題名:Java Diary-99章

五 郎の 入り口に戻る
日付:2009/7/31
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Goromi-Tube Part5

荷物の受け渡しばかりやっていた9月は終り、いつしか10月の声が聞こえてくる。このころようやくログイン機能が動き始めた。やれ、こ れで履歴参照も”お気に入り登録”も自由自在だと喜ぶはそうはいかない。問題は前者にあった。

ア カウントでログインしたあとに使えば、履歴は自動的に残るものだと思っていたがそうでもないらしい。結局自分でリストを作り、それに登録 していくしかな い。面倒だなと思うがこしょこしょ作る。やれできた、と思ったら削除する機能を忘れていた。なぜ削除しなくてはならないかといえば、無限 に履歴を貯めるわ けにはいかないからだ。

この”一定件数を超えたら削除”が以外に難物であった。というか

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とここまで書いたところで、話はいきなり2年ほど飛ぶ。この後もGoromi-Tubeの開発は続き、Mashup Awardというイベントに参加したりもした。以下当時書いたBlogをそのまま転載する。

----(引用ここから)----

というわけで昨日(2009年11月29日)はMA5の表彰式に行ってきた。

一大レポートを書こうと思ったのだが、疲れてしまった。というわけで頭に残ったことをうだうだと。

・会場につく。リハーサルをやっているらしくしばらく入口の前で待つことになる。

・中にはいる。参加者の座席はクラス分けされており、SSとかSとかいうのがきっと優秀賞、特別賞なのだろうな、と思う。部門賞は A,B,C,Dと分けられているが、この文字列の順序には基本的に意味はないことを後で知る。

・オープニング。We will rock you のメロディにのってスクリーンになんかのアニメーションが流れる。凝っているのはわかるのだが。。。なんというか。。。

・司会者はおそらくプロの人。誰かがTwitterで書いていたが"どこかプロレスののり"である。呼ばれたらファイティングポーズでも 取らなければならないかと思う。

・最初に優秀賞の人たちのプレゼンテーション。

・一人目は渡邊ケイタさん。日常のちょっとした隙間時間に動画を見よう、というコンセプトで電子レンジとYoutube動画のマッシュ アップを提案。会場大受け。

いつもながらコンセプトはすばらしい。しかし実用にするにはまだいくつもハードルがある。そしてそのハードルは低いものではない。

というか渡邊さんが応募していることに全く気がつかなかったのはなぜだ>自分

プレゼンテーションは"スライド"を使うのではなく、一枚の連続した動画、という試みが興味深い。"止め"を使い、聴衆の視線を画面では なく、自分に集める試みがあったら、よりおもしろかったかもしれない。

・二人目(ちょっと順序不同)はOpenSocial Dashboard。ををこんなことが。これは便利そう。帰ったら使おうと決心する。プレゼンもきっちり時間どおりでおみごと。

・三人目はradioooo。Youtubeの音楽コンテンツを連続的に流すもの。それだけだったら新しくないが、リクエスト、フィード バックをTwitterを使って行うところが面白い。今回Twitter APIを使ったものが多かったと聞くが、こういう少しひねった 使い道に興味を覚える。

・4人目がSocialCombat V 唯一プレゼンがうまくいかなかった。4回ネット接続にトライしたがつながらず、売りの場面を見せることができなかった。バックアップの動画をとってい なかったのか。。
私自身はゲームをしないし、プレゼンからは何が面白いのかよくわからなかった。CombatとTwitterがどのように関係するかもわ からなかったし。

・最後がTRAVATAR。iPhoneアプリで、自分のアバターが勝手に他人のiPhoneにのりうつり旅をしてくれる、というもの。 途中の動画がAppleのiPhone CMのパロディになっており会場大受け。とはいえちょっと長かったかな?

・といったところで休憩時間。

・休憩時間の後は部門賞の発表。会場の脇に椅子が並べられ、Aから順にその椅子に座る。合図でぞろぞろとステージの上に登る。ここからは 流れ作業。

・スポンサーから商品を手渡される。カメラに向かって顔を作る。レッドカーペットにおりる、という一連の行動が延々と繰り返される。プロ ジェクタに作品名と作者名が表示されるが、それが何かは全くわからない。

・受賞者欠席が結構いる。部門賞は交通費もでないし、仮に遠隔地にいれば確かに出席を見合わせることだってあろう。日程もあるしね。"面 白さ"を全面に押し出している某企業は鎌倉からくる交通費がなかったのだろうか?

しかしスポンサーの欠席の多さには驚いた。代理のリクルートの人は大活躍である。


・それが終わると今度は特別賞。こちらもどんな作品が受賞したかは名前でしかわからない。Twitterの書き込みから判断すると、特別 賞からは旅費が出るらしい。

U-23というカテゴリーがあり、高校生の方が受賞していた。私はo-50というカテゴリーの新設を提唱したい。(自分はまだ該当しない けどね)

・そのあとは最優秀賞の発表。受賞はSocialCombat V。ひとつだけ確かなのは、"当日のプレゼンは何の関係もない"ということか。

・審議が紛糾したとのことで、審査員特別賞がCast ovenに授与された。

・最後に受賞者全員が舞台に上がって記念撮影。総計50名以上が上るので、何がなにやら。

・そのあとは41Fにあがり、懇親会。何人かの方とお話させていただきました。ありがとうございました。話しているうち

"ああ、この人がKizasiのAPIを使っていたら、私はこの場にいなかったであろう"

と何度か考えた。

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というわけで帰り道にいくつかのことを考えた。特にWISH2009との比較だが。

・お金のかかり方には驚いた。WISHの菓子パンに比べれば懇親会の料理はすばらしい。

しかしそれとともにどこか

"心がこもっていない"

