人を仕事に駆り立てるもの

2008-08-05 00:00


先日第二次大戦中のソ連人航空宇宙技術者に関するドキュメンタリーを見た。


ドキュメンタリー一本みただけで、何か書くのは軽率かもしれない。しかしヒストリーチャンネルのドキュメンタリーだからある程度信頼してもよかろう。


スターリンは、航空宇宙技術者を弾圧し続けた。いつ秘密警察がドアをノックし、全く身に覚えのない容疑で拘束されないとも限らない。


そしてソ連はドイツによる攻撃にあい、「余計なこと」をしていると見なされれば、たちまち収容所に放り込まれる可能性があった。


その状況下で、ソ連人技術者たちは


・独自のジェットエンジン、ロケットエンジン、ラムジェット


・全翼機


の開発に取り組み続けた。


結果からいえば、それらの技術は大戦中に実用化されることはなかった。ドイツに比べ着手時期は早かったものの、基礎的な技術が追い付いていなかったように思える。


しかしたとえば同時期の日本と比べてみよう。確かに日本にもガスタービン(ジェットエンジン)に取り組んでいる技術者はいたが、その取り組みは遅々としたもので、かつ規模も小さかった。ロケットに至っては火砲用の個体ロケットを除けば、ドイツから情報がもたらされるまで何の動きもなかったのだ。


昨今会社員のモチベーションを高めるためにはいろいろなことが言われている。やれ楽しみを見つけなければならない、やれ労働する環境が重要だ。


しかしこのソ連人技術者たちが置かれた環境はその正反対だ。モチベーションを挫くためにつくられたような環境下で、彼らはどうやって「新技術」に取り組み続けたのか。


私が子供のころは「謎の国」だったソ連にはまだまだいろいろな物語が埋もれているような気がする。息が続いているうちになんとか調べておきたいものだ。