題名:巡り巡って

五 郎の 入り口に戻る
日付:2010/08/06


機動戦士ガンダム1/1立像@東静岡: 静岡県(2011/1/17)

1/16はお歌のお稽古。数百年の時を経て現代に受け継がれているクラシックが名曲ぞろいであるのと同様に、数十年の時を経て現在に受け継がれる ロックも名曲ぞろいである。ああ、Highway Starはいい曲だなあ。

などと大騒ぎした後外に出れば大雪である。ここは名古屋。日本海側を中心に雪に注意とは聞いていたが、名古屋は太平洋に面している筈。などと文句を いっても天候にはなんの影響もない。滑る足を気にしながら実家に戻る。五郎を太らせ五郎の屋根に雪降り積む。

明日は休暇であるから一日使ってのんびり我が家に戻ればよろしい。貧乏だから帰りも鈍行で帰ってやろう。そこに家から電話がかかる。午後5時までに は帰れというご命令だ。Yes, Mam. 電話を切る。2カ所回る予定だったが、5時までに帰らなくてはいけないとすると。PCをかちゃかちゃやって調べている私に母が

”あんた、珍寺回らなくていいの”

と声が飛ぶ。お母様。ちゃんとそのつもりであれこれ調べております、というと母は満足そうな顔をする。

天気予報によれば翌日は奇麗に晴れるはずだったのだが、起きてみるとまだ雪がしんしんと降り積もっている。グータラな実家の犬もそれなりに雪道は楽 しそうとの事。あれこれ支度をすると家をでる。地下鉄の駅までの道を慎重に歩く。

名古屋駅についてみると50分前に発車していなくてはならない電車がまだ電光掲示板に表示されている。予約していた電車に乗ろうとすると時間がかか るからホームに止まっている電車に飛び乗ってしまう。幸いなことに自由席が空いている。出発時点では40分遅れだが、徐行運転をするため浜松に着くときに は80分遅れが見込まれるとの事。東に進むにつれ天候が回復していく(これが時間の経過によるものかどうかは私の知るところではない)降り積もった雪もだ んだん薄くなっていく。浜松に着く頃には屋根にうっすらと雪が残っている程度になる。

奇麗な空だなあとおもっているうち静岡に着く。ホームに降り立ちその暖かさに驚く。なんだこれは。頭上に広がるのは青い空。さっきまで名古屋で寒さ に震えていたというのに。乗り換えの通路にはこのようなポスターがいくつも張ってある。

ポスター

普通列車に乗り換え一駅で東静岡だ。階段をのぼり改札を出る。さて問題です。左右に通路が広がっているのだがどちらに行くべきでしょう。あれほどた くさん張ってあった案内の類いはここでは目に入らない。右手がにぎわっていそうだが、おそらく定義によって人気が少ない方が正解であろう。左手に歩き出 す。すると通路から見えるではないか。

初見

思わず”いた”と声を出す。こちらで正しかったようだ。今日は富士山が奇麗に見える。富士とガンダムは絵になるのではないか。両者を一つの画面にい れるためには、もう少し進んでいけば、と思うが通路が終わってしまう。そこにはこんなブースがある。

ブース

概略の配置を頭にいれて階段を下りる。平日の午前中から中年男がガンダムなど観ていていいのだろうか。いいのです。というわけでずんずん進む。静岡 のなんちゃらショップとかあり、主催者にとってはこちらのほうが重要なのだろうが、まずはガンダムだ。そう思っているとなにやら怪しげな格好をした人が。 背負っているのはどこかガンダムカラーではないか。コスプレの人か、とよくみれば掃除をしている人だった。

モビルスーツ?

その先にガンダムゾーンがあることを知る。インターネットで調べた際、スモークがでたり首が動いたりの演出は1/10で終了と出ていた。あらまあと 思っていたのだが、私が眺める分にはなんの問題もない。ぐるりと回って写真を撮る。

ガンダム01

ガンダム02

大仏様、また会いましたねというのが正直な感想。以前とはポーズが変わっており、右手にビームサーベルを持っている。地面につくところで何やらを 切っているのだがここが却ってリアリティを損なっているような気もする。

ビームサーベル

アニメーションの制作者が意図していたかどうか知らぬが、この18mという大きさは実に良い大きさだと思う。あまり小さいとありがたみがないし、で かいとビルのように思える。やれ、ありがたや、と手を合わせるのにちょうどよい大きさだ。ガンダムの後ろには某携帯電話会社の巨大ビルやら、某警備会社の ビルがある。おかげで富士とのツーショットがとれぬではないか。憤怒の炎を燃やしながらぐるぐるするがよい場所がない。

ひとしきり観たところで回りに目をやる。オフィシャルショップなどというものがあるのだが、お土産に興味がない私は中にはいろうともしない。しかし 看板にでていたこれは気に入った。

