題 名:巡り巡って

五 郎の 入り口に戻る

日付:2007/4/23


東 京湾観音:千葉県(2007/3/30)

と いうわけで再びハンドルを握るとひたすら走り続ける。途中いくつか風車を見た。なるほどこれは町のシンボルであってシェークスピアカントリーパーク にのみ 関係しているわけではないのだな、と納得する。房総半島を横断し外房から内房に入りひたすら北上。カーナビに表示される「目的地までの残り時間」が 数分になったところで遠くにその白い 姿が見えてきた。徒歩の旅行だったら写真を撮るところだが、今日は自分で運転している。そんなことはできない。そのうち目的地への入り口と おぼしき道がみつかった。そこからは小高い山をだらだら登っていく。これが意外に長い。近くにJRの駅があったから、ここに公共交通機関で来ることも可能 なのだろうが、この坂を歩きで上るのはつらかろう。しかし車ならアクセルを余分に踏むだけ。カーブを何度か曲がるとそのお姿が見えてくる。
遠景

東 京湾観音である。「東京湾」だから千葉県にあっても問題はない。某デニーズランドより良心的である。車を駐車場に止めるとさっそく中にはいる、とはならな い。周りにいくつか興味深い石碑があるのだ。たとえば一つの石碑にはここは世界平和を願い、戦争受難者のため、私費を投じて建設された、とある。なるほど なるほど。それはとてもよく理解できるのだが、別の石碑にはこんなことがかかれてある。

「戦に勝つように祈っても宇宙の真理は動きま せん。神は必ずしも形式を喜びません」

なぜこのフレーズがでてくるかと言えば、どうやら伊勢神宮を20年ごとに建て替えるのは無駄な ことであり、改善が必要だと訴えているようだ。山に木が有り余っていた頃ならいざ知らず、今の時代にはそぐわぬ、と主張しているようだが。

建設者

こ のお二方がここを作った夫妻であろう。いくばくかの入場料を払って中に入る。建設中の写真が飾ってある。
建設中
ここから階段を ひたすら上っていく。螺旋状になった階段の中心には、階ごとにこんな像がある。
木彫り
例によって最初は余裕で 上っているがそのうちだんだんつらくなる。そうなると次から次へとでてくる像にも不感症になるのだが、突然こんなものがでてくるとやはり足を止めることに なる。
マリア観音
聖 母マリアの観音である。えーっとキリスト教の聖母が観音、などと難しいことを考えなくてもすむところがこの国の良いところである。
ふと気がつくと螺旋状の階段から、外側にむかって開いた穴がある。はてなんだろう、と思い顔を出した瞬間足 がすくむ。
外
外が見える通路への出口だった。そして自分が大変な高所恐怖症であることを思い出す。も ちろん安全だとは思うが、そこから先には足がすすまない。というかこの写真も相当な及び腰で撮っている。すぐ中に戻る。後で下から見たが、たぶんここに顔 を出したのではないかと思う。
外から
こうした外への通路が いくつかあり、そのうち一つはふさがれている。そのうち今まで上ってきたタイプの螺旋階段が終わりになり、中央の柱の中に、別の狭い階段があることがわか る。そのほかにもこんな階段がでてくる。
階段

な んとなく怖いが意を決して上ってみる。するとまたその上の階に階段が続いている。だんだん周りの壁が近くに迫ってくる。その昔東京タワーに上ったときも感 じたが、壁が周りから近づいてくるだけで説明できぬ恐怖を感じる。がんばって2階ほどあがってみたが、それ以上は足が動かない。引き返すことにした。後 で内部構造図を見ると16階の手前で逃げ出したのではないかと思う。ここは首にあたり一番細くなっている。そのさらに上の20階まであるようなのだが、私にはとても無理 である。しかし

「長い螺旋階段を上って最後に”これかよ!”と失望して帰ってくる」

のが定番となっている大観音 にあって、ここの構造には 正直驚かされた。上れば上るほどいろいろなしかけがあり飽きさせない。私が高所恐怖症でなければもっと楽しめたかもしれない。悔しいのでで何階だったか忘れたが置いてあった記帳ノートのようなものを見てみる。

「教採合格しますように
お金がほしい
や せますように (別の人の文字で)たべるな?
やさしくなりますように」

などとなかなか味わい深い言葉が並んでい る。もちろん読んでいてつらくなるような言葉もあるのだが。

というわけで満足感に包まれながら階段を下りる。外にでてみると、観音様 の足下にも石碑があることが分かる。書いてある内容はなかなか熱い。

「目を覚ませ日本人」

という題名の元、選挙 を棄権するのはけしからん。国防を考えろ。赤い思想を説くのはけしからん、と文字が並んでいる。またふと気がつけばこんな像もある。

浦島太郎

さ て、というところで駐車場に戻る。見上げた観音様はちょっと鼻の穴が目立つが、裾が広がってなかなか見事なお姿なのであった。
お姿

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注釈