題名:映画評

五郎の 入り口に戻る

日付:2004/1/31

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560円- Part7

スー パーマン・リターンズ-Superman Returns(2006/8/19)

560円にするか-1800円にするか迷ったが、不快感の多くの部分は私が最前列で見ざるを得なかったためである、と好意的に解釈 してこの値段である。

この映画にはハンサムで比較的長身の白人男性がでてきてあれこれするが、他には何もない。もちろんスーパーマンだから人間を描くこ となど元から期待していないが、爽快感とか「あー面白かった」という軽い感想すら持つことができない。

例えばこうだ。映画の最初には、新型スペースシャトルが故障してあれこれピンチという危機が訪れる。そこで思わせぶりな台詞をいく つか言わせる のだが、これは映画のその後と何の関係もない。人がのった母機(旅客機だ)が墜落していくが、誰も心配なんかしない。そりゃスーパーマン助けてくれるだろ う、と思っているとそうなる。落ちた場所は満員の野球場。そこで彼は存分に聴衆の歓呼の声とまなざしを浴びた後、のろのろ跳び去っていくのだ。この男はと にかく人の視線を浴びるのが好きなようだ。気持ちは分からないでもないが見ている方はだるいだけ。彼女と一緒に夜のマンハッタンをゆっくり飛び続けるとこ ろなど観客が

「まあ、ロマンチック」

と感動するとでも思ったのだろうか。

アメリカ人のために働くヒーローという声を意識したか、世界各地に出没したことにしているようだが、もちろんレバノンなんかにいか ない。そうい う「なんともならない問題」は無視するのがお約束なのだろうがそうであれば、いっそギャグに徹したほうがよかったのではないだろうか。Mr.インクレディブルのようにスー パーヒーロー故の悲哀を描くこともなければ、ス パイダーマン2のように、正義の味方業と普通の市民としての生活を両立させるため苦悩することもない。今時どんな映像でも 造れてしまうことは観客にも分かっているのだから映像で感心させるなんて無理無理。それでなくても設定のおかげで、クライマックスシーンは灰色の暗い風景 ばかりが映し出されることになる。見ていて楽しくない。

というわけで映画の後半は時計を見ながら「何故スパイダーマンは面白いのにスーパーマンはつまらないのか」などと考え続ける。元が 脳天気なヒーローなのだからかなあ。昔のスーパーマンは見ていないが面白かったのだろうか。

イ ンサイド・マン-Inside Man (2006/7/19)

デンゼル・ワシントンである。ジョディ・フォスターである。他にもスパイダーマンで悪役やっていた人とか観た ような顔がちらほらしている。そしてストーリー自体もそう悪くない。

なのになんでこんなにダルい作品になってしまうのか。思うにあと30分短くすれば最低でも1080円くらいにはなったのではなかろ うか。一例を挙げよう。

銀行に人質をとってたてこもった犯人達。ようやくピザの差し入れが可能になる。その箱にしかけた盗聴器から流れる言葉は聞いたこと もない言語。これは何語か。聞き取れる奴はいないのか。

エピソードとしてあって悪い話ではない。しかし変な言葉が流れてくる瞬間から誰も「これは実は犯人間の重要な会話」だなんて思って ないんだから 2−3枚のフラッシュ的なイメージを挟むだけで数十秒で片づけられることなんだよ。ストーリーの種明かしに絡むからここでだらだらや ることに 意味がある、と制作者は言いたいのかもしれないけど、画面上では一瞬でも時間の経過を示す方法なんぞいくらでもあるでしょ。

全編この調子でとにかく間延びしている。オチの付け方も話としてはいいのだが、間延びするから爽快感が生まれようもない。振り返っ て考えれば出 来の悪い映画の常として一人の人間も描かれていないのだった。出演者を観ればそれが役者の力量のせいではないことがわかる。デンゼル・ワシントンもジョ ディ・フォスターも「この人でなければ」という役ではない。名も知らぬ無名役者がやっても結果は同じだったのではないか。

