に背が高い。ひょっとしたら170以上かもしれない。

まもなくCも来た。次に現れたのはウーロン茶である。なぜウーロン茶か?彼女はとっても清楚なかざらない感じの女の子で、サントリーのウーロン茶の宣伝にでてくる中国娘のような感じなのである。

さてここから結構間があいた後に、最後の「遅刻」が現れた。私は正直言ってほっとした。今日の出席者はみな結構可愛く、Cの厳しい基準もなんなくクリアできそうだったからである。

さてめでたく全員そろったので、浪漫亭に向か始めた。交差点を渡って、誰かがいるなと思えばCOWである。彼は野球の飲み会のようであった。これ幸いとばかり「来週合コンあるけどくる?」と聞いたら「来週はいない」と言われてしまった。横断歩道上で話をしていたので、「バイバイ」したが、これでまた人捜しは振り出しに戻ってしまった。

さて隣にはHNYが歩いている。私はこの男に泣きつこうときめた。相手の条件に30を越えていること、というのがあったが私はHNYが30を越えているかどうか今一つ自信がもてなかった。しかしこの際そんなことは言っていられない。

彼に依頼したところ承諾を得た。これでようやく私は合コンの人集めの苦労からしばらくの間解放されることになった。

 

さてなんとかお目当ての浪漫亭についてみると、案内されたのは初めて使う2階席である。まず男の子を互い違いに立たせた後、女の子に座ってもらった。決まった配置は以下の通りである。

さてこの配置であるが、まあだいたい妥当な物と言えよう。ただしN2号にとって隣はかなり年上の大正生命であったので今一つ気の毒な配置だったかもしれない。まあしかし私が大正生命の話し相手になればよいだけのことである。

さて乾杯の前から例によって自己紹介を始めた。最初は結構おとなしく進んでいったが、私のところでいきなり「遅刻」が「どんなお仕事なんですか?」と聞き出した。私がごにょごにょ言っていると、誰かが適当に答えていたような気がする。これで結構場がやわらいだので、私としては安心である。

さて乾杯の後にフリータイムとなった。会話のパターンは右と左の4対4である。これこれと話している内に、私の隣のVery Tallはけっこうぼけた感じのおもしろい女の子であることに気がついた。彼女は大正生命に入社したばかりの新入社員なのである。合コンの数をきいてみたところ「そんなに多くないですよ、半年で10回くらいかな」と答えた。

私はたまげた。「趣味は」と言われれば、「合コン」と答える大坪君でも1年で20回ちょっとである。この女の子は、半年で10回ということは私と同じペースで合コンをしていながら、平然としているじゃないか。。。。

彼女にいわせれば、はいってすぐの4月5月にたくさんおさそいがあって、最近は無いそうである。そういった偉大なチャンスを彼女は「ぼーっとしていて」何も無しにしてしまったのだそうだ。そう言われながらも彼女は結構性格がよさそうなので、「アプローチされたけど、きがつかなかったんじゃない?」と聞いたが、彼女は首をかしげて笑っただけだった。

さてこちらのサイドの会話はてれてれと進んでいった。反対側の4人の会話については何もわからない。CはときどきVeryTallとも話していたような気がする。N2号はこの一次会では比較的静かであった。しかしながら彼の話した「大学時代に自動販売機を破壊してなかの紅茶をとりだした」と「新人勧誘でいきなり”君は彼女はいるか”と聞かれた」話はかなりの傑作であった。彼は空手青年であり、どこの空手部でもこういったかなり傑作なエピソードというのはもっているようである。

 

さてなんだかんだの盛り上がりの内に、一次会がお開きの時間となった。外に出て2次会の相談を始めた。VeryTallの「あまり騒がしくないことろ」という要望に従って、我々はバーを目指して動き始めた。

バーに向かう途中で私は初めて遅刻と話すことができた。彼女が言うには「2次会にすごく行きたいんですけど、明日会社の運動会があるものですから、帰ります。またお願いします」だそうである。この季節になると4駒漫画に会社の運動会ネタは満ちあふれている。しかしながら「そんな風習はまだ存在している物だろうか」と私はいささか懐疑的であった。本当にやっている会社がこんな身近に存在しているとは。。

私は「なるほど。しかしまあ10月22日をすぎたら私は合コンをやりませんから、もうお会いする機会もありませんね、はっはっっは」と答えた。

その会話を前で聞いていたと思われる大正生命は「遅刻ちゃんの魅力を持って頼めば、大坪さんも合コンを企画してくれるわよ。私は断られたけどね」といきなり後ろを振り返りながら言った。最後の文章が典型的な「余分な一言」であろう。しかしとりあえず気にしないことにした。

