映画評

五郎の入り口に戻る
日付:2014/1/4
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君の名は(2017/1/25)

今日の一言:トランプが大統領になった年、この映画が大ヒットする。

大ヒットしていることは知っていた。しかしあれこれ情報を見ても全く観る気が起きない。まあ「美少女と体が入れ替わる小学生の妄想だろう」と決めてかかっていた。

もしそれが正しいとすれば、私の息子(中1)には丁度ストライクゾーン。彼が見に行ったので感想を聞くと「うーん。悪くないけど微妙。なんであんなに名前にこだわるのか」と言う。ちょっと意外な気がした。

というわけで興味はあるが、時間と金を無駄にするのはいや。ちょうどそこに飛行機に乗る機会が訪れる。無料の飛行機の中であれば心置きなくみられる。というわけで座席につくと早速選択。

映画が始まってから1時間は「小学生時代の妄想を思い出す気恥ずかしさ」ばかり感じる。しかしなんでこう物事をステレオタイプに描けるかね。分け知り顔に語る祖母とか、綺麗にタイプ分けされた友達に、無駄に色っぽい職場の先輩。サマー・ウォーズそっくり。女性と付き合ったことがない小学生男子児童の妄想に覚えがないわけでもないから、それを具現化し大画面で見せられるとムズムズする。しかし「種明かし」の後、考えるのは米国の大統領選挙に変わる。

この映画は日本で歴史に残る大ヒットになった。宣伝を信じれば、観た人の99.8%が満足したという。

いやね、彗星の軌道がまちがっていることとか、そもそも彗星が同一都市にたった1200年の間に2度も落ちるなんてのは些細なことだから問わない。全く機能していない主人公の友達とか、なんでそうも都合よく物事忘れるかなとか(忘れないと話がなりたたないからだが)もイライラするくらいで致命的ではない。しかし最後の数十分は画面をみているのが苦痛になる。

防災放送が鳴り響いているのになぜ皆のんびりと歩いているのか。息子の言う通りだ。彗星が今にも自分の頭に降って来て自分も家族も友達も皆殺しになろうというときに「相手の名前がわからない」とか泣いている人間にどうして感動できるのか。その数分後、同一人物がいきなり立派になり父親の説得に成功するのはなぜか。っていうかこれ「君の名は」って筋にほとんど関係ないじゃないか。相手の名前は忘れても都合いいことだけは覚えているわけだし。
つまりこの映画には話の筋がない。ふらふらキラキラした断片が転がっているだけ。いや、そういう映画は他にもあるんだけど、このプラスチックのキラキラアクセサリーにどうして感動できるのか。

致命傷と思える間違いを何度もし、数度にわたりトドメをさされたはずのトランプは大統領になった。私には彼の何が良いのかわからないし、どうして彼のあからさまな問題点に目をつぶれるのかわからない。

それと同じく、私にはこの映画の良さが理解できないし、あからさまな矛盾点やら問題点にどうして目をつぶれるのかがわからない。

私は理屈っぽすぎるのだろうか。キラキラした画面にオタ向け記号を陳列しておけば人は映画を見に来るのだろうか。ヒラリーも思ったに違いない。心がけて来た「政治的正しさ」とは一体なんであったのか。適当なことを言っておけば人は投票するではないか、と。

もし私が公開直後に見ていたとすれば「オタ向け記号の陳列棚」の一言でおしまいにしていた映画。しかし実際に社会に巻き起こした影響を鑑みるとき、深く考えざるを得ない。多分私は世の中のありようについて何も知らないのだろう。私の映画の見方は0.2%という狭い範囲にあることだけはわかった。


インフェルノ-Inferno(2016/11/05)

今日の一言:これ本当にロン・ハワードが作ったのか?

例の教授が病院で目覚めるが自分がどこにいるかもわからない。幼い頃教授に会ったことがある、という医者が面倒をみてくれるがいきなり発砲され。

という冒頭の「何も思い出せない」というシーンで既に不快感を覚える。必要以上に長く、グロい。見ているのが苦痛になる。教授は地獄のイメージを見るのだがこれもまた長い。何度も何度も陰惨な風景を映し出す。それが「後で効いてくる」というわけでもない。

思えばこれが全体の基調になっていた(途中までは)それはあたかも

「いやー、長い原作ですけど切って切って90分に収めました!え?2時間にしろって?そりゃま捨てたシーンを全部入れればなんとかならないことはないですけど。。」

とかいう裏事情があったかのよう。長々と続くラブシーンといい、何度も繰り返されるスローモーションといい。「主犯」の基調演説も丁寧に2度繰り返されるが、これ繰り返す必要あるのか。人口増えて大変だから、細菌ばらまいて人を殺すってねえ。人口が減少を始めた国に住む人間にはピンとこんよ。おまけに人一人正当防衛で殺したくらいでめまいをおこしている人間が、なぜ平気で人口半分にするのかな。

などとぼやいているころに、物語がクライマックス(と製作者が思っているところ)に到達する。もう見続けるのが嫌になる。退場してしまおうとかと思ったのは久しぶり。そうしておけば「あの結末はどうなったのだろう」と想像を働かせれた分よかったかもしれない。結末は恐ろしいことになる。

今世界は崩壊していないから丸く収まるに決まっている。しかしここから「善玉」の行動原理は「近くに人がいても、絶対助けを求めず一人で無茶をする」に変わる。あんだけ大勢で乗り込んできているのに、悪役と戦っているのはたったの三人。声をあげろよ。この妙な行動原理に従う役者たちの行動は、既に何かに感染しているかのようだ。

かくして冒頭あげた疑問が頭を回り続ける。過去のロン・ハワードの作品からしてこれは本当に彼の作品なのか。単に名前を貸しただけで実は「有力者のドラ息子」が作ってたりしないのか。


信長協奏曲(2016/10/24)

今日の一言:こんなの作って楽しいのか?

飛行機の中でなければ絶対見なかった映画。ある記事を読んだ。公開前の宣伝量はシン・ゴジラにひけをとらなかったが、公開後の反響でとてつもない差をつけられた、と。であればそれがどんな映画か見たくなるではないか。無料だし、時間は山ほどあるし。

なんだか続編みたいだな、と思って後で調べればテレビドラマの続きを映画化したのだな。誰かが「これ絶対いけますよ。儲かります。映画にしましょう」とか言ったんだろう。若手の人気俳優が勢ぞろい、漫画原作、とダメなサラリーマンが同意しそうな仕立てである。

現代からタイムスリップした高校生が信長になりました。でもって争いのない平和な世を目指します。そのために領民や「敵」を殺しまくります、というお話。都合上秀吉が影の悪役ということになっており、実質的にこの時点で秀吉が全てを支配していたことになっているが、まあそこは問わないでおこう。

早送りもせず1時間くらい見た自分を褒めてあげたい。(そのうち20分はご飯を食べながら見ていたが)タイムスリップという使い古された手法を使い、史実という制約があっても面白い物語は作れると思うが誰もそんなことは目指さなかったんだろうな。この豪華な出演陣見ればヒットは間違いなし!現代高校生の口調で信長がしゃべれば若者の心も掴んで、ヤバイッすよ!とかいう誰かの企画会議での言葉が聞こえるようだ。

平日の昼間にTVでみれば「ああ、がんばってるね」と思うがこれを千八百円とる映画として公開するのはどうかしているとしか思えない。今や凋落の一途を辿るフジテレビ関連というのを知り、何か関係があるのだろうかと考える。


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注釈