と文句ばっかり言っていてもしょうがないので良いところは、、誰も死なないのはいいんじゃないですかね。これで2−3人死ぬ映画だっ たら迷うことなく-1800円なのだが。

ダ・ ヴィンチ・コード-The Da Vinci Code(2006/5/26)

キリスト教関係のあれこれを抜きにしてまず一言。

「きっと小説は面白いんだろうなあ。。。映画は退屈」

ルーブル美術館の館長が奇妙な殺され方をした。そして死の間際に残したメッセージから米国人の教授とフランス人の女性が出会い、で もって追い回されつつ「謎」を解くのだった。

と いうわけで謎解きが延々と続く。きっと小説はものすごく長いのだろう。でもってじっくり読んでいけばこの入り組んだ物語も面白いのだろうが、如何せん映画 にしては話がややこしすぎる。すいません。途中で脱落しました。いくつかのエピソードを減らして映画向けの脚本としたほうがよかったのではないかと思う。 例えば同じ監督の「ビュー ティフル・マインド」 のように。詰め込みすぎの内容と関係有るのかどうか知らないが、アクションシーンはつけたしのようだし登場人物の感情はさっぱり伝わってこない。調べてみ ればあの女の子はアメリの人だったか。でもこの映画では「フランスなまりの英語を喋る目のでっかい女の子」でしかない。

でもって中身は「キリストには実は子供がいたんだよーん」という事実を元にあれこれ、というもの。人によっては「けしからん」とソ ニー製品の不買を呼 びかけたりと大騒ぎなようだが、異教徒の私としては

「そんなもの、どうでもいいではないか」

と思うわけだ。その昔マドンナのLike a prayerという曲のビデオでキリストを黒人として描いて問題になったと聞いた。

「何が問題なんだ。だってイエスの顔観た奴なんていないだろ」

と隣のインド人に言ったら

「そこらへんでその説を唱えてみろ」

と呆れたような顔で言われた。そんな態度は無知とも言えようが実際イエスの写真観たことある人居るのか。
だいたいキリスト教が絡むと映画が陰湿になっていけない。殺し屋が十字架の前で自らを傷つけるところを延々写すのはやめてほしい。さらに悪いのはその陰湿 さの根元に共感できないからそうしたシーンが退屈に思えることだ。

映 画の中でみんなが探し回るのはキリストの「聖杯」。でもって映画中にそれについて"Almost everybody on  earth knows"とかそんな事を言う。なるほどねえ、、「聖杯」を知らない人はeverybodyではないってことですか。などとむかついていたのは最初だけ で、最後は何が起こっても気にしないほど退屈している。「キリストの子孫はこの人です」の場面で評論家達は失笑したと言うが、私はただぼんやりしていまし た。いつになったらこの話は終わるのか、とだけ考えながら。いや、これがなかなか終わらないんですって


イーオン・フラックス-Aeon Flux(2006/4/6)

シャーリーズ・セロンは美人である。以上

かつての人類の99%は死滅し、生き残った人類が小さな閉鎖された都市で400年にわたり生存を続けていた。その都市を絶対支配す るのがグッドウィル家。しかしその支配に反抗する者が現れた。。

という具合でなにやらするのだが、全てがとてつもなく安っぽい。日本のアニメオタクにシャーリーズセロンを雇える金の110%を渡 して「てき とーに作っといて」と言ったのではなかろうか。この絶対支配をしているグッドウィル家というか政府の所在地はたぶん実在の美術館か何かを使ったのだろう。 そこだけをとにかく使い回すものだから、低予算エロ映画を彷彿とさせる安っぽさが漂うのか。

あと市民がなぜか和傘をさしていたり、最後のドンパチが行われるのが桜の花が散る中庭だったり、、といいかげんな日本趣味があって、、えーっとあと何が あったっけ。アクションを強調するつもりなら、せめてどつきあいを観客が認識できる程度に撮っていただけませんかねえ。。カメラがぶれまくってなんのこと かわからないし。

