デザインを重視するのだ

2012-01-05 07:33

さて、松下幸之助が

「これからはデザインや」

といってから、かれこれ60年以上である。なのに私はこの言葉を少し「意外」の念とともに読んでいる。

3. 圧倒的にデザインを良くする

はてなのデザインを圧倒的に良くしていきたいと思っています。
今日本のインターネット業界は、エンジニアの争奪戦が熾烈を極めています。そんな中、なぜデザインなのか。
デザインがこれからとても重要になると思います。

今まではてなのサービスは、どちらかというと各サービスがバラバラに個別最適を繰り返してきました。機能は多ければ多いほど良いのだ、という価値観で新しい機能を加えてきました。エンジニアがシステムを開発し、デザインは後からくっつけるものでした。

しかし、人が接するのはデザインです。多くの人に接してもらうサービスにするために、デザインに真剣に取り組みたいと思います。誰もが「分かる」ように、シンプルなデザインを実現していく必要があります。

via: 2012年に向けて - jkondo's blog

この世の春を謳歌しているソーシャルゲームのおかげで、エンジニアの争奪戦が熾烈を極めているのだそうな。しかし確かに

「デザイナーの争奪戦が熾烈を極めている」

という話は聞かない。あれほどAppleの成功を目の当たりにしながらもだ。

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かつてデンソーの副社長に

「君はHow to makeの話をしている。What to makeを考えなくてはダメだ」

と繰り返し言われた。不思議なことに私はWhat to makeの話をしているつもりだったのだが、彼の理解は得られなかったようだ。では彼が言うところの「What to make」は何なのかを理解しようとずいぶん努力したが、諦めた。私には知恵が足りないのだと思う。

さて、というわけで「どうやってつくるか」よりもそもそも「何をつくるのか」が重要なこの頃である。前者だけがあって、後者がすっぱり抜け落ちた製品をよいしょしようと努力した跡の見えるメディア記事は多い。(例えばこれとか)

ソニーが作るAndroidタブレットはやはり普通じゃない。2画面折りたたみボディの"Sony Tablet"Pシリーズを開発者に分解してもらい、こだわりが詰まった内部構造に迫った。

via: 完全分解×開発秘話:常識破りの2画面タブレット「Sony Tablet P」を丸裸にする (1/4) - ITmedia +D PC USER

私が以前勤務していたUIE Japanにはデザイナーがいた。彼がいるのといないのとでどれほど商売の上で大きな差が出たかは、おそらく想像がつかないほどだと思う。彼がいるおかげで、UIE Japanは「小規模SI屋」ではなく「おもてなしを提案する企業」と主張しえたのである。(実態はまた別の話だが)

かくの通り、「デザイン」の重要性を示す事実には事欠かないのだが、未だに優秀なデザイナーの争奪戦が起こっている、という話は聞かない(多分起こってはいるのだろうが)

そもそも「デザイン」という言葉が悪いのではなかろうか。色使いがどうとか、絵を綺麗に書くとかそんなことを連想する人はおそらく多かろう。

この状況を改善するにはどうしたらいいだろうか?今考えているのは二つ。

1.デザインによりふさわしい言葉を当てる
2.「絵が書けない人」がデザイナーを名乗る。

まず1.だがここ数日「仕様設計」ではいかんのか、と考えていた。しかしどうも仕様設計というと、くだらない仕様書と結びついてしまうようだ。SI屋の概念では

「お客様から徹底的にヒアリングを行い..」

とかになってしまうのだろうな。


要件定義書は、顧客の要望をまとめたものです。ヒアリングをしながら開発側が作っていってあげるケースが多いですが、顧客が作る場合もあります。乱暴な言い方をすれば、できるかできないかはおいといて、とにかく顧客の「こうしてほしい、こういうのがほしい」をまとめたものです。

仕様書は、要件定義書に基づいて(他の情報や調査結果も使いますが)システムがどういう稼動環境下でどのような機能を具備するかを定義したものです。費用や時間、背反する要件などを詰めていって、結局、「こういうのを作ります」をまとめたものです。


via: 仕様書?設計書?要件定義書? | OKWave

というわけでやはり新語を作らなければならんだろう。では何だ、と言われると言葉に詰まるが「設計」という言葉が入っているべきではないかと思う。

というわけで2.も結構いいのでは、と思っている今日この頃だ。デッサンできないし、もちろん絵はかけません。でもデザイナーです、という人が増えると、少しはデザインという言葉に対する概念が変化するのではなかろうか。