平成の爆弾三勇士

2011-03-27 18:21

「爆弾三勇士とは何事だ!気の毒な事をしたものだ!陸軍技術本部は何をやっとる」此の言葉は東大工学部教授故末広恭二先生が昭和7年3月欧米出張から帰朝せられ、病床にて筆者の卒業論文を審査して頂いた時に先生の外遊中に起きた上海事変等に就き漫談されて技術者の心構を御話しくださった時の言葉であった。 技術的に努力する余地を残して戦闘員を死なせる様なことをする事を叱責された言葉であった。

航空技術の全貌 上巻P392


なぜこんなことを引用したかといえば、この書き込み&ニュースを目にしたから。





家族には心配をかけたという思いがある。高山隊長は任務に出る前、「必ず帰ってくるから安心しろ」と妻にメールを送った。妻からは「信じて待ってます」と短い返信があった。佐藤部長は妻に福島行きを伝えると、「日本の救世主になってください」と一言書かれたメールが送られてきたという。



 会見で、冨岡隊長は「国民の期待をある程度達成できた。充実感がある」と語る一方、作戦に従事した隊員について「家族には本当に申し訳ない。おわびを申し上げたい」と涙ぐんだ。


【放射能漏れ】被曝覚悟の350メートル 消防隊見守る妻「日本の救世主に」+(1/2ページ) - MSN産経ニュース から引用

ロボット研究者は歯ぎしりしています。RT @tanajun009: ベルリン新聞の「日本のロボットは音楽を演奏したりスポーツをできるのに、なぜ福島原発に送り込まないのか」という、アイロニカルな調子の記事。http://bit.ly/esIu8R

Twitter / @Yoshihiko Nakamura: ロボット研究者は歯ぎしりしています。RT @tana ... から引用


老子に教えてもらわなくてもそんなことはわかっていたのだ。





大道廃れて仁義あり、智恵出でて大偽あり、六親不和にして孝慈あり、国家昏乱して忠臣あり。



老子 - Wikiquote から引用

おそらく多くの人が同じことを考えていると思うが、大学入試でカンニングをした奴がいた。けしらかん、これは入試制度の根幹に関わることだ、いや、過剰反応だ。大学は死んだ、とか平和のうちに文句を言っていたほうがはるかに幸せだったのだ。


しかし今そんな事を言っても何の解決にもならない。原子力発電所の災害にどう対処するのか。先に引用したハイパーレスキュー隊含め、現場で不眠不休で働いている人達には、感謝の言葉しかない。Heroという名にふさわしいと思う。


しかし


そうした「英雄が生まれる」状況というのはそもそも好ましいことではないのだ。危険な状況になぜ人間を向かわせる。日本の誇るロボットは何をしているのか。ロボット技術に関わるものは何をしていたのか。

災害対策用ロボットについて聞いた事はあるし、私が地震発生当時にいた日本科学未来館でもいくつか展示を見た事がある。

しかしそれらのロボットは研究の花園で惰眠をむさぼるばかりで、「英雄」の誕生を阻止してくれないではないか。陸軍技術本部は何をやっとる。

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気がめいることだが、この分野で「実際に」発達しているのは私が知っている限り米国における軍事利用だ。(ちなみにお掃除ロボットのiRobotはうちの母が愛用しております。お掃除ロボットも結局輸入品ばかりなのはなぜだろうね)

--(次に引く比較は無茶だと自覚しております)--

日本人がこれを見て歓声を上げている時

米国ではこれの開発が進んでいるのだ。


日本のロボット開発というのは「全体として」どこか真剣味に欠けていたのではないか。私のような部外者はそう考えたりする。携わっていた個々人が不真面目であったなどというつもりは毛頭ない。しかし全体として見た時、この状況で役に立っていないのは遺憾ながら事実だ。また計算できる将来に役に立つ目処(あと一年あれば、、)がある、という話も聞かない。





『ロボット兵士の戦争』に僕が書いた解説のタイトルと内容が「システムの一環としてロボット技術を考える」だった理由がまさにそれ。 RT @yoshinakamura 米国ではシステムをまとめる役割をするのが軍事技術というフィールドだと思います @kazouille



Twitter / @森山和道: 『ロボット兵士の戦争』に僕が書いた解説のタイトルと内 ... から引用


この「システムの一環として考える」というのが日本人はあまり得意ではない。というかこのような指摘を

「何の事かわからん」

と無視していたのが実情ではないかと思う。
しかし今後はそれを改めねばならない。今この状況においてロボットが何の役にもたっていない、という事実を噛み締めた上でより良い方向に向かうしかないではないか。

しかもこの「システムの一環として考える」ことの欠如は産業のほかの分野でも問題になりつつあるのだ。何度も指摘されていることだが、iPhone,iPadの部品を作ることはできても、「iPhone,iPadというエコシステム」にはまったく歯が立たない。こうした状況を変えるのには、、、「ガラパゴス」ですか?