というわけで唯一の「金を取れる出し物」、シャーリーズセロンが黒いぴったりとしたコスチュームで観客にサービスし続けることになるが、それだけでは一本 の映画にならない。アカデミー賞女優も一種類の表情しかさせてもらえないものだから、演技力の発揮しようもないし。
映画の最初数分を見逃したので、そのせいでつまらんのか、、ともう一回最初の数分を観たのだが、何もなかった。結論として冒頭に書いたようなことになるわ けだ。

ナルニア国物語-第一章 ライオンと魔女- The Chronicles of Narnia The Lion THe Withc and The Wardrobe(2006/3/11)

「ハリーポッターとかThe Lord of the Ringsとかああいうファンタジーといえばディズニーだろう。よそに先を越されるなんて何やってるんだ!

まあいい。いい原作探しておいたから、これでてきとーに やっといて、てきとーに。いいんだよ。子供向けの映画ならうちの十八番なんだから、とにかくてっとりばやく作ってくれれば」

ってな会話が聞こえてくるようでございました。最近ディズニー印の映画を観るたび思うのだが、ディズニーの人間というのは基本的に 観客をなめているのではないだろうか。

冒頭He111によるロンドン空襲の場面。をを、これはと思うまもなく子供達を載せた列車が疎開先に向かう。駅から汽車が走り去る シーンはできが悪い漫画のようだ。たぶんCGなのだろうけど、もう少し真面目にやってもらえませんかねえ。

というわけで子供がタンスの奥に行くとナルニア国に出る。でもっていきなり女王様、王様にまつりあげられ悪い奴をやっつける。は あ、そうです か。主人公が剣を振るって戦うシーンなど、、えーっとこれはギャグですか?彼が剣を振り回してるんだか、剣が彼を振り回してるんだか。というわけで映画館 をうめつくした子供達にはいいのかもしれませんが、到底15才以上の鑑賞に堪えられるストーリーではない。兄弟同士のいさかい、和解、成長、戦い、危機、 勝利とパターン通りなぞってみました、というだけで血の通った人間は一人も出てこない。つまるところ「あなたは実は偉い人だったんです」と言われみんなが 跪く、という「大人が考える子供の妄想爆発映画」なのだが子供を持つ親としては子供に見せたくない、と思える点が二つある。

その一。知らない人について行ってはいけません、というのは昔からの鉄則だがこの映画を観た子供がついていったとしても私は驚かな い。その2. 戦争が終わり、薬を飲んだりあれこれすればとにかく「善い者はかたっぱしから生き返る」ってのはいかがなものでございましょうか。昔TVで観たクレヨンし んちゃんの方がはるかに真面目に戦いやその中での人間を描いていたぞ。

いや、自分が子供のころを思えば、映画を真に受けるわけはないのだがおじさんとなるとそういう心配をし出すわけです。今から考えれ ば予告編みて「なんだこれ」と思った自分の直感に従うべきだったなあ。

Mr. & Mrs. スミス - Mr. & Mrs. Smith(2005/12/4)

予告編は良かった。アンジェリーナ・ジョリーが初めて綺麗だと思えた。なんとか980円と思いこもうとしたがだめだった。

基本路線はいいと思うのだよね。ちょっと倦怠期気味な夫婦なのだが、本当のところ二人とも別々の組織に属する殺し屋。その二人がア サインされた のは何故か同一ターゲット。ヒットポイントは一カ所だけ。というわけで現場でそれと知らず鉢合わせ。48時間以内に目撃者を消さないと自分が消される。さ て、どうしましょう。

お互いが疑問を抱き始めたところとかおしゃれに面白く作ってくれればなあ。予告編で使われていたブラピがわざと落としたワインボト ルをジョリー が思わず受け止めてしまう、なんてのはよかったのだが、映画を観ても良かったのはそこだけだった。お互いの正体をしったところから話はだんだん無茶苦茶に なっていき、最後はまあむりやり丸く収める。こういう映画だから主役はいくら撃たれてもしなないのだが、最後の場面はまるでターミネーターのようだ。それ を生身の人間がやっているのだからおもしろくなるわけがない。

