「ハイビジョンサウンド会議 sponsored by NIRO」に参加した-音以外

2008-10-17 00:00


というわけで、「ハイビジョンサウンド会議 sponsored by NIRO」に参加した。


主催者の田口氏が話しはじめたとたん、ものすごい数のデジカメやら携帯電話のカメラやらが向けられた。というわけで詳細なレポートはいろいろな人が書くと思うのでいつものごとく省略。私にとって印象深かったことだけを書きたい。今日はまず「音以外」のことについて。


これまで田口氏主宰のイベントにはなんどか出席したことがある。進行にはおおまかなパターンがあり、まず会社側から商品の説明、そのあと近くに座っている人同士でアイディア出し、最後に発表、表彰、というものだ。それはそれでなかなか快適だったのだが、今回はそれががらっと変わった。


まず田口氏から全体の説明。ここで


「先日某ブロガー向けイベントに参加して、”イベントの内容でブログを書く”というのがとても難しいことだと知りました」


と発言がある。おそらくその瞬間多くの人が



「お前が言うな」



と突っ込んだと思うが、これは賞賛されるべき態度だと思う。所詮立場が変われば難しいこと、着眼点も変わってくる。それを一参加者の立場から知ろう、というのは素晴らしいことだ。


というわけで、今回は「ブログを書くのに困ったらこんな題で書いてみるといいかも」リストをもらえることになっている。私は写真を撮らなかったので詳細覚えていないが、そのうちメールがくるだろう。


というわけで本日の主役、中道氏登場である。


私よりも年は上だろう。白くなった髪をきれいに整えているのが印象的。なぜかといえば私の頭がぼさぼさだからだ。



ここでいきなり当日印象に残った言葉。




「嘘をつかないのが一番楽」




この言葉にのっとり私も正直に書こうと思う。中道氏のお顔を拝見すると、顔だけ取り出して、手拭いかぶせ、畑を耕していてもなんの違和感もない気がする。しかしそんなことはどうでもよくなる。


中道氏は自分で「説明が上手じゃない」と言っていた。私が思うに、理論整然、とうとうとう、と述べるタイプでは確かにない。しかしこの日のイベントは今までに参加したどの田口氏主催のイベントより短く思えた。


これまで行われていた「グループ会議」の時間をほぼプレゼン、デモ、質疑応答についやしているのだから、参加者としては聞いている時間が長くなる。退屈な話なら体感時間が長くなってもおかしくないのだが、「もう時間」と言われた時


「へっ?もう終わりっすか?」


と思ったのは確かだ。


言われてみればNakamichiというブランドは私でも聞いたことがある。しかしそこから新たに会社を興し、資本金�16億円を準備。最初の数年は全く製品を販売せず、R&Dだけを行う。そうした道筋はとても興味深いものだが、やはりここは中道氏の言葉


「嘘をつかないのが一番楽」


を再掲しよう。そうした生き方は中道氏にとって一番「嘘をつかない」生き方なのではないかと思えてくる。よい音を届けたい。よい音とは?聴きやすい音。ショールームとかで聞かせるためには、高音をキンキン聞かせなくちゃ、と言われてもそれでは映画を2時間みることはでいない、といって拒否する。


自分なりの良い音を求める心に嘘をつかない。そんな姿勢が中道氏の言葉の端々からうかがえた。それゆえ時間が短く感じられたのではなかろうか。


中道氏のプレゼンとデモの後は質疑応答の時間となる。会場をマイクが回り、一人一つ質問を投げかける。残りの時間でそれにできるだけ回答するという仕組み。質問の中には


「(購入を)家族に納得してもらうためにはどうすればいいか」


とか


「狭い部屋で、他の部屋への音漏れが気になる」


とか


「(今日は5.1chでデモしたが)PCとかiPodで使いたいができるか」


といったいわば参加者にとっての切実なものが含まれていた。これらの質問に対して、中道氏は


「いや、アナログでこそ使ってほしい。5.1chでなくても2chでもいい音が聴ける」


と自信を持って回答していく。ちなみにサウンドシステムだからスピーカ+アンプなのだけど、ユーザは四畳半とか六畳の部屋で使っている人が多いんだとか。


ーーー


さて、今回の参加者にはモニタープログラムが提供されている。希望者にQ:というサウンドシステムを送り、2週間使ってもらう。気に入らなければ、送料Niroもちで返送してください。気に入って、かつ2週間以内にブログを3本書けば半額でご提供です、というやつだ。


私はこのイベントに参加するまで5.1chとかには全く興味がなかった。それどころか、オーディオマニアというのは半分オカルトの世界だと思っていたのだ。たとえばケーブルが300万円とかそりゃいったいなんのことだ、というわけである。だから今回のイベントも「あまり興味のない分野だが、まあ出てみるか」くらいの気持ちだった。



しかーし



そろそろ時間です、という頃には「モニタープログラム申込用紙」に一生懸命あれこれ書いていた。「これに金を使わなかったらなんに使うんだ」と考えたのである。


それにはもちろんQ:の音の圧倒的な力(これについては後日書く)によるところもある。しかし中道氏のプレゼンを聞いて「これは買わなきゃ」と思ったのも確かである。


中道氏は当日参加したわれわれにQ:を買ってほしい、あるいは売りつけたいとはカケラも考えていなかっただろう。自分に嘘をつかず、つくりあげたこの製品の音を聞いてほしい、よさを分かってほしい。その気持ちだけが私のような貧乏で音に興味がない人間にも


「モニタープログラム参加しまーす」


と言わせるのだ。あるいは心から自分たちが素晴らしい製品を作っている、という気持ちが伝わってくるプレゼン、という意味ではSteve Jobsのそれにも相通ずるところがあるのかもしれない。


というわけで、肝心の「音がどうだったのか」については以下次号。