さてバーにあがって、適当に決まったのが以下の配置である。

この配置はまああまり一次会と変わっていないといえる。結局私はウーロン茶と話す機会はないのである。まあ別に良いことだが。

さて会話はつつがなく進んでいった。例によってCはチーズが食べられないので、みんながパイナップルチーズをおいしいと言って食べていても素知らぬ顔なのである。Cはチーズが食べられないんだよ、とVery Tallに言ったら、「それじゃ人生の楽しみの1/3を知らないようなものじゃないですか」と言った。それじゃあなたの人生の楽しみの1/3はチーズなのかという皆の指摘に彼女は「文系ですから数字弱いんです」とわけのわからない答えをしていた。

 

さて話はN2号の「友達と朝の6時半に浜名湖インターで待ち合わせして富士山に行った」話に進んでいった。そこでいきなり前に座っていたVery Tallが「それいいですね」と言った。次の瞬間N2号が「じゃやる?」と言った。

参加メンバをつのったことろ、隣で聞いていたCが「行く」と手を上げた。次にN2号が私の顔を見た。私は「私の顔をみるんじゃない」と叫んだが、すったもんだの交渉の末に結局おしきられることになった。なんてことだ。合コン引退宣言をしてから数週間。こんなに早くくずれるとは。これで私は自分のおごりで新年会をせねばならぬはめになった。

N2号は「禁欲期間を一ヶ月のばせばいいじゃないですか」と言った。Cにそういったら鼻で笑われた。私は頭を抱えた。10月23日以降の心静かな日々などというものは所詮夢だったのだろうか?

 

さて2次会も結構なもりあがりのうちに幕を閉じた。私は有無を言わせず栄駅に向かい始めた。HNYとならんで話していた。私は「来週は今日ほど可愛いのはきませんが、まあ楽しい飲み会ということで」といった。彼は「大坪さんはもう来週に気持ちがむいているわけ?それがいけないんじゃない?」と言った。

さてあっさりと我々は駅に着いた。そこで「パン喰い競争がありますから」といってVery Tallが帰った。さて我々もと思った瞬間、CとN2号が「カラオケ」といいだした。3次会まで行くなんてのはここ数年無かったことだ。

 

すったもんだの騒ぎの末に我々はいつものカラオケ屋にたどり着いた。途中Cに「どの子がいい」と聞いたら答えた「うーん。迷いますね」だそうである。なんと!この男から「うーん。」以外のリアクションを聞くのは数年ぶりだ。彼の言葉に寄れば彼の両隣(Verytallと遅刻)はどちらも大変いい子であるそうである。できればもう一度お話したいと。もっとも彼の観察に寄ればN2号はVery Tallが気にいっているようなので、彼としては遅刻にアタックしようかということらしい。こういう反応が聞けるとは、、、長生きしたかいがあったというものである。

 

さてカラオケであるが、これはいつもの合コンスペシャルというやつである。最初誰も歌わないので、のっけからHighWay Starをいれてしまった。とりあえずこういう馬鹿ソングを歌えばこの後歌う人は、選曲が楽になるだろうと言うのは言い訳である。単に私はこの歌を歌いたかったのである。

あとの人間の歌については特筆事項はない。HNYが「愛は勝つ」などちう軟弱な歌を歌っていて、私は発狂しそうになったが、どうということもない。

さて11時頃にその場をおひらきにして、皆で栄に向かった。CとN2号は、「サファリパークツアーよろしく」と言った。ふと我に返れば結局連絡先があるのはあいもかわらず私と大正生命のラインだけである。。。まあ実質的な幹事はN2号だからいっか。

 

翌日はツトム関係のBBQであった。幹事たるHNYの力量によって見事に企画され遂行されたBBQであった。いささか男女間の交流が少なかったきもするが、まあこんなものだろう。岐阜には「合コンよろしく」と念を推されてしまった。私の信条に従えば約束したことは何事も実行せねば、あるいは少なくとも実行するように努力せねばならない。。。。

 

月曜日にはいろいろな話があった。HNYが昼に来たので「どーもどーもごくろうさまでした」と挨拶をした。実際あいつのミスと言えば、油とアルミホイルを忘れたことくらいだ。

彼は久しぶりに登場したTVに「号コンしましょう」と言って名刺を渡していた。私は前向きな態度が好きである。それを褒め称えると、「いやそれをTallとひかるにチェックされてしまった。」と言っていた。それがどうしたというところである。彼は昨日のうちにツトムにお礼の電話をしたそうである。K島のときと違ってこのフォローのするどさ。実に関心するべきものがある。

Cからはメールがきた。彼の合コンは14日に決まったそうである。その合コンに参加が決まっているDは幹事であるツトムと同じ岡崎在住なので、「芋蔓をつかまえるんだ」とはりきっているのだそうである。私がひかるから別の合コンを頼まれていることを伝えると、「彼女たちは合コンまるけですね」と言っていた。彼の視線は、14日の合コンを既に飛び越えて、サファリパークに向かっているようだった。いずれにしろ前向きな態度というのは賞賛されてしかるべきものである。

 


注釈

合コンまるけ:この「まるけ」というのは「だらけ」の名古屋弁である。「ほこりだらけ」は名古屋弁では「ほこりまるけ」になる。本文に戻る