題名:巡り巡って

五 郎の 入り口に戻る
日付:2008/5/12


両国ポンプ所見学会: 東京都(2008/6/18)

東京都慰霊堂を後にすると、先ほ どきた道を戻る。私より先に保育園児の一団がはいっていったようだがそれほど混み合っているわけでもない。入り口付近でたっているおじさんたちに「こんに ちわ」と 挨拶をする。

入り口付近

ま ず金網にいくつか写真が貼られているのをみる。若いお兄ちゃんが説明してくれる。食用油を流されるとこんなふうに下水管にたまっちゃうんですよ。ううむ。 確かにこれは管理する方にとってはたまらない。やはり食用油は固めて捨てよう、と固く心に誓う。問題は私自身が油の後始末をする機会はまずない、ということなのだが。

オイルボール

ほかにもいくつか写真があり、どのように下水管を検査するのか。どのよう にたまった沈殿物を取り除くのかなど丁寧に教えてくれる。お礼をいってその場所をあとにし、建物にはいる。PCを使ってこれからの見学コースを解説してい るようだ。効果音つきで、なかなか凝ったプレゼンテーションである。「停電時のための非常用発電機」の説明ではキーンというガスタービンの音が響く。説明 の 趣旨は「外に音がもれないよう、このように防音対策をしております」というところだったのだが、私は社会人2年目の頃を思い出していた。当時担当していた 機材には、こんな音をだすガスタービン発電機がついていたのである。燃料の代わりに水つっこまれて止まったり、寒冷地で燃料が凍ったりいろいろしたなあ、 など と感慨にふけっている場合ではない。説明はまだ続いている。それを聞きながらあれこれ考える。この人達、きっと普段の仕事でこうやって 説明することはないんだろうけど、今日のためにきっとあれこれ準備したんだろうなあ。リハーサルとか。そう思うと聞く方にも力がはいる。ほどなく説明 が終わり、座っていた一団が歩き出す。最初に行ったのは制御ルーム。

制御室

映画でこういう部屋がで てくると、たいてい悪者が機関銃を乱射し、何の罪もないオペレーターは殺されてしまう。いや、悪の制御ルームだと正義の味方が銃を乱射するかな、とかよけ いな妄想にふけっている場合ではない。説明は続いている。東京エリアの降雨状況を詳細に表示してくれる「東京アメッシュ」なるものが紹介される。ううむ。 これは便利そう だ。これで雨の動きを見れば、いつ帰るべきかとかあれこれ判断できそうだ。これから 活用することにしよう。

と 悟りをえたところで、その部屋はおしまい。外に出ると階段を少し下りエレベータに乗る。階段のところで、丁寧に「お足下にお気をつけ下さい」といってくれ る。エレベータは一番上が一階というあまり見ない作りだ。降りると広い部屋に出る。ここには非常時用のガスタービン発電機があるのだ。

ガスタービン

暗くてわかりづらいが、これがご本尊のガスタービン。というか説明によれば、航空機用のジェットエンジンそのものである。外にあるケー スというか囲いに は石川島播磨重工の名前が書いてあるが、ジェットエンジン自体は輸入物なのだそうな。一通り説明が終わったところで「これはどれくらいの頻度で運転するん ですか?」と訊く。すると「非常用と言っていますが、結構まわしています」と答えが返ってくる。なんでもこれ1台で6基あるポンプのうち3基まわせるのだ そう な。将来的にはもう一台増設する予定だそうで、隣にはそのためのスペースががらんと空いている。

そこをでると再び階をおりる。今度はポンプをまわすモーターのある部屋につく。パネルを使い、そもそもなんでポンプがあるのかを説明し てくれる。そこで使われていたポンプの仕組みを説明する模型がこれ。

模型

私と同じ年頃の人であれば「マブチの水中モーターだ」と叫ぶところである。ひねってスイッチをいれると、結構な勢いで水がながれる。 モーターのほうに目をやればなにやら人影が。

モーター

しかしよくよく観ると、「彼」は人間ではないことに気がつくのであった。

人形 

思うに「彼」は年に数回、見学者がいるときだけ出動するのだろうか。あるいはああやって、モーターの大きさを見学者に知らしめるた、立 ち続けているのだろうか。

と いったところで建物内の見物はおしまい。エレベーターで1Fにでると出口のところでお土産をもらう。なんと鉢植えの花だ。いろいろな種類があるようだが、 朝顔とひまわりしかわからない私にとってはどれがいいのかよくわからん。赤い花がついたものをもらう。そのほかにも、あれこれ詰まった袋をもらえた。

そのさきにはいくつか模型が展示されている。以前から洪水のときに土嚢をつんでいる光景をみて「土嚢って結構すきまあるから、水漏れるので は」 と思っていたが、説明を聞く限り、ちゃんと水の侵入を防ぐ効果があるようだ。近くでは、「ゆるキャラ」が保育園児と一緒に写真を撮っている。

アース君

これに名前はあるんですか?と聞くと「アース君です」といわれ、背中をゆびさされる。確かに「アース君」と書いてある。頭にのせられた マンホールがチャームポイントである。

といったところで見学はおしまい。最後にはアンケートをかく。こなれた案内とは思わないが、一生懸命準備 して、聞いてもらおうという気持ちは十分に感じられた。というわけでアンケートの評価はほとんど満点である。

さ て、その後私は両国国技館に向かう。「相撲博物館」という文字に引かれたためだが、ここは全くの期待はずれ(私にとっての)だった。さして広くもない部屋 にあれこれ由緒あるものが飾ってあるが、私のようなひねくれ者の興味をひくには正しすぎる。唯一理解できたのは、歴代の横綱の写真であった。輪島からは 知っているなあと思って見続ける。双羽黒の「優勝回数:0」というのが光っている。彼は「スポーツ冒険家」になりプロレスラーになっていたようだが、今は 何をしているのだろう。もう少し年配の見学者は「双葉山」をみてどうのこうのとしゃべっている。考えてみれば見学会にきていたのも「近所のお年寄り」ばか りであった。そもそも私のような「本来働き盛り」であるはずの人間が平日の昼間に何をしているのか、とは問わないでほしい。世の中にはいろいろなことがあ るのだ。

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注釈