AppleとMicrosoftそれぞれの戦い

2011-05-17 06:46

Appleが「Jobs後」に備えて、Apple Universityを設立し、何がAppleをAppleたらしめているのかについて分析し、教育を行なっている、と報じられている。

Jobs氏は、2度目の病気療養に入る前の2008年、イェール経営大学院の院長であるJoel Podolny氏を迎えて、社内の教育プロジェクトであるApple Universityを開始した(日本語版記事)。Podolny氏は、経営学の教授たちによるチームを結成し、Apple社の近年の最重要決定に関する社内向けのケーススタディー・シリーズを執筆させた。

その目的は、Jobs氏が去ったあとでも、Apple社がApple社であり続けるためだ。投資家や業界関係者たちは、会社を第一日目から作ってきた、ビジョンを持つリーダーを失ったあとでも、Apple社が成功し続けるかについて何年も議論してきた。その答えはわからないが、Apple Universityの目的とは、マジシャンを失ったあとでもショーが続くように準備することのように見える。

via: Apple社員が明かす「Jobsマジック」の秘密 | WIRED VISION

正直に書くが、初代iMacをみて私は「これはインタフェースを削りすぎだ」と思った。またmac互換機を廃止したことについても、
「これでかっこいいMacを使うのぞみはなくなった」(当時AppleからはろくなMacが発売されていなかったのだ)
と思いJobsを罵倒していた。

しかし「ああ、あの時Apple株を買っておけば」と私に後悔させたのは一にJobsであることとを認めないわけにはいかない。彼が去った後、ショーはどうなるのか?

元記事には面白いAppleのPrinciplesが列挙されている。日本語で書かれた別の記事から引用するが

・コントロールされなくても説明責任を負うこと
・トップマネジメントはまず収益をあげるべきこと
・ベターなことでもイエスといわないこと
・明確でないマーケットに対しても製品を出すこと
・ヒエラルヒーないしは分割的組織ではなく機能中心の組織
・うわべだけのコンセンサスは無視すること

- Accountability without control
- Lack of "P&L responsibility" for top management
- Saying no to "better things"
- Building products before markets are identified
- Functional vs. hierarchical or divisional organzation
- A disregard for polite consensus

via: ジョブズ的なものを形にする「アップル大学」 « maclalala2

私が意味をとることができない物を除くと、

Saying no to "better things"

A disregard for polite consensus

が印象に残る。会社において大抵のconsensusはpoliteだ。腹の奥で何を考えていようと、とりあえず上辺だけは同意する。また"better thing"ができれば、前との差分だけを考え"yes"と言ってしまう。

この文化がJobs後も続くのだろうか。まだまだAppleという会社に対する興味はつきない。

さて

親愛なるMicrosoftである。今朝こんなニュースを読んだ。

Microsoft and Nokia will enter talks next week to discuss the potential for the American software giant to purchase the Finnish company's mobile arm, meaning the part that makes all those delectable smartphones.

via: Eldar Murtazin: Microsoft will enter negotiations to buy Nokia's mobile division next week -- Engadget

このニュースソースが正しいかどうかは別として、こうした動きはNokiaが全面的にWindows Mobileを採用,で止まってしまうよりずっと理にかなったものに思える。中島氏の予想を引用すると

ノキア本体側の経営陣としては(1)事業部のアジアメーカーへの売却、(2)ソニエリなどとの合併、(3)スマートデバイス事業部のスピンアウトとそこへのMicrosoftからの資金注入、などのシナリオを考えていると予想できる。

via: Life is beautiful: Nokia+Microsoftパートナーシップは、「3強3OS時代」の幕開けか

これは(3)の発展形の噂と考えることができる。
今やAppleに売上、利益、時価総額でも抜かれたMicrosoftだが、ぼんやりしていることなどありえない。どこまでも戦い続けようとする姿勢は野次馬として実に興味深い。

さて、

そのMicrosoftのCEO BallmerだがUniversity of Spoiled ChildrenことUSCの卒業式でスピーチをしたようだ。

大学の卒業式でのスピーチといえば、Steve jobsのそれが思い出されるが、このスピーチはまさにBallmerのものだ。少し引用。

I was afraid I might not be able to be here. I thought I might have to Skype in. (Laughter.) I'm glad to be here today. By the way, to all the families and graduates, post-graduation please Skype on. (Cheers.)

via: Full text: Microsoft CEO Steve Ballmer's advice to USC grads - GeekWire
実は今日来ることができないのではないかと心配しておりました。いざとなったらSkypeで参加かな、と(笑い)くることができてうれしく思っています。ところで家族の方、卒業生、既卒生のみなさん、Skpeにログインしてください。


いや、楽しい。