題名:巡り巡って

五郎の入り口に戻る

日付:2003/11/9


会津村:福島県(2003/10/25)

さて、会津若松から電車に乗ったものか、あるいはバスか。考えながら猪苗代路線と書いてある方にふらふらと行くとバスセンターがある。ここに行きたいんですけど、この路線に乗ればよいですか?と聞くとそれでよい、ただし発車時間ぎりぎだと言われる。乗車券を買うと間もなくバスが来た。乗り込むとしばらくのんびりする。そのうち前方にこんな風景が見えてきた。

今日の目的地会津村にある大観音である。高岡住宅というバス停で降りると、さっきこっちに観音が見えたはずだが、、と歩き出す。ほどなく看板が見えた。近寄ってみるとなんだか小テーマパークのような立派な作りである。

入場料は900円。ううむ。これは結構高いのではなかろうかと思うがここまで来て引き返すことはできない。門をくぐれば中は広大な庭園になっている。滅多にやらないことだが、その近くでソフトクリームを買う。するとおばさんがこれでもか、と説明をしてくれる。紅葉がきれいですよ、コスモスを無料で持ち帰れます。新聞とはさみを無料で貸してあげます。無料休憩所もあります。お食事まだでしたら食事もできます、などと延々と続く。その言葉からは押しつけがましさは感じないが相づちをうつ関係上私は落ち着いてソフトクリームを食べることもできない状態だ。礼を言って歩き出す。場内には結構人がいる。確かに紅葉がきれいだし、暇な土曜日に来るにはいい場所なのかもしれない。

ぷらぷら歩いていくと小さな三重の塔がある。

何か謂われでもあるかと思い看板を観てみるが、とりあえずたててしまった、ということらしい。しかし小さい。小ささでは佐和山遊園の五重塔にも匹敵するのではなかろうか。近くにあるもう一つの脱力展示物はこの涅槃佛である。頭のアンテナが気になる。

像の前には看板があるが、不思議なことに「ボロンナルワ・ガルヴァィハラの巨大釈迦横臥像」について書いてあるだけで、それがこの像とどう関係しているのかわからない。さらにぶらぶら歩く。どっかにあった民家を移設したらしき家もあるのだが、観ようとも思わない。見上げれば紅葉と観音様はなかなかマッチしている気がする。

いくばくか歩いた後、観音様の足下にたどり着く。最初に観ていた時から気づいていたが、この観音様、目がぱっちりしているせいかなんとなく顔が人間っぽく見える。笑っているようにも見え、子供を見つめているところは思い詰めているようにも見える。

さて、中に入ろうと思うとまた金を払わなくてはならない。入り口で900円も払っているではないかーと心の中で叫ぶがここまできて観音の中身を観ないわけにはいかない。券売り場のお姉さんは

「お荷物大丈夫ですか?」

と声を掛けてくれたから確かに親切には違いないのだが。

さて、まず一階を観るとこのようである。

あるのは観音の名前を書いた掛け軸だけで、像はない。中央にある入り口から階段を上り始める。前方というか上方からはなんとも奇妙な声が響いてくる。胎内では普通の話し声が壁に響いて奇妙な叫びとなって聞こえるのだろう、とわかってはいるのだが一瞬ぎょっとする。

階段の内側にはなにやら人の名前を書いたちいさな像がずっと並んでいる。エレベータなどはないからひたすら歩くしかない。10m登るとこんなものがある。

胎内での現在地を示す図と何かの写真、それに相田みつおの色紙3点セット。その色紙を読むと力が抜けるというかなんというか。とにかく一生懸命歩き続ける。ところどころ窓があるのだが、のぞくこともなく歩く歩く。そのうちようやく頂上というか一番高いところ(観音様の胸あたり)に到達する。あるのは小型の観音様だけ。ふん。こういう脱力的結末にはなれっこさ、と自分に言い聞かせ下り始める。これが300円かあ。。これが300円かあ。。いや、そんなことを考えるのは体に悪い。

というわけで会津村見物はおしまい。この後最寄りとおぼしき広田という駅まで30分ほど歩き、さて電車に乗ろうと時刻表を観れば次の電車がくるのは3時間後だと知り、驚愕したところで「バスがあるよ」と係りの人に教えてもらいなんとかなった、というのは会津村とは何の関係もない。

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注釈