映画評:ラブリーボーン

2010-02-05 07:47

疲れ切った週末は本家からの転載でお茶を濁す

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みているうちに何度も思う

"どうした。何があった、ピータージャクソン"

これがあの" The lord of the ring"を作った人間の作品だろうか?

予告編を見る。いきなり少女の声で"私は14歳で殺された"と告げられる。ううむ、ということはきっとゴーストのようなお話に違いない。あの世から少女が犯人を捕まえる手伝いをするのだ。

などと考えているうち映画が始まる。少女に不幸な運命が訪れることはわかっているのだが、前半はなかなか楽しい。しかし少女が憧れている上級生がどうして、彼女に近づいてくるのかさっぱりわからない。どうもいやな予感がする。

などと考えていると、彼女に降りかかる運命がネチネチネチネチと描かれる。原作の小説はもっと細かいらしいが、こういう場面は見ているのがつらくなる。

さ てそこからは喪失感と戦う家族が描かれる。というか描こうとしたのだろう。あの世とこの世の間に行った女の子はあれこれやっているが、基本的に現世には何 も手がだせないらしい。妻は家出をし、残った兄弟は悲しみと戦いながらも暮らしていく、と文字にすることはできるのだが、どうにもこうにも中途半端。主人 公のエキセントリックな祖母がでてくるのだが、それに何の意味があるのか。父親と母親の狂気に満ちた感情も見ている側に感じられないし。

そうこうしているうち、第6感により家族は真犯人を突き止める。(以下ネタばれ満載)

妹は危険をおかしてその男の家に侵入する。ところが(お約束通り)そこに犯人が帰ってきた。またここがいやらしいほどネチネチネチである。証拠見つけたらとっとと逃げろよ。いやそこはまだいい。命からがら犯人の手から逃れ家に戻れば、母親がかえってきてほのぼのしている。

ど うしてもここだけは理解ができない。殺人犯の手をからくも逃れてきた女の子が家族の顔をみたら、まずHelp ! Call the Police !とさけぶでしょ?殺されそうになったんだよ?自分の姉がどうされたか知ってるんだよ?せっかく帰ってきた母親がどうのこうのとか遠慮している場合じゃな いじゃない。かくして犯人は悠々と逃げ去りまた別の女の子が犠牲になるのであった。

それは主人公にも言える。現世に手出しができないかと 思えば、なぜか最後だけゴースト張りの乗り移りをやる。そこで犯人をつかまえるかと思えば、彼女が望むことは、、まあ14歳の女の子だからねえ。。かくして 犯人はまたもや悠々と逃げ去るのであった。最後にとってつけたような天罰が下るのだが、あんな天罰ならないほうがマシというもの。


かくして冒頭に述べたような感想が繰り返し頭をよぎる。唯一の見どころは、"全米人間の屑選手権ブッチギリ優勝中"、スタンリー・トゥイッチ演じる犯人か。(いや、彼が演じているということは後で知ったのだが)
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祝!スタンリー・トゥイッチ アカデミー賞ノミネート

いや、すばらしいですよ彼の演技。夢にでてきそうな。今までとは違った"いやな男"を熱演。新境地を開いたか、ってこんな分野開かなくても、、とはいわんわな。

2chの情報によれば、犯人への"天罰"は観客に見せた反応をみて追加したのだそうな。どうりでとってつけたような場面なわけだ。しかし実際にはああやって次の人を殺すのだろうな。。これというのも妹と姉が悪い。

主人公の行動をみて"馬鹿なことを"というのは簡単なことだ。しかし彼女並みに馬鹿な行動はいくつもやった記憶がある。記憶に残っていないものはもっとあるだろう。彼女と私をわけたのは賢明さというより、偶然の要素が大きい。

などと書きたくなるようなイライラしてすかっとしない映画であった。"中間地帯"の映像も救いにはならない。