使い物になる旅行者用翻訳システム

2011-06-03 07:59

某学会で、自動翻訳システムのデモをみた。Android端末に向かってしゃべればそれが翻訳されて表示+音声読み上げされる、というものだ。

こうしたシステムの常としてデモは見事に動く。しかしいつまでも実用化はされない。「絵年に未来にあるシステム」である。聞けばフィールドで「与えたタスク」をどれだけ達成できるかをテストしたところ、「タスク達成率7割程度」とのこと。

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その説明を聞いた後ふと考える。手書き文字認識の話だ。手書き文字認識もあらゆる技術を駆使しながら結局はそうした水準にあった。

そこでPalmは従来と異なるアプローチをとった。人間が自由に文字を書くのではなく、人間がコンピュータに歩み寄った文字を書くようにしたのだ。それによりPalm上での文字認識は実用化できる程度にまで精度が高まった。

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先ほど私が述べた中で「言語の翻訳」と「実場面におけるタスク達成」とは一対一に対応しない、というのが一つのヒントではないかと思うのだ。つまり手書き文字をそのまま認識する必要がなかったように、人間が自由に発生した言葉を認識し、翻訳する必要はないのではないか。

英語圏にいくと、ものすごいBorken English(というか2/3日本語)をしゃべりながらタスク達成率は高い人、あるいは英語の試験であればかなりの点数をとれるのにタスク達成率が低い人がいることに気がつく。

翻訳におけるGraffitiのようなものを考える事が、旅行者用翻訳システムを実用化する一つの方法なのではなかろうか。