題名:巡り巡って

五郎の入り口に戻る

日付:2004/11/3


円通寺:東京都(2004/11/23)

11月23日は勤労感謝の日。従って感謝の念と共に勤労をする必要がある。家中の窓を拭き(狭いアパートだから窓の数は知れた物だが)結露防止のなんたらを塗って本日の勤労は終了(皿洗いは勤労ではなく日常の義務だ)晴れてお出かけできるわけだ。

いつも通勤で使っている東横線にのり中目黒駅で地下鉄日比谷線に乗り換える。今日の目的は三ノ輪というところから歩きだ。

電車を降り地上にでるととことこ歩き出す。一応公式サイトから案内図もプリントアウトして来ているのだが、道は一本だから迷いようがない。そろそろかなとおもったところで左手になにやら見えてきた。本日の目的地円通寺である。名前からして寺のはずなのだが、今までに観たどの寺とも異なる形をしている。

そもそも何故ここに来ようと考えたか。今を去ること数ヶ月前。私は常磐線にのりぼんやり外を眺めていた。そのときいきなり金色の像が目に入ったのである。あれはなんだ。えーっとここは南千住の手前でと一生懸命覚えて家に帰るとあれこれ検索。あの像は円通寺の上にある事を知った。

というわけで本日ここに立っているわけだ。はいって少し左手にはこんなものがある。

なんでも彰義隊を供養したことが縁でこの門がここに来たとのこと。いきなり門だけが立っている姿は異様だが、よく観ると弾痕と思しき穴がたくさん空いていることに気がつく。そのすぐ裏には子供を抱いた観音様がいる。説明を読めば吉展ちゃん誘拐事件で遺体が見つかった事をきっかけに作られたという。幼少の頃、本を読んでいると吉展ちゃん誘拐事件というのがよくでてくるから父に「何故こんなに有名なの」と聞いたところ

「みんなが助かるようにと思ったからさ」

と答えが返ってきた。今では一年にこうした観音をいくつつくらねばならぬのだろう。

などと感慨にふけっているうち建物が近づいてくる。下から金色の観音を見上げる。あの周りにある手すりのようなものはなんであろう。

入り口には仁王像がいる。中に入ってみると通路にお年寄りが座っている。だまって会釈する。反対側に回ってみると講堂があり、ここにも仁王像と仏像があった。

ぱっちりお目目と赤い唇が素敵である。かくのごとくあることはあるのだが、なんだかがらんとしていて物置場のような印象がある。他に何かなかろうかと思って歩いていくとエレベーターがある。ひょっとしてあの観音様のてっぺんまで上れたりするのだろうか、とRを押す。

すると出たのは観音様の足下だった。手すりと見えたところは独立したフロアーになっていることが見て取れる。

他に何もないから降りる。すると先ほどの老人がトイレにはいるところにでくわした。「上に登ったの?」と言われるからそうです、と答える。「駄目だよ。一般の人ははいっちゃ」と言われる。それは申し訳ありませんでした、と謝る。というわけで皆様登っても上記写真の光景が見えるだけですので登らないようにしましょう。

恐縮しながら外に出る。入るときは気がつかなかったが看板に「百観音」という文字がある。それらはどこにあったのだろうか。寺の周りをぐるっと回ってみる。すると観音の周りにあったフロアーが後ろまで続いている事を知る。

こうやってみるとなんだか五重塔みたいだが、そうした効果を狙ったのだろうか。大観音兼五重塔。そうした想像が正しいかどうかなどは私が知るところではないのだけど。

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注釈