題名:私のMacintosh

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41章:ハードディスクとの戦い

さて、前にこの「私のMacintosh」を書いたのは一年半前。その間にいろいろなことがあった。

メインで使っているマシンは2005年の8月に買ったPower Bookである。ハードディスクは(法則に従い)ほぼ充満状態で

「起動ディスクの空き容量が足りなくなりました」

というメッセージをおそれる状態であり、処理速度もいろいろな理由により我慢できなくなりつつあるのだが、まだ使っている。というわけで変化は少ないのだがトラブルは起こる。この一年半の間一番私を悩ましてくれたのはハードディスクだった。

9月の事である。私は某所に出張していた。そして退屈な講演を聴きながらパワーブックで何かを作っていた。あれこれやって

「たまには再起動をするか」

と思い再起動をかける。そこで何かの理由でPower Bookを鞄の上に置いた。(今書いていても愚かな行為だと思うが、実際にそうしたのだからしょうがない)

すると鞄が倒れた。そして物理的には当然だが、Power Bookは床の上に投げ出されたのである。

血も凍る思いをしながら私はPower Bookを取り上げる。良いニュースは少なくとも液晶に異常がないことだ。悪いニュースは起動画面からいつまでたっても変化がない点だ。おまけに変な音がしている。

う げげげげ、と思ってもなんともならない。その後もあれこれやったがそのうち冷徹な事実に直面することとなった。ハードディスクが壊れたのだ。再起動をかけ れば忙しくハードディスクにアクセスしに行くだろう。そのタイミングでごとん、と落とされたらそりゃ壊れるわな。さてどうしよう。

あ れこれ考えた私はふとある可能性に思い当たる。前に購入したPower Bookに自費で80GBのHDをつけていたではないか。あれを取り外してこれにつける、というのはどうだろう。あちらのPower Bookは丁度会社に返却したところだったのである。まだ会社の机の上に転がっている。であれば使わない手はない。
それまではいつもお世話 になっているAmuletに持ち込もうかと考えていたが、結構時間かかるし、おまけに作業料金もばかにならない。さらに店に取り付けを頼むとすれば、新 しいハードディスクを購入せねばならない。独身の頃だったら迷うことなくそうしただろうが今や金も時間も貴重な身分だ。

というわけであれこ れサイト上の情報をあさる。するとPower Book G4の分解手順を懇切丁寧に書いてくれているサイトがある。写真付きだ。これならなんとかなりそうである(Power Book 2400の分解は仮にそんな写真をみても自分でやろうとは思わないが)

というわけで、さっそく古いPower Bookを分解しはじめる。プリントアウトした分解手順の写真にあわせてはずしたねじをテープで留めていく。これぐらいしないと私は何をしでかすか分からない。特に 困難を覚えることもなく、ハードディスクをはずすことができた。次に新しいPower Bookを分解、こちらも特に問題はない。ハードディスクを交換するとくみ上げる。いつものことながら電源キーを押すときはどきどきである。

今回助かるのは、以前の内容がそのまま残っているということだ。順調に起動して立ち上がる。すばらしいぞ。これで費用0円で復活したではないか。もちろん失われたデータとかいろいろ問題はあるのだが、少なくとも直接お金が減ることはなかったのだ。

家に帰るとバックアップ(これは週に一回とっている)からデータを復旧させる。余分なものがはいるし、時々やはり肝心なものが無くなってしまったことに気がつくが全滅というわけではない。やれ、うれしや。

な どと平和に暮らすこと数ヶ月。今度は外付けハードディスクで災難が降ってきた。ある理由によって私はTvを録画してハードディスクにしこたま記録するよう になっていた。そしてこれも毎度のことであるが、どんなに巨大なハードディスクを購入したところで、いつか必ず「残りわずか」な状態になるのである。

それまでは「テラボックス」という4台HDを搭載しFire Wireで接続できるハードディスクケースを使っていた。それなりにちゃんと動いていたのだが、だんだん容量が心細くなってきた。ここらで拡張を考えなくてはならぬ。

あ れこれのパターンを考えたあげく、もう一台テラボックスを購入することにした。とはいっても前に買ってからだいぶ日がたっているから、テラボックスIII である。この新機種の何がよいといって、直径12cmの大きなファンだけを回すモードがあることだ。このハードディスクはサーバー的な用途で使って いるから、つけっぱなしである。置いてあるのは私が寝る部屋だからどうしても音が気になる。それが静かになればうれしいではないか。

というわけで12月の何日かに購入してくる。ハードディスクをあれこれいれかえさっそくデータを移し始める。容量もファイルの数も膨大だからやたらと時間がかかる。とはいってもひたすら待つだけだからいいだろう、と思っていたがそうはならなかった。途中で

「○○(ファイルの名前)が読み込み、もしくは書き込みできなかったため操作を完了できませんでした」

というメッセージがでる。さては壊れたファイルでもあるのか、と該当ファイルを削除して再び試みる。やはりこける。

何度やってもそうした状態だ。これはいかなることか。ハードディスクを使うモードを変更したりあれこれやっても状況は改善されない。そのうち状況はもっと悪くなった。

以 前から使っているテラボックスからデータを移していたのだが、途中でシステムがハングした。全く動かない。しょうがないなあ、とコピーしているプログラム を強制的に終了した。その結果何が起こったか?コピー元のテラボックスがふっとんだ。正確に言うと、3台のハードディスクを一台として扱っていたのだが、 その「一台の大きなハードディスク」がなくなっている。うげげげげ。