といわけでもうちょっと面白くなった筈なのになあ、と思いながら映画館を出る。この内容で2時間(-2分)というのもいかんともし がたい。まあ短くできるようならばこんな呆けた映画は作らないのだろうけど。


マダガスカル- Madagaskar(2005/9/4)

映画館を埋め尽くした小さなお友達の反応を見ていたが、要するに滑稽なしぐさをすれば笑うのであって、話の筋とかはどうでもいいら しい。

というわけでおそらくは小児限定の映画なのだろう。その割には

「これは料理の本だ!」

「殺して肝臓を喰った」

という定番のパロディを入れるのが不思議だが、子供達をつれてきた大人にも少しはサービスしようと言う考えか。

というわけで

「New Yorkの動物園にいた4匹の動物が”もっと他の場所があるのではないか”と逃げだしマダガスカルに行きまし た」

という話。一匹だけ肉食動物が混じっているので、自然の摂理に従えば、他の動物を殺して食べなくてはいけない。とはいえこの映画で 動物はみな人間相当のキャラクターになっているからどうするのか、と思えばなんと

「魚は食べ物として扱ってもかまわない」

という大技で切り抜けた。まあ細かい事を言うのはやめよう。何人かの子供達はエンドロールのダンスで喜んでいたようだし。半分くら いの子供は最初のライオンとシマウマのだらだらした会話で飽きたみたいだけどね。

と書いた後自分で読み返し、すぐ下の「ロボッツ」で書いた内容とほとんど同じということに気が付く。えー、どっちもどっちのどうで もいい映画でした。


ロ ボッツ-Robots (2005/7/30)

アイス エイジ」 のスタッフが作ったというので少し期待していたのだが。

夏休みということもあり、劇場内は小さなお友達で一杯である。一人で見に来ている40男など私の他にいない。いや、そんなことはど うでもいいこと。映画に集中するのだ。

入場時もらったカードには

「自分を信じてがんばれば、きっとうまくいくよ!」

というメッセージが書いてある。この映画が喋っているのはそれだけである。えーっと大都会にでてきたロドニーというロボットがあれ これがんばって最後は丸く収まる、とまあそんな話なのだが。

子供達の反応を見ていると、話の筋とかはどうでもよく、変な髪型をしたり、いきなり歌い出したりすると笑うようである。子供にも大 人にも楽しい 3D CG映画というのはいくつもあるのだが、不幸にしてこの映画は小さな友達だけ相手に作られた物であろう。何故か。例えば悪役というか恐ろしいおばさんが出 てくるのだが、そもそも彼女が何のために悪いことをやっているのかよく解らないのだ。子供達はそんなことを気にしないだろうけど、40男はそこがないと何 ともならんのだよ。

ロボットの頭がいかれたところで"Daisy daisy.."と歌わせたり、Sing in the rainのパロディをやったりしても日本の小さな友達には分かんないしね。というわけで隣に座った小さな女の子が「つまんなーい」と発する言葉に無言のま ま賛同するおじさんなのであった。


バッ トマン ビギンス-Batman begins(2005/7/10)

題名の通り「何故バットマンは生まれたのか」を妙に事細かに描いた映画。冒頭主人公の両親が強盗に襲われあっさり死ぬ。しかしここ でおかしいと 思うのは、豪華に着飾った人たちが出入りする劇場のすぐ外がとんでもなく危険そうなエリアになっていることだ。確かにこんなところ綺麗な格好で歩いていた ら強盗が出てくるわな。。そりゃそうだけどなにか釈然としない。

