WISH2009に半分だけ参加した

2009-08-24 12:29

というわけで会社の宴会をさぼり、WISH2009に半分だけ参加した。

WISH2009

まず参加者の数に圧倒された。もともと300名というふれこみだったが、それよりかなり多くの人が集まったようだ。立ち見まで出たとの事。

この数をみても、このイベントがみんなの潜在的なニーズを捕らえた物であった事がわかる。今回の主催された方々は苦労も多かったと思うが、その構想から実行まで見事だったと思う。前半だけでも機材のトラブルがあれこれあったが、それはまあお約束というやつ。午後3時から(開始は午後7時)リハーサルをしていたという準備の周到さに拍手したい。



さて


以下プレゼンテーションの内容について記述する。観点は

・プレゼンテーションが良かったか否か(私だけの視点からみて)

にしぼる。事業性かどうとかそういう難しいことはわからない。慶応大学を除いて皆自分で事業を立ち上げようと言う決意をされた方達で、その点については素晴らしいとしか言いようがない。その敬意は十分持った上で、一聴衆としてどう感じたかについて書く。

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●番外編:スポンサーであるLivedoor

・7分の持ち時間の中でいきなり自己紹介を始める。しかも

"これが私の好きな仮面ライダーです"

と語りだす。その仮面ライダーが何かの前フリかと思えばその後と何の関係もない。

・前方に投影されたスクリーンをみるか、PC画面をみるかで観客とアイコンタクトを一切とらない人であった。しゃべりにもメリハリがない。

・今回はプレゼンの最中に1−4までの点を投票できるシステムが運用されていた。このプレゼンだけは直後に点数が発表され1が突出して多かったと思う。私も同意だ。

●ドレスファイル

・MacのプレゼンソフトKeynoteを使っているのだが、なぜかPowerPointを使っているかのように見える。Jobsのプレゼンでは単語だけ提示し、後は言葉で語るのだが、この人の場合文章を画面に書いてしまっているので結局画面を読むだけになっている。

・言っていることは"衣服の収納をアウトソースし、ご依頼いただければ翌日にはお届けいたします、ということで大変興味深い。しかしプレゼンはうまいとは言えない。

・時間オーバー。ちゃんと練習してきたのだろうか?

●こくばんin

・話す内容は"低年齢層のコミュニティを運営する難しさ"話としては面白いが、誰もが自分のサービスを知っているという前提からスタートしている。

つまり話だけ聞いても"こくばんin"がどんな面白いサービスなのかわからない。
画面の上には文字だけならんでいるので、画面を見ていなくても問題ないプレゼン。

・まあこういう開き直ったのもありかな、と思ったら最後の"今後の展開"は普通の話になった。おまけにデモを始めたところで時間オーバー。ちゃんと練習(以下略)

●30min

・実にパワーポイントらしいスライドが続く。ロジカルに正しいチャートが書いてあるのだが、インパクトが無い。事業計画の説明ならこれでいいと思うのだが、5分のプレゼントしてはいかがなものか。

・よく聞くと興味深いキーワードがちりばめられている。ユーザは面白い情報を知りたいと思っている。お店はそれを発信したいと思っている。大手のサイトにはできない、それらをつなぐ機能を提供したい、というコンセプトには共感した。

・最後ようやくアプリを見せはじめたところで時間切れ。ちゃんと練習(以下略)



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ここで主催者氏が"みなさんサイトの画面をあまり見せませんねえ"とコメントする。全くその通りだ。なぜ言葉を連ねるばかりで

"俺がやっているサイトはこんなに面白いんだ"

と実際のサイトを見せアピールしないのだろう。しかし次のプレゼンは違った

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●lang-8

・前半唯一面白いと思ったプレゼン。いろんな言語間で添削し合うことによってSecond Languageを学びましょう、というサイトの紹介。

・ポイントとなるページをあらかじめタブで開いており手際が良い。プレゼン中何度も笑いが起こる。収益はコストの9%です、と言ってしまう辺りも好感が持てる。

・初めて時間内で終わった。しゃべり慣れているという印象があり、聞いていて楽しかった。このLanguage exchangeというのは遠い昔にやったことがあるが、もう一度やってみようか、という気にさせられた。