バックアップをとってあるとはいえ、2週間分の録画データが消えてしまった。もちろんそんなに重要な番組ばかりのわけはないのだが、このとき見ていた「のだめカンタービレ」が消えたのは痛かった。

しかし嘆いている暇はない。とにかくバックアップから普及させなくては、、と言ってもデータ移行に数時間はかかる。気はせくが作業は遅々として進まない。そのうちもっと恐ろしいことに気がついた。

自 分のホームディレクトリ-つまり作った書類やら写真やらがおいてある場所だ-をずっとバックアップしていた。今回ハードディスクの構成を大幅に代えるにあ たり、そのデータを移動させていたのだが、なんと移動させたはずのデータが大幅に少ない。一番重要なものは今使っているPower Bookにはいっているのだが、昔のデータが消えている。うぎょー。

自分の愚かしさをのろい、それがすむと「所詮はかない人生。データがなんだというんだ」と悟りを開こうとするがうまくいかない。ああ、あんなデータやこんなデータが。しかしそのうちある可能性に思い当たった。

4 台ひとまとめのハードディスクを使う前は「2台ひとまとめ」のハードディスクを使っていたのだ。大きさは今では小さすぎる80GBと150GB。一年以上 さわっていないが、ひょっとするとあの中に古いデータが残っていないだろうか。とはいってもそんなに古いハードディスク動くだろうか。

いや、ここは物は試し、というわけでつないでみる。すると何事もなかったかのように立ち上がるではないか。これで一安心。のだめカンタービレは戻ってこないが自分が作ったデータはなんとか復活した。それどころか

「おかしい。確かに撮ったはずなのに」

と探し続けていた写真も古いハードディスクから見つかった。

というわけで少し事態は改善されたが、今後のハードディスクをどうするか考えねばならない。子守をしながら頭をひねる。

古 いテラボックスをもう一つ買うことも考えたが、また2万円かかるし、第一「うるさい」という問題は全く改善されない。では「ハードディスクを静かにする」 製品は何かないだろうか、とあれこれ探す。すると以前使ったことがある「ハードディスク静音ボックス」なるものが数種類あることに気がつく。となると「2 台ひとまとめ」からハードディスクへのケーブルだけ外に引き出し、このボックスにいれたハードディスクをつなぐ、という案はどうだろうか。昔使っていた (そして今回意外なところで役に立った)「2台ひとまとめ」のハードディスクをなぜ使わなくなったかと言えば、やたら内部に熱がこもるからだ。その昔ハー ドディスクの容量が小さいときはそれでも間に合ったのだろうが、今の巨大なものには力がたりないらしい。しかしその問題もハードディスクを外に出してしま えば解消だ。

それでも容量が足りなければ、5000円くらいで「ハードディスクをFire Wireに直接接続可能」な製品がある。これをつなげばいいじゃないか。(全く理屈にあっていないのだが、USB接続のテラボックスIIIでトラブルに あったので、Fire Wireにすがりたい気分になっていたのだ)

というわけで年が明けると私はごそごそ妙なものを買い出す。ハードディ スクをケースにおさめ、「2台ひとまとめ」の上にのせる。そのままだと結構熱くなるので(PC内部よりましかもしれないが)12cmのファンを買う。さて これをどうやってとりつけたものか。あれこれ考えたのだが、結局

「ひもでぶらさげる」

という方法をとることにした。完成した写真を以下に示す。

静音化HD

容 量は500GB+400GB+300GBで1.1TB。(計算が合わないが、ハードディスクの容量というものはそうしたものだ)今のところはご機嫌に動い ている。自分が作ったデータのバックアップは、別の「2台ひとまとめ」ボックスに400GBを二ついれ、そこに移動させた。こちらは2台をミラーリング。 壊れては困るからだ。

この構成にしてから私の寝室は格段に静かになった。というか以前はハードディスクのノイズに隠れていた音が気になるよ うになった。某掲示板の書き込みを読むと音の静かさにこだわり「次にうるさいのは、その次は」とやっていくと無間地獄にはまるらしい。というわけで静かさ に関しては今のレベルで満足することにした。

購入した(そして私のデータをふっとばしてくれた)テラボックス3はどうにもならないので、 買ったお店に持って行った。するとその場で不具合検証作業である。ここで「全く問題ありませんね」だとさらに落ち込むところだったが、幸いなことに簡単に 問題が起こってくれた。それで別の製品と交換してもらえたのだが、これがまた調子が悪い。時々データのコピーが失敗する。問題は失敗の頻度が低く、ちゃん と再現してくれるか確証がもてない点だ。しょうがない。これは「もしもの時」に使うこととしよう。とりあえずは古い80GB、150GBのハードディスク を入れておくか。

とかなんとかやっているうちにApple発の巨大なショックを受けることになる。

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注釈