ってな感じでものすごい早さでどこか釈然としない「説明」が続く。渡辺謙はちょっとだけ台詞をしゃべるとあっというまにやっつけら れる。以下同 文である。恐怖がどうのこうのと台詞では語られるが、映像からは暗闇も恐怖も伝わってこない。ダークなヒーロー、バットマンを描くにしては映像が妙に軽い のだ。ではアクションはといえば、殴り合いシーンは画面がぶれすぎて何が写っているかわかんないし。不思議な事にカーチェイスだけは延々と映し出される。 つぶしてもつぶしてもパトカーが湧いてくるのだがそれは面白さとは何の関係もない。

まあこんなのもいいか、とは思うが、映画全体が妙に長い。欠伸が止まらなくなった頃やってくる最後は例によって「どっかん一発ハッピーエンド(ちょっ と変形)」である。いや、あれじゃ結構多くの人が悲惨な事になってしまうのでは、、という疑問を置き去りにして映画は適当なハッピーエンドを迎える。い や、そこで別に「ジョーカー」につなぐなんてことを誰も期待しちゃいないんだよ。ス ターウォーズエピソード3じゃないんだからさ。

という救いのない代物だが、マイケル・ケインがはまり役ともいうべき執事ででているからかろうじて560円。途中意味のない台詞を 喋らされたりするけど、まあそれはしょうがない。全体が釈然としない映画だから。


サ ハラ-Sahara (2005/6/18)

この映画のポスターには砂漠を背景にした美男美女が写っている。きっとどうしようもない映画だろうと思いながら見たわけだが本当に どうでもいい映画だった。

ハ ムナプトラの ようなノリかと思っているといきなり恐ろしい伝染病が出てくる。あら、もっとシリアスで真面目なトーンかしら、と思っていると主人公とその仲間が派手なア クションをやる。ここはまるでテーマパークのアトラクションのようだ。つまり派手だが緊張感のかけらもない。ではお馬鹿映画かと思えばおとなしいシーンが 延々と続いたりする。よくわからない。

えーっというわけで伝染病を追っていた美人と南北戦争の装甲船を探していた主人公達は結局同じような場所にいくことになりました。 でもって悪い 奴をやっつけて世の中は丸く収まりました、ってなんですかこれは。前半はとてもだらだらしているので途中ででようかと思った。最後のどんぱちシーンはこれ また真面目に作っているとは思えない「アトラクンション」さ。あとは、、あとは、、見終わってすぐ感想書くべきでしたね。もうあらかた忘れてます。そうだ そうだ、主人公とその相棒がやたらうるさく、バックに流れる音楽も耳障りなだけ。「俺の帽子が無くなった」って何度も言って誰か喜ぶと思ってんのか。


ホ ステージ-Hostage(2005/6/5)

ブルース・ウィリスがでてくるとなぜこうなってしまうのか。

映画の冒頭ウィリス君が交渉人として"Nobody dies"とかかっこいいことを言っている間にたくさん人が死ぬ。でもってその一年後、またもや彼に災難がふりかかる。いかれた男達がある家を占拠し立て こもる。その家に是非とも欲しい物がある何者かはウィリス君の家族を人質に取るのであった。

というお話なのだが、まあウィリス君が主演している時点でわかるようにだいたい話は丸く収まる。しかしこの緊張感のなさはなんなの か。やたら景 気よく人は死ぬし家も燃えたりするのだが、あくびがとまらない。私の近くにいた男はずっと何かの袋に手を突っ込んでは食べていたようだがそれを非難するつ もりもない。いや、たぶんそれが正しい見方なのだろう。ぼりぼり。

若者達に占拠された家には女の子と小さい男の子が人質としてとられている。でもってこの小さい男の子がホーム・アローン的に活躍か と思えばそれ ほどでもない。結局ウィリス君が何をしたかと言えば、あんまり何もしてないような気がするし、最後の決着もなんだかわかったようなわからないような、、と 言ったところで考え直す気力もわいてこない。世の中にはもっと重要なことがいくつもあるはずだ。


デ ンジャラス・ビューティー2-Miss Congeniality 2:Armed and Fabulous(2005/5/21)