と感じたのも事実である。いや、これは表現がよくない。綿密に計画されたすばらしい式ではあった。しかし"開発者"の気持ちというものは 少しずれたところにある。

たとえばこうだ。部門賞の受賞者は、選んでくれた企業の人ともっと話したい、あれこれ要望を言ったり、感想を言ったりしたいと思っている のではないだろうか?(懇親会で話した人の中に具体的にそうした要望を述べた人もいた)もちろん理論的には懇親会でそういうことを試みる こともできる。しかしあの大きな場所で、自分が話したいAPI提供者を探すのは至難のわざだ。

できるだけ多くの人にスポットライトを当てたい、という気持ちは素晴らしい。しかしベルトコンベア式に壇上に上がって何がわかるのだろ う。懇親会で話しているとき何度か

"提供企業の方ですか?"

と言われた。他人がどんなもので受賞したか誰も覚えちゃいないのである。自分が壇上にいるとき10秒でもいいから自分の作品の動画、ある いはパワポ一枚を表示せてくれればな、、と私は考えたが。

授賞式に欠席するAPI提供企業の多さも少し気になりはした。企業ごとにいろいろなスタンスがあるとは思うが、"スポンサーしました。は いおしまい"と開発者の意欲にはちょとずれがある。

商品も実にさまざまだ。気になったのが"ノベルティグッズ詰め合わせ"。そもそも自社のノベルティグッズにどれくらい"客観的な"商品価 値があるか、そういう会社の人は考えたことがあるのかな?自分自身がノベルティグッズもらったらうれしいと思うのだろうか。

逆に開発者の気持ちを見事にくみ取ってくれた商品もあった。APIの無料使用権とかね。他に楽しい商品もたくさんあった。みそ一年分って どれくらいになるのだろう、とか。

私がきざしカンパニーさんからもらえたのは

"チロルチョコレートと紅茶の詰め合わせ"

もらった瞬間、

"これを持って帰れば奥さまに怒られない。ありがたや"

と思った。実際奥さまに見せたら

"○○(ブランド名。すいません。もう覚えちゃいません)?高級な紅茶じゃない。うれしー"

と大変ご機嫌であった。すいません。そんなすばらしいものをいただけたと全く気がついておりませんでした。豚に真珠、ブラに貧乳、猫にこ んばんわ、とはこのこと。きざしカンパニーの方。ありがとうございました。

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こうした"判断基準を定量化できない"コンテストは結果にあれこれ言ってもしょうがない。優秀賞の作品はひとつを除いて

"なるほど、これはとてもかなわない"

と思うものばかりであった。ではここで

MA5ごんざれふ大賞の発表です。

radiooooでしたー。実用的であり、かつTwitterを面白い使い方をしているところがすばらしいと思う。

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来年は、、、そもそも、、、

---------------(引用ここまで)---------------

ここで記事は終わっている。この後私が所属していた会社にとってはよいことがあった。大きな案件が形になり始めたのだ。私にとって不幸 だったのは、私がその案件の担当プロジェクトマネージャーであり、かつそれが私が最もやりたくない仕事だったことだ。

私は以前某自動車部品メーカの研究開発子会社に勤めていた。そこで

「車内でWeb上の情報を簡単に閲覧できます」

というシステムを作ろうとした。車の中だから細かい操作はできない。だからシステム側でがんばって必要な情報を抽出し、かつそれが信頼 のおける情報か、口コミかを識別して提示します。

きわめて常識的な内容だ、と私は思った。そしてその計画を親会社にいって発表したのである。

発表が終わってから15分ばかり私は罵声の嵐にさらされた。居並ぶ面々がこぞってこの計画を非難する。新しい計画に対して否定的な反応 があるのはまあお約束というやつ。その反応を受け止めて説明の仕方なり、計画を見直せばよろしい。

しかしこの場合はそうはいかなかった。罵声は飛んでくるのだが、どれだけ注意して聞き取ろうとしても何を言われているの かわからない。全く意味不明の罵声を浴びせ続けられるのはうれしいことではないし、役立てることもできない。

後日、ある親会社の人がこうコメントしたと聞いた。

「車の中でWebを見る理由を一つでもいいから教えてくれ」

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さて先ほど私が「一番やりたくない仕事」というのはその某自動車部品メーカーから来た仕事だった。内容は

「携帯電話を通じて、カーナビをインターネットに接続し、インターネット上のいろいろなサービスを利用する」

例えば検索ワードを入力するとその答えが返ってくる。リストをクリックすると情報が表示される。私が作ったも のよりずっと原始的なシステムでWebのインタフェースそのまま。

「車の中でWebを見る理由を一つでもいいから教えてくれ」

と言った会社から、これを実際のカーナビに乗せるSI屋としての仕事をやれ、とい うことになった。念の入った皮肉、とはこういうことか。

いや、仕事であれば楽しくやろう。某社が長年かけてつくりあげたカーナビプラットフォームの上にアプリケーションを乗せて行 く。このプラットフォームは。かかった費用、人月でいえばiOSやAndroidに引けをとらないと思う。しかしそのできばえについて 考える時、「2001年宇宙の旅」のあるシーンが思い出される。人猿が初めて手に入れた「道具」-骨を空に投げ上げる。するとそれが宇宙 船に な るシーンだ。某社のプラットフォームとiOSはこの骨と宇宙船位違う。

いや、仕事であるからつべこべ言わず載せてみせようではないか。仕事は粛々と進む。そこではっと我に返る。再びWISSに応募する機会 がある。問題は何をどう出すかだ。今は何もネタがない。

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注釈