5年後を保証できる人

2012-12-19 06:50

先日こんな記事を読んだ。

足下の顧客流出ではかなりの苦戦が続いています。iPhoneを扱えば流出を止められるのでは?

 今日明日の競争を考えるのなら非常に有力な端末だが、自分たちが考える次のモデルのときにはどうか。仮に「iPhone 10」まで出たとして、競争力は今のように続いているでしょうか。米マイクロソフトがウィンドウズ8でどう挑むか?グーグルはどうするか?

 (中略)

 繰り返しますが今扱えば一時的な効果があるのはわかっています。その期間が長く続くのか、意外に短いのか、5年後ぐらいにどうなっているかを見極めて判断するのが(NTT持ち株会社社長としての)私の立場です。

via: iPhone、5年後を見極める:日経ビジネスオンライン

実のところNTTの持株であれば、いつの日かAppleが没落するその日までじっと腕を組んで待っていることができる。そして

「ほら。俺の行った通りになったろう」

と言い放つことができる。予想を外さない唯一の方法は、何もしないことだ。そうすれば外れることはない。

問題は「どうなるか」ではなく「どうしたいか」なのだが、NTTにそんなことを言うのは野暮というものだろう。

などとくだくだしく書く必要はない。いつもながら、2chという場のこういうコメントに対するツッコミには感心させられる。

5年後にNOTTVが残ってると思いますか?そういうのも見極めないと

via: NTT社長「5年後にiPhone10が出たとして、まだ人気があると思いますか?そういうのを見極めないと」 : ズコログニュース(・ω・)

しかしNTT Docomoの人も気の毒と言えば気の毒だ。自分たちの判断で経営をすることはできないのだ。NTT Docomoの社長が何か考えたところで、今度はNTT持株の「承認」を得る必要がある。そして

「5年後にどうなっているか、君保証できるかね?」

と言われる。その傍らで誰が見ても無茶苦茶なNOTTVの企画はすらすら通るのだ。

室内ではどうしてもワンセグやNOTTVの放送波が受信しにくく、映像が途切れがちに。窓際に持っていけばちゃんと見られるが、机で作業しているときやゴロ寝しているときに手元でテレビが見たいのであって、こちらが移動するのでは解決にならない。ワンセグならともかく、NOTTV3 件は個別に課金されるため、好きな場所で満足に見られないのはちょっと困る。

via: 受信感度がイマイチなら:NOTTV(モバキャス)用のアンテナケーブルを使ってみた - ITmedia Mobile

この違いは何か。彼らにとって「正しい事」とは「自分たちの企業文化に適合しているか否か」なのだと思う。その文化を共有しない人間にとってどれだけ非合理であろうとも、文化に適合していればするする通る。逆もしかりだ。

「5年後にまだiPhoneが競争力を保っていれば、俺の退職金とこれから先受け取る給与を全額返還する」

くらいの事を言ってくれば「そこまでの覚悟があるのか」とも思うが、絶対そんなことはしないだろうし、これから先NTTがどうなろうと持株の社長までやった人間であれば絶対安泰な老後が待っているだろうしね。であれば何もしない、何も判断しないのが一番。