あるエンジニアの検討結果報告

2007-08-29 00:00



エンジニア:えー先日伺いましたご意向にそって、携帯デバイスでのポインティングデバイスに指を使う可能性について検討した結果をご報告します。




検討の基準としましては、技術的リスク、操作の容易性、アプリケーション側からみた機能の実現性としております。スタイラスを比較対照として検討を行いました。




まず技術的リスクですが、検知可能か否か、という点だけから見れば、両者とも大差はありません。しかしながらスタイラスはすでにPDAなどの携帯デバイスで広く使用されていて実績があります。


これに対して指によるポインティングについては現状ではATMなどの比較的大画面のものに用いられていることが多く、携帯デバイスで使うためには技術的リスクが存在します。またたとえばつめの長い女性にとっても容易に使えることが必要というマーケティング部門の意見もありまして、これは指によるポインティングでは実現が難しい項目です。




次に操作の容易性ですが、確かにスタイラスと比べると指は出し入れが不要、といったメリットがあります。しかしながらいったん使い出せば、スタイラスのほうがはるかに容易かつ正確に細かいポインティングを行うことが可能となります。


これに対して、指はすぐ使えるといったメリットがある反面、誤検知によりユーザエクスペリエンスを低下させるといった点が懸念されます。これは先ほど申し上げた内容とも関連しますが、特に画面の小さい携帯デバイスで、ポインティング範囲の広くなる指を用いるというのは、ポインティングの精度を考えた際に困難が予想されます。したがって総合的に見て指にメリットがあるとはいいがたい状況です。




最後の点ですが、今まで実績のある画面部品を持ちいてアプリケーションを開発する観点からしますと、スタイラスのほうが圧倒的に有利です。そもそも既存の GUI部品はマウスによる細かいポインティングが可能なことを前提として開発されています。スタイラスを用いた場合にはそうした部品をそのまま使い、開発を効率化するといったメリットが得られます。


これに対して指を使った場合は、先ほど申し上げたようにポインティングの範囲が広くなり、既存のGUI部品が使えず専用の部品開発が必要になります。加えてそうした専用部品は既存のものよりも大きくなることから特に狭い画面上でのアプリケーション開発には制約が多くなることが予想されます。もちろん画面数を多くすればある程度そうした制約を解消できますが、その場合はユーザエクスペリエンスの低下が懸念されます。




以上のように指をポインティングデバイスとして用いるという案は、スタイラスを用いた場合に比べ、有利な点もありますが、不利な点が多い。ユーザエクスペリエンスを第一に多角的かつ総合的に検討いたしました結果としては、やはり従来どおりスタイラスを用いるほうが有利ではないか、と考えておりますが。。。










Steve Jobs :君机整理してすぐ出て行って。Securityにエスコートさせてくれるかな。