何を言っているのかわからない人だったなあ

2009-05-12 07:25

小沢君が辞任とのこと。議員も辞職するかと思えば、そうではないのだそうな。

正直言って私は小沢君の政策がどのようなものか知らない。したがって政策の是非云々とは異なったところで感想を書いておく。

政治家の仕事のうちの一つは

"言葉で語りかけ、人を動かす"

ことにある。橘氏は、この点から判決がでたあと身内の議員だけに演説をした田中角栄を批判していた。

その点からみると近年まれに見る成功を収めたのが小泉氏である。郵政民営化法案が否決された後の記者会見はまれに見る迫力-まるで星のよう-だったと聞く。なるほど、郵政民営化は"我々にとって"必要なことなのか、となんとなく皆が思った。

その結果誰も"郵政民営化になんのメリットがあるのか"理解しないまま小泉氏は大勝した。

さて、その観点からみてこの言葉はどうだろう。



私の目標、そして私の夢は日本に本当の議会制民主主義を定着させること、本格的な政権交代で議会制民主主義の理解を深めること。政権交代でしか日本に議会制民主主義が定着することはないだろうと思っている。代表を続けることをご承認いただいたが、あくまでも総選挙で勝利ということを前提に何事もわたくし自身考えていきたいと思います。


via: 「秘書起訴の小沢氏が続投会見「政権交代が生涯の夢」詳報」:イザ!

あるいはオバマ大統領の演説と比べるとわかりやすいかもしれない。この人の言葉はすべて主語が"私"なのだ。

"私の夢""私の目標"それは大いに結構。中学生の作文ならそれでOKだ。

しかしそれが有権者-聞き手-の共感を呼ぶかといえばいささか首をかしげざるを得ない。

かくして首相の言葉ではないが、何のために辞任するのかよくわからない演説ができあがった。一点のやましい点もないならそのことを言葉を尽くして説明し理解を得ればよい。政権交代が夢なら、それがなぜ"我々"にとって必要か語ればよい。

小沢氏 私は政治資金の問題についても、一点のやましいとこもありません。法律に従って、きちんと処理し、報告しております。また、今回は政治的な責任で身を引くわけでもありません。皆さんのお力添えのおかげで、私が3年前に代表職を引き継いだ時には、本当に1けたの支持の、1けた台だったと思いますが、今、皆さんの懇切丁寧な報道ぶりにもかかわらず、20%以上の支持を持って、自民党とほぼ拮抗しております。私はそういう意味において、本当に国民皆さんの理解が、我が党に対する理解、そしてやはり政治は変えなくてはいけないという理解が進んでおる証左だと思っておりまして、私も微力ながら、そのことに多少なりとも貢献してきたのではないかと思っております。あんたどこだっけ、会社?

via: 「国民サイドの政治こそ、男子の本懐」...小沢氏辞任会見〈3〉 : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

政権交代こそが、"我々にとって"重要なことである、という言葉は最後までこの人から聞くことができなかった。この点において彼は表にたつ政治家としては失格だ。