CEATEC2012に行ったよ

2012-10-09 07:00

というわけでCEATECにいってきた。一時に比べると、出展者数も、来場者数も随分減った。来年からは東京ビッグサイトでいいのではなかろうか。

特に驚いたのが、自転車、自動車関連のスペースが巨大になっていたこと。一角は「ここは東京モーターショーか」というくらい自動車だった。

さて、CEATECでおもしろいのは、運がよければ会社の担当者に近い人とお話ができることである。特に印象に残った会話を以下に。

Panasonicのスマート家電展示で、冷蔵庫にスマホを近づけると、節電の情報がわかります、というのを担当者が説明している。

Q:家電の寿命は長いと思うが、その間ずっとスマホアプリを維持する、ということか
A:7年の修理部品の保持が義務付けられているが、それに相当する期間アプリを維持する。

感想:すごいなあ。7年後にはAndroidはどうなってるんだろうね。それでもどんな形態であってもアプリを維持する、という判断はやはり大企業にしかできない。

Q:冷蔵庫の節電を可能にする、とのことだがそもそも冷蔵庫の消費電力に興味をもつ人はいるのか?
A:調査によるが、2−3割といったところ。こうやって説明していても、そもそも冷蔵庫の消費電力なんか気にしたことがない、という人は多い。

感想:エコは大義であっても、人間の欲望とリンクしていない。大義のために欲望を制限するのは日本人の得意技だが、原発反対と唱える人も冷房ががんがん使っているのだ。
この「大義と欲望のズレ」はこのあとも出てきます。

Q:おそらく社内で検討され、却下されたと思うのだが冷蔵庫内にカメラ取り付け、何がはいっているかスマホで見られるだけでもいいのではないか?
A:確かにそうした発想はあるし、私も欲しいと思う。しかしいつも鮮明な画像が撮影できるとは限らず、クレームに繋がる。またそれなら賞味期限も撮影できなくてはいけないのでは、とかいろいろ議論があり、結局実現できない。

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この会話からするに、私が「有名」と思う説明は本当にこの会社の人間の発言なのだろう。

「技術はある」。パナソニックの担当者はこう強い口調で話しながらも、商品化しない理由
について「100%の安全性を確保できない」と説明する。

例えば、掃除ロボットが仏壇にぶつかり、ろうそくが倒れ、火事になる▽階段から落下し、
下にいる人にあたる▽よちよち歩きの赤ちゃんの歩行を邪魔し転倒させる-などだという。

家庭で使う家電製品の第一条件は「安全性」だ。一方、日本の製造業は「リスクを極端に
嫌う」傾向が強いため、開発の技術力がありながら、獲得できる市場をみすみす逃している
ケースも指摘されている。

via: 株式・経済ちゃんねる 日本の家電各社が「ルンバ」を作れない理由→「仏壇にぶつかり、ろうそくが倒れると火事になる」

結局「100%の安全性」を確保するためには何もやらないのが一番。かくして誰も欲しいと思わない「節電情報を確認できるスマート家電」が製品化されるわけだ。

私が最初に勤めた「にほんのだいきぎょう」では何事においても、「現実より建前」が優先された。おそらくPanasonicも同じ病気にかかっているのだと思う。リスクを避け、会議で承認しやすい製品を作ろうと思ったら、アンケート結果を元に「大義」を優先させるべきだ。

問題は

それが消費者の考え方と全く合致しないところにある。私を含め消費者は欲望に基づき行動する。体重が増える、健康に悪いと思っていてもジャンクフードを口にする。二酸化炭素が温暖化と頭で知っていても、クーラーを使いまくる。

かくして

小のリスクを回避するあまり大のリスク(倒産)へと突き進んでいくのであった。

いや、日本の大企業がこういう思考をするところばかりとは限らない。KDDIの奇跡の復活には正直驚かされた。2010年に「auが各社に検討を依頼した事項」を聞いた時には「この会社はもうだめだ」と本気で思ったものだが、今やそんなことはどこふく風である。Android auと連呼したかと思えば、それをあっさりすててiPhoneを取り扱う。もちろん2010年に検討していた内容なんかはとっくの昔にゴミ箱行きだ。

となるとつまるところ、経営者の力量次第ということになるんだろうか。私はPanasonicの株持っているし、系列会社に勤めている親族もいるから頑張って欲しいのだけど。