『近未来ケータイ会議 sponsored by 富士通』に前半だけ参加した
2010-02-10 06:56
というわけで言ってきたのだ。
孫社長の意見に私は賛成だ。SmartPhoneとらくらくホン、この二つにはさまれたガラケーにはたして未来はあるのだろうか。またガラケー開発最前線で戦っている人たちはどのように考えているのだろうか。
当日私が考えたことは
"ガラケー開発者に迷いはない"
ということだ。印象的な部分だけ書いておく。この先を読んでくれる人に私の異常なスタンスを書いておく。私はiPhone原理主義者であり、会場で"Smartphoneだけ使っている人"として手をあげた数少ないうちのひとりであり、F-04B知らない人、といわれ手をあげたほんの数名のうちの一人である。
会場につくと、名前のチェック。そのあと胸から富士通の名札を下げた人たちからサブウェイサンドイッチと水を渡される。遅くまでありがたいことです。
始まるまでしばしぱくぱく食べる。久しぶりだなあ。夜遅い(私にとっては)集まりにこういうのはありがたいなあ。
例によっていつもの事務連絡。本日しゃべる方は"ポロリ"が多い人なので、リアルタイムのustream,とかはなし。twitterも少し時間差をつけてね、とお知らせがある。
事前課題として"ケータイカメラ"の新しい使い方が募集されていた。その中から9種類のアイディアが紹介される。あまり頭に残っていないので省略。
そのあと"富士通が考える未来のケータイ"という題で富士通の人が講演をする。
まず最初にでてくるのが
"スマートフォンは話題にはなっているが、シェアはたったの2.3%"というチャートだ。つまりそんなものは気にする必要はない。主力はケータイだ、と言いたいのだろう。(少なくともこの後の説明で、スマートフォンとの関係を意識した説明は一切なかった)
でもってケータイの世界では次の5つの変化が起きているのだそうな。
"超"常時携帯:つまり水につっこんでも、泥にまみれても大丈夫です。富士通ならどんなケータイでも防水、防塵にできます!
日本語入力技術:富士通は実はソフトをやっている人が多いんです!PC向けに何十年も開発してきた手書き文字入力がケータイにのりました!
能力補完計画:らくらくホンむけに、マイクを二つ付け、バックグラウンドノイズを消す技術を搭載しました!
ヒューマンセトリック:半年前からこう言い始めました。人間の嗜好、興味をインテリジェントに解析し、情報を提示するんです!具体例は何か?ケータイを腰につけてゴルフスイングをすると、振動パターンから、スイングへのアドバイスをしてくれるんです!(会場で"ゴルフをする人"と聞いて手をあげたのは私の視界内では一人だったが)
インフラの変化:LTEです!早いんです。すごいんです!
さあこれからは未発表、未発売の技術です!
セパレートケータイ世界初です。取り外せると何がすごい?たとえば、店で服をカメラでとりながら、電話で相談できるんです。
プロジェクタ搭載:ケータイにプロジェクタがつくんです!本体を振り、プロジェクタに写した画面でボーリングゲームができるんです!
3D表示:みんなアバターみましたよね。ケータイも3Dになるんです!
わくわくしませんか?
ここで休憩時間。前の画面には、LTEがあたりまえになった世界で新しいサービスを考えましょう、という文字が書いてある。
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この"世界初!"とか"業界初!"とかいうのをやたら並べるのは日本の大手メーカーの得意技である。特徴のある技術で世界一、というわけだ。
世界初!とうたえる技術が何一つないiPhoneが業界にどのような衝撃を巻き起こしていようが、たかが2.3%のさらに数分の一の話さ。話題になっているだけで大したことはない。そう考えているのだろう。実際プレゼンをした人に迷いはなく言葉には力があった。観客たる私にはそれが伝わらなかっただけで。
それが何の意味があるのかわからない"技術"をひたすらならべて、その結果はどうだったのか?自分たちは何を作りたいのか。ケータイがある世界はどんな風であるべきなのか。そんな問いはとりあげられたこともないのだろう。
ではその"すばらしい技術"はどうなのか?
一例として"手書き文字入力"を取り上げよう。歴史のある分野だから、富士通でも内部的に膨大な蓄積があるのだろう。
しかし
一度でも手書きで日本語を入力したことがある人は、その欠点に気がつくはずだ。漢字は画数が多い。それを全部入力するのは苦痛でしかない。精度云々の問題だけではないのだ。
ではどうするか
せっかくタブレットではなく、液晶画面に文字を書いているのだから、入力候補文字の形状を画面上に提示し、その文字の形の要所要所だけを指定すれば、簡単に難しい漢字が入力できる。これなら親指連打より簡単です!そこまでやってようやく"技術"の意味があると思うのだが、そうした考えは全く感じられなかった。社内の研究発表会では"世界一の認識精度!"とやるんだろうけど、問題はそこだけじゃないよ。
もう一つ聞きたいことがある
セパレートケータイ、プロジェクタケータイ大いに結構なことだ。
でもって富士通の中の人は、これ使ってるんだよね?
発売前らしいけど、社内には何台もあるよね。是非日常どんな風に使っているか。今まで使っていたケータイから試作機に乗り換えた人の生の感想を聞きたかったな、と思う。
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後半の会議は誰かがブログにまとめてくれるだろう、ということで家路につく。ポストイットケータイのアイディアは面白い。質問にもあったが、多くのユーザがハードウェア的に一番不満に思っているのは電池だと思う。
画面の中に表示される世界では、米国に太刀打ちできないとすれば、日本人らしい細やかさをいかしたらくらくホン、あるいはハードウェアの革新にフォーカスする、というのは一つの行き方だ。それこそ
"電池不要"
のケータイは大きな反響を呼ぶと思うが。というか、それくらいばかげたことを徹底してやらないと、とチンピラエンジニアは考える。
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プレゼンの最初のほうで
"Smartphone使っている人"
と聞かれると概算だが会場の半分以上の人が手をあげた。その次に
"SmartPhoneだけ使っている人"
と聞かれると、ほんの数本だけ手が挙がった。ええ、みんな2台もちですか?この日一番の驚きはこの結果だったかもしれない。