●CEREVO

・"5分しかありません"と何度も繰り返す。その間に、どんどん時間が過ぎていく。

・そもそもどんなサービスか、どんな特長があり何がウリか、伝えたいコンセプトはなんのなのか、等について少ししか語らず、開発の過程について延々しゃべる。私の左にいた人は珍しく身を乗り出して聞いていたが、、、

プレゼン後司会者が"CEREVOのWISHは、デジカメのデータをローカルに保存する人がいなくなることです"と言っていた。これにはプレゼン中一切言及がなかった。なぜそう思うが、なぜそれが魅力的なのかをわからせなくては。

・時間通り終わったのはよい。

・しかし"5分しかありませんからデザイン、詳細なスペックは8/29のイベントで"と言われたのには失望した。年度内には出します、夏には出します、とアナウンスだけは何度もされていたが、今回は"秋には"ということだった。

秋に出すのならまさかデザイン決まっていないということはないよね。(できてないから一週間待て、ということならそう言えばよい)サーバーの筐体を京都で作らせました。はてなのサーバーには負けません、とか言ってたが

"そうか。サーバー筐体自作してるならここのデジカメ買ってみるか"

という気になる聴衆がいるのだろうか?そんな時間があるなら、デザインでアピールした方がうなずく人は多いと思うのだが。

リリースが遅れている事に関して、出資者(すでにコンセプトを理解している人達)への言い訳ならこれでいいだろう。ちゃんと努力して進んでおります。でも今日の聴衆はそうした人ばかりじゃないよね。

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ここらへんで"この人達はいったい何をしにきているのだろう"という疑問が頭をよぎる。(除くlang-8)


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●慶応大学

・つかみは完璧。傘を振り回し、聴衆からどよめきがおこる。

・しかし後半は退屈だった。誰もAjaxという言葉だけでは動かない。Google Mapすごいよね。どんなテクニックを使っているのか、と思うからこそAjaxを使おうと思うのだ。

つまり"ツール作りました。皆さん使ってください"では誰も動かないのだ。ほれこれすごいでしょう。実はこれがあったから簡単にできるんですよ、と言わなければ誰が興味を持つのだ?

"ほれこんなすごいものができるんですよ"はあるにはあった。写真を数枚駆け足で見せただけだったが。

・多分みんな"滝川クリステル"しか覚えていないと思うよ。(実際表彰されたとき、プレゼンターは"クリステル"しか言えなかった)まあ学生さんだからそれでもいいのかな。

・時間通り終わったのはよかった。

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といったところで3つめのパン(主催者とスポンサーのおかげで、会場にはパンが山積みになっており、自由に食べることができたのだ)を手に取ると退場。


帰り道、あれこれ考える。

・5分間のプレゼンということは、30分あれば考える時間を含めても4回は練習できるということだ。

みな事業をやっている人だから忙しいというのはわかる。しかし一食をおにぎりにすれば30分捻出することは可能ではないのだろうか?

一度でも練習すれば防げる"楽々時間オーバー"のプレゼンがいくつもあった。全く練習していないとしか思えない。


・そもそも彼らはこのプレゼンで何をしたかったのだろうか。私が仮にやるとすれば、

"私が作っているサービスはこんなに面白いんです。他のとはこんなに違うんです"

とアピールすることを第一に考えると思う。そもそも"あまり知られていないwebサービスにアピールの機会を与える、というのが主催者の目的でもあるし。

彼らがそうした意欲を持っていることは間違いないと思う。そうでなければ自分で事業をやろうとは思わないだろう。

しかしそれが全く伝わらないプレゼンが多いのには驚いた。Googleのプレゼンじゃないだから

"みんなうちのサービス知って、使ってますよね。じゃあ舞台裏をご紹介しましょう"

からスタートしちゃだめだと思うのだが。(CEREVO,こくばんin)


いや、こう考えるべきだ。上手なプレゼンというのは結局難しいことで、誰もができるわけではない、と。後で動画を見たのだが、百式の田口氏のプレゼンは見事なものだった。後半どれだけ興味深いプレゼンがなされたか私は知らないじゃないか。

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とかなんとか難癖を付けるだけなら猿でも私でもできる。家に帰ってGoromi-Tubeのログを観れば、この数日間使っているのは私+1−2名だけだ。

あそこでプレゼンしてた人達のサービスは最低でも3−4桁違う数のユーザがいるんだろうなあ。。。