題名:巡り巡って

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日付:2006/1/2


007「赤い刺青の男」記念館:香川県直島(2005/12/9)

さて、というわけで私は直島という場所にいる。瀬戸内海に浮かぶ(沈んでいたら島とは呼ばん)小さな島なのだが何故か美術館があったり民家を改造したアートが点在している。ある人の言葉によれば

「普通のおじさんおばさんもどこかしゃれている」

島らしいのだが、それについてはコメントしない。アートの見学も一段落し、バスで港に着く。宇野港までの切符を購入し「次の船は何時ですか?」と聞くとおよそ30分後。早めに船がついてないかと波止場に行ってみるがまだ何もいない。

というわけで回りをぶらぶらしだす。すると

「007記念館」

なる文字が目に飛び込んでくる。007と言えば英国の諜報部員。ここは日本国直島。その接点はなんであろう。これは観ずばなるまい、ということで看板を辿っていく。すると普通の民家と思しき方向に進んで行くがどこへいくのか。

裏庭というかガレージのような場所にたどり着くとつきあたりによくわからない扉があり(時間がなかったので覚えていない。上の写真で「雑貨」と書いている場所だが)そして右手にはこのような入り口があった。

入場無料がうれしいではないか。というわけで扉をくぐる。するといきなりこんなものがある。

「日英友好」という言葉を形にするとこのようになるのだろうか。中に入ると細長い部屋にいろいろなものが並んでいる。まず出くわすのがお約束の「顔出し」である。

007の顔はショーンコネリーのそれのような気がする。ここでぼこん、と殴られているのは誰だろう。「河童」と呼ばれているようだが。ひとしきり感心した後

「そもそもここは何なのか」

という疑問を解くべく壁に掛かっている展示を眺める。概略以下のようなことらしい。

007の作者(これは初代の作者ではなく、何人目かの作者)が直島のベネッセに泊まった。でもっていろいろなことに感動したので「直島でG8が開催され、悪者が来たのだが007がやっつけてくれました」というお話を書いたのだそうな。(「赤い刺青の男」という題名)

で もって「是非その映画化を」ということでこの007記念館を作ったとのこと。というわけで最初に「007記念館」という言葉を聞いたときに想像したのとは 異なり、まだ映画は作られていないのであった。一番奥には物語のキーとなる巨大な心臓が飾ってある。なんでもG8会場となったベネッセハウスで敵役河童が 身を隠していたのだそうな。

こ こまでくると時間が気になり中を見るのがいい加減になる。私は時間に追われる感覚にとても弱い人間なのだ。今考えてももったいないと思うがしょうがない。 もう片方の壁には地元の高校生が書いたとおぼしき007のポスターが並んでいる。それは本当に下手なのかあるいは狙ってそう書いているのか判断に迷うよう な絵柄だ。調べればこれは

「同館では一万人突破を記念して、高松工高デザイン科二年生二十八人が制作した007映画ポスターを来年三月まで展示している。」

ものなのだそうだが。

と いうわけで名残惜しいがその場所を後にする。しかしまだ奥に何があることに気が付く。家の裏にある山の洞窟を防空壕として使っていた、というのはよく聞く 話だし、私が前に住んでいたアパートの近くにもあった。しかしここのように人形まで置いているところはそう多くないと思う。

これは旅の最後に思わぬスポットに出くわしたわい、と満足のうちに船に乗る。ボンヤリと考えているうちに気が付く。来場者1万人突破と書いてあったが、そもそもどうやって入場者数を数えたのだ。私はただ入ってでてきただけだが、誰かが勘定していたのだろうか。

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注釈