前 作は期待を裏切って面白かった。続編は、、まあ期待通り。

前回見事な活躍をしたのは良いが顔が割れてしまいFBIの通常任務につけなくなったサンドラ・ブロック。というわけでFBIの顔担 当になって トークショーとかの人気者になる。そんなところにカーク船長ことMiss Americaの司会者とMiss Americaが誘拐される事件が起こるのであった。

謎解きはでたらめだがまあ気にしない。素人芸を入れてみたりカントリー歌手をどうでもいい役で使ってみたり全般的に「うん。無理し て続編作ってるね」といいたくなるようなだらだら感が漂う。

前 作は どこが面白かったのかなぁと思い返すと驚いたことにマイケル・ケインの出演場面と最後の大乱闘+大団円しか覚えていない。今回やたらと主人公が男と別れ た、という話が語られるのだが、どんな男であったかどころか、そんな男が居たことすら思い出せないのだ。いかにマイケル・ケインが偉大であったか。

でもって不幸にして本作には彼は出演していない。同じような役回りでおかまっぽい男が出ており、なかなかいい味を出しているのだが なんといっても比較する相手が悪い。

とはいいつつそんなにひどいわけでもない。評価は950円か560円か、と迷っていたが最後に落ちた。NGシーンが延々と続くのだ ががどこが面白いのか理解に苦しむものばかりなのだ。(前作のはカーク船長が女性に軽くかわされるのを嘆くなど面白いのもあったのだが)

かくして唯一の見所と言えるのはサンドラ・ブロックが変装して老人ホームに潜り込むところ。ここで全く違和感がない、ということは 実物が「老けた」ということなのだろうな。


プリティ・ プリンセス2-the princess diaries 2(2005/2/27)

小学校低学年の女の子が抱く妄想というのはこうしたものか、と思う。

中年男が小学生の女の子の気持ちについて語るとは笑止、という意見もあろうが、多少はその主張を裏付ける証拠もある。映画の中で主 人公が Bridal Showerをやる。そこに世界各国のPrincessが集まるのだが、その年齢層が異常に低いのだ。主人公は21という設定だが友達はもっと小さな女の 子ばかり。思うにそうした女の子達を観客と想定してこの映画を作ったのではなかろうか。

というわけで、幼い女の子に都合のよい妄想が 炸裂する。綺麗な宝石。綺麗な部屋。綺麗な洋服。きゃーきゃー叫んで再会を喜ぶ親友。豪華なパーティーと楽しいパーティー。そして誠実だが面白みのない男 と、ちょっと悪そうだがかっこいい男両方から惚れられる。

そこでPrincessは誠実な男との結婚式を前にしてちょっと悪い男と一夜を共にする(ディズニーだから、ただ一緒に遊んでいる だけだが)そ れが報道されたことに対して怒りまくるが、自責の念はかけらも無いらしい。そうだよね。自分の気持ちに正直になっただけだもんね。TVでレポーター曰く

「これで我が国の王室にもWorld Classのスキャンダルよ!もっと早くアメリカ人を王室に入れるべきだったわ!」

さて、こうした映画の常として彼女は「誠実な男」を捨て「ちょっと悪そうな男」を選ぶ。しかも前者との結婚式のその場でだ。しかし 笑ったのは捨 てられた男が言った次の台詞である。こういう場合、男は決して振られたことを逆恨みしたり、ストーキングに走ってはいけないのだが、まさかここまで言わせ るとは思わなかった。

Thank you

愛していない男との結婚を決めたのは自分が王女になって変化をもたらしたかったから。でもやっぱり自分の気持ちに正直になろうとし ただけ。相手 もThank youと言ってくれた。だから私はちっとも悪くない。偉大な王女になって国を統治するの(実際とってつけたような「民衆を思う優しいPrincess」と いった場面もある)

私がこの国の国民だったら他の国に亡命する、などと小難しいことを考えない人には良い映画なのだろう。私にしたって前 作で懲りているはずなのに続編を観たのだからあまり文句を言えた義理ではない。予想外によかったのはジュリー・アンドリュースの歌声 が聞けたことくらいか。


