中国バブルが破裂するとき

2011-05-24 06:58

以前書いたが、中国の無人の都市(投機目的だけに建築され、誰一人人が住んでいない)を見れば、中国の不動産市場が異常な状態にあることがわかる。

ゴビ砂漠の中にある内モンゴル自治区のエレンホト市に建築された新住宅地。ここは半数が空で、残りの半数は未完成だ。つまり、人はいない。そもそも人が住めるような場所ではない。

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via: In Deep: 衛星写真に写し出される中国各地の広大な「無人都市」

問題はそれがいつ崩壊するか、ということだ。バブルが破裂したチャートを見ると誰もが考える。

「ああ、ここで株をかって、破裂する直前に売っていればなあ」

しかし一番確実な未来を予測する方法「明日も今日と概ね同じ」はこの場合には適用できない。3/11は3/10と同じではなかったのだ。

さて、私は全くの素人だが、このような記事を読むと「そろそろかな」と思う。

旺盛なインフラ投資を原動力に内需を拡大してきた中国だが、財政による景気刺激策はインフレ圧力となって跳ね返る。実際、消費者物価指数は3月、4月とも前年同月比で5%超の極めて高い伸びになった。金融当局は数度にわたり利上げを敢行、預金準備率もたびたび引き上げて金融引き締めを図っているが、インフレ抑制には至らない。

via: コマツ、中国減速を警戒:日経ビジネスオンライン

インフレが制御不能になりつつあるのかな。。それを敏感に察知し警戒感を強めているのがコマツである。

コマツが予測した10%という数字にはもう1つ、裏づけがある。野路社長自身の感触だ。

 実は、野路社長は4月にたびたび中国へ出張していた。そこで感じたのは公共投資の変調だった。

via: コマツ、中国減速を警戒:日経ビジネスオンライン

これとは対照的に「明日も今日と概ね同じ」と考えているのが日立建機である。

一方で「中国市場が高い成長を続ける」と予測する日立建機。「前年度は50%の伸びだった。今年も20%は堅いと見ている」と三原新一専務は話す。

販売した建機に取りつけた情報端末から収集した稼働率のデータを見ても建機の稼働時間に異変は見られない。沿岸部では油圧ショベル、東北地方や華北地方では鉱山で使う大型建機の販売が好調で、4月に入っても受注に目立った落ち込みは見られなかった。
 「最近2年間の市場成長が急激だった反動はあるかもしれないが、今期も高い伸びが見込まれる」(同社)として、現地での生産能力の増強や営業体制の強化を急ぐ方針だ。

市場のあまりに急速な成長に、昨年から建機業界で「中国バブル」の言葉がささやかれているのは事実だが、今のところ、建機各社は現実に販売を伸ばし続けている。今回、コマツが予測のベースとした4月の実績も、最需要期が終わった反動からたまたま落ち込んだだけという可能性もある。

この2社の物の見方の違いは興味深い。考えるべきは

・理屈はどこにでもつく

ということだ。バブルが破裂するという説にも、いや、まだまだ大丈夫という説にもどちらにも説得力のある理屈は付けられるし、グラフだって書ける。

だからこうした場面では「知恵」を働かせねばならない。日立建機にも優秀な頭脳はたくさんあるのだろうが、ゴビ砂漠の真ん中に無人の巨大都市を作るようなことがいつまでも続くと思っているのか?