映画評:南極料理人

2009-10-14 07:13

アトラッシュ。僕はもう疲れたよ。。というわけで本家から転載

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最近邦画に絶望している私がなぜこの映画をみたかと言えば、時間にあうのがこれだけだったからだ。しかしこの映画、いろんな場所でいつまでも上映しているな。

ペンギン、アザラシはもとより細菌すら生息できない南極のドームふじ基地。一年以上にわたって8人の隊員がそこに駐在する。ひょんなことからそこで調理を担当する事になった男が主人公。

後から振り返れば冒頭のシーンだけが飛び道具だったように思う(あるいは実際にあったことかもしれないが)しかしそれが脱力した結果に終わるところからしてわかる通り、この映画にはとりたて筋が無い。強いて作るとすれば

"まだ任務半ばにして緊急事態が隊員を襲う。南極料理人はこの危機をどう乗り切るのか!"

ということになるが、その緊急事態とは

"夜中にラーメン食べる人が多いから、ラーメンがなくなりました"

というものだ。

か ように映画らしいイベントはないのだが、映画が終わる頃には、登場人物と同じように顔をしかめ、笑っている自分に気がつく。日本に役者はいないのか、など と考えていた自分の不明を恥じる。後でサイトを見れば、ほとんどが演劇出身の役者さんのようだ。日本映画に必ずでてくる(とこの映画をみるまでは思ってい た)誰かが泣き叫び、つまらない台詞をしゃべるシーンはこの映画に入りようが無い。いや、素晴らしい。

観ていて痛かったのは"遠距離恋愛"をしている男が電話でつれない応答をされるところ。記憶の奥底に"ああ、この受け答えは"とあるようなないような。そして頭の別の隅には

"いいなあ"

と 思っている自分もいる。今はどうかわからないがメールもなく、細かくあれこれ言われることもなく。ただ日々の暮らしと、仕事に直面する毎日。Mid Winter祭りには"こんなもの持っていっていたのか"と思うようなスーツ姿で神妙にディナーを食べる。独身のころの自分だったら2年でも3年でもここ にいたいと思うがな。

そ んな日々もいつしか終わり、日常の風景が戻ってくる。コンビニで立ち読みをする生活が少しの違和感と、圧倒的な慣れをもってやってくる。それとともに映画 も終わる。何がおもしろかったのかうまく書き表せないが、時間を金を費やしてみた価値は十分にあった、という満足感とともに。

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いいなあ。。細菌もメールもこない空間に一年。。一生懸命生活して仕事するがなあ。。と怠け者の中年が言っても説得力がないか。