映画評:チェ 28歳の革命

2009-01-13 07:48

例によってネタのない日は、本家から改変しつつ転載

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チェ・ゲバラという人の名前を聞いた事はある。しかし何故わざわざ2部作にするのだ。一本にまとめればよいではないかと思いながら見始める。

見終わってみれば、2部作で正解だ。それほど丹念にまじめに革命家のたどった跡を描こうとしている。映画らしいエピソードがあるわけでも、わかりやすい栄光-転落があるわけでもない。しかし2時間以上にわたってただスクリーンに見入ってしまったのは驚きだった。

映画の本編前に”チェはアルゼンチンで生まれ、南米諸国を旅し、カストロと出会い”と映画に必要な予備知識が流れる。そのまま映画に入ればいいものを、例の

”映画が盗まれています”

という不愉快な映像が流れる。いや、前の女の子が黒い涙流すやつに比べればましだけどね。

まあそんなことは些細な事。キューバに上陸したカストロとチェはゲリラとして戦いを続ける。この”ゲリラ”という言葉は何度も聞いた事があるが、その姿はおそらくこの映画に描かれているより悲惨なのだろう。けがをしても病院など入れない。そもそも屋根がない。最初は誰が誰やらさっぱり区別がつかなかった。ただ、みんな汚いからだ。後半なんとか主人公とカストロだけは識別できるようになるが。

そんな暮らしと戦いを続けながらも勢いというのは恐ろしい。いつしか彼らは民衆の歓呼の声を受ける立場となる。そしてスーパーマンでは決してないのだが、なぜチェが重要な人物として扱われるかもちゃんと伝わってくる。

さて、革命成就、というところで第一部は唐突に終わる。しかしその最後のエピソードは革命のその後の運命を暗示しているようであり興味深い。

ソダーバーグはいろんな映画を撮る人だが、やはりこうした題材をまじめに取り上げるところに本領があるようにも思う。この映画をみて、俄然ゲバラに興味を持ち、Wikipediaを読み出す。おっといけない。Part2のあらすじに踏みこむところであった。そこを読むのは続編をみてからにしておこう。

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うっかり読んでしまったWikipediaの範囲からも彼がそのあとどのような人生をたどったかが見えてくる。


それについていろいろ考えることはあるのだが、まとまっていないから今はそのままにしておこう。