ス テップフォード・ワイフ -The Stepford wives(2005/2/12)

映画が始まってすぐ「シモーヌ」 を思い出した。理由はわからないが全てがすばらしく安っぽい。というわけで冒頭5分間で期待値は「最大560円」になる。

このように早々と560円の値札を付けてしまう場合、映画が進むに従って-1800円になることが多いのだが、この映画は徹頭徹尾 560円だっ た。ニコール・キッドマン演じる番組のことしか頭にない敏腕プロデューサー。ちょっとしたトラブルで首になり、家族生活を取り戻すためにコネチカットにあ るステップフォードにやってきました。そしてそこには何故かブロンドでワンピースを着、家事に没頭する奥様しかいないのでした。

最初に「どうでもいい映画」と見切りを付けてしまえば大抵の事は気にならなくなる。浮ついた主義主張の大演説があるわけじゃなし。 そもそも奥様 達が「ロボット化」されたのか「ロボット」なのか。たぶん前者だと思うのだが、それだと理屈の合わないシーンがいくつもでてくるがまあ気にしない。とりあ えず映画自体短いのはいいことだよね。あとニコール・キッドマンって縦に細長い人だなあと感心してみたり。

業界限定ギャグとか(ゲイの男が宝物にしているのがロード・オブ・ザ・リングのアラゴルンの人がプリントされたTシャツとか)米国 人限定ギャグ(何故コネチカットか)とかが解ったとしても560円なんだろうなあ。

ちなみにこの映画のクリストファー・ウォーケンを観ていて、ああ、バットマン・リターンズの人だと気がついた。どことなくあの時の 役柄に似てるけどさすがに老けたなあ。


オ ペラ座の怪人-The phantom of the opera(2005/1/30)

映画が始まってすぐ気がつく。台詞のはずなのに何故か節がついているではないか。なるほど。これはミュージカル映画なのだな。「ミュージカルの人は変」 に書かれていたような。うむ。確かに変だ。

しかしそういう映画として作られたのならそれを受け入れるしかない。そのうち別の考えが頭をよぎる。アマデウスの脚本を造り上げる際、原作となった 演劇を書いた人と、映画の監督はお互いがお互いの演出を気に入らず始終ののしりあっていたと。映画と演劇という全く異なる表現手法、そのぶつかり合いから 産まれたのがあの脚本だと。

しかるにこの映画ではそうした「ののしりあい」はなかったのではなかろうか。結果としてやはり変なのだ。舞台の上でやったことをそ のままスク リーンに持ってこられてもねえ。そのうち私は頭の中でややこしい変換操作を始めた。スクリーンに映し出された場面を舞台の上で造り上げると、、ををこれは なかなか良いではないか。特に仮面舞踏会が始まるところとかね。きっと舞台で観れば華麗なのだろうなあ。

そのうち変換操作にも疲れてぼんやりと画面を眺めるようになる。無名だった歌姫が抜擢され主役になる。彼女に歌を教えたのはオペラ 座に住み着い ている怪人。すばらしい音楽的才能を持ってはいるが狂人であることも間違いない。その男に対する歌姫の愛憎入り交じった感情、、を描きたかったとは思うの だけど、映像からはそれが伝わってこない。平たく言えばこれは歌姫が怪人に対する愛と憎の間をふらふらするお話なのだが、その骨が抜けてしまっている。

かくしてクライマックスのシーン。怪人と歌姫が歌う場面、心の中で何度も声を上げる。

Shoot them! Shoot them both!

しかしたくさんいる警官達は私の言葉を聞いてくれない。というわけでその後も話はだらだら続く。歌姫は「デイ・アフター・トゥモロー」で主人公のガー ルフレンド役だった人。可愛いし歌も上手だが、如何せん役柄が。あれだけ有名なミュージカルなのだから舞台はきっとすばらしいのだろうけど。

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注釈