おみやげ

確かに会社へのお土産などによいかもしれん。といったところでガンダムゾーンの見学はおしまい。出口には飲食店がならんでいるが、ガラガラなので開 いている店自体少ない。ここで何を食べたかは別項を参照してもら うとして、食べ終わった私は先ほどとおり過ぎた静岡市のブース等を見に行くわけだ。

伝統工芸

この写真を見ながら私はしばし考えにふける。このブースを企画し何を展示するかについて会議とか承認とかややこしいことがたくさんあったのだろう か。その結果を誰が観ようが観まいが関係なく。個々に並んでいる写真に乗るか乗らないかにも人知れぬドラマがあったのかもしれん。

再度ガンダムの回りをまわってみたりあれこれした後、同じ敷地内にあるホビーなんとかというところに向かう。券売機があり大人は600円。ガンダム を観るだけなら無料だと掲示されているところが良心的だ。こういう類いの展示は失望する事が多いが、まあガンダムへのお布施ということで、と600円払 う。

中では写真をばしゃばしゃ撮る。掲示に”写真は家庭内で楽しむ範囲でご利用ください”とあるから、それらをサイトに提示するのが適当か否か判断がつ かない。もっとも一枚を除きその写真をここにのせようとは思わない。私が子供の頃組み立てた記憶のあるバルゴンのゼンマイ駆動おもちゃとか、田宮の 1/35戦車シリーズ等をみて面白いと思うのは私個人の記憶と結びついているからであり、他の人がみてもおもしろくなかろう。しかしこれはどうだ。

正体不明

思えば確かにこういう”正体不明なキャラクター”の怪獣もあったような気はするな。そしてこの年になれば、こうした商品を企画した人、絵を依頼する 人、依頼された人のことについてふと考えたりもするのだ。

”怪獣ブームだよ。怪獣のプラモデル出そうよ”

”でもうちの会社が使用権利の代金払えると思う?”

”怪獣ならなんでもいいから、オリジナルの作ろうよ”

(というわけでデザイナに依頼”

”ちょっと、、これまずいよ。ゴジラに襟巻きつけただけじゃ。やり直し”

とかなんとか。

進んでいくとガンプラのゾーンになる。同じ事を考えた人は多いと思うが

”よし。モビルスーツのパイロットになるぞ”

と思い厳しい訓練をこなしたあげく

”君が乗るのはボールね”

と言われたらどのような気持ちだろう。そこに実物大のコアファイターとザクの頭部もあるのだが、表にあるガンダムに比べ全く情感を感じない。この差 はなんだ。

などと考えているうち出口近くのお店屋さんにたどり着く。そういえばウォーターラインシリーズとかよく作ったなあと思いながら値段をみて仰天する。 信濃は3000円以上するのだ。当時幾らだったしらないが、この値段だったら決して手が出なかった筈。インフレってこんなにすごかったっけ。これでは気の 迷いで買う訳にもいかない。しょぼんとしながら歩き出すとこんなものがある。

特産

そういえば開業したばかりのデニーズランドには千葉特産館があったように記憶している。落花生とあと何があったっけ。今ならあそこに行って写真を撮 りまくるところであるが、当時は物を知らなかったなあ。

などと思い出にふけったところで見物はおしまい。出口近くには警備の人がおり、親切に扉を開けてくれる。再度ガンダムを目にしつつ駅のほうに戻ろう と思ったら

”もしもし、こちらは入り口なのであちらから出てください”

と言われる。こんなにガラガラなのだからどちらから出てもいいのではと思ったが素直に従う。

東静岡駅に戻ると、ガンダムと富士のツーショットがとれぬかと動き回る。

ツーショット

これはローターリーからとったもの。ここでもう少し上方に移動できれば奇麗にとれたはずなのだが。

ツーショット

こちらは駅の端からとったもの。一番ましなのはこのショットだろうか。というか誰かガンダムを置くときに富士をバックに映えるようにとか考えなかっ たのだろうか。

などと考えているうち、コンコースにたくさんの人がカメラを構えていることに気がつく。

人々

最初は富士でも撮ろうとしているのかと思ったがそういう雰囲気ではない。何かわからないか、と近くによってみる。誰かが近くによってきた子供に

”黄色い新幹線がくるんだよ”

と説明してるのを耳にする。子供向けのDVDで知った”ドクターイエロー”とかいうやつか。それを撮るためにこれだけ人が集まるのか。そのうち誰か が”来た”という。

イエロー

私はここでシャッターを押したが、回りの人は”まだ早い”と言う。

ドクターイエロー

周りでシャッターを切る音が何度も響く。きいない(名古屋弁)新幹線はあっというまに過ぎ去る。それとともにたくさんいたカメラマンも脚立やらを さっさと片付ける。

思いもかけずきいない新幹線に出会った私は満足しその場を後にする。さて、お家に帰ろう。

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注釈