進捗会議大好き

2012-02-03 07:06

先日こんな記事を見つけた。

中規模以上のプロジェクトではプロジェクトはいくつかのチームに分かれていて、さらにチームごとに担当する会社が異なることもある。ありがちな事だが、チーム別にプロジェクト内の進捗会議を行うようになってくると、これが壮大なムダになっていく。

via: チーム内でやる進捗会議はムダ - 勘と経験と読経

これを読んで真っ先に頭に浮かんだのは、「高級人材派遣」(笑)としてNTTデータさまで働かせていただいた時だ。NTTデータの社員が一人。協力会社の社員が10人くらいずらりと取り囲む。ひとりずつ進捗を報告する。ものすごい時間の無駄である。実のところ他グループの進捗を全員がリアルタイムで聞かされる必要はない。しかしこれはNTT文化では間違った最適化なのだろう。

「多くの労働時間を費やすこと」

が良い仕事と直結している文化を持つ世界だったからだ。私は4人ぐらいのグループのリーダーを任されていた。途中までは我慢して全員出席していたが、そのうち

「個人ごとに時間割」

を作って交代で出席し、その結果をグループ内のミーティングで報告するようにした。出た人間は皆に報告しなければならないから真面目に聞くし、他の人間もうちわのミーティングで気軽に質疑応答できたほうが楽しい。「若者に通じないコンピュータ用語」のネタのいくつかはこのグループ内ミーティングで出たものである。

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話しを元に戻そう。冒頭の文を書いた人はどのような解決策をとったか?

以前あるプロジェクトで「歩き回って管理する」ということを試したことがある。PMとして普段からチームメンバーの席を歩き回り、今やっていることを観察する。また構成管理ツールのログを毎日チェックして誰が何の作業をやっているのか把握する。チーム内のドキュメントレビューは共通表紙の文章回覧形式にして、机の上に積み上げるようにすれば、ボトルネックがどこにあるかもすぐわかるようにする。それを観察する。一週間観察した内容をもとに、顧客向けの進捗報告を予想で作成してから、チームリーダーたちに「間違いがないか」「見落としがないか」をチェックしてもらっていた。

via: チーム内でやる進捗会議はムダ - 勘と経験と読経

これを読んでいて、ここで行われている方法が、その昔重厚長大産業の会社で聞いた進捗管理方法に少し似ているなと思っておかしくなった。

その管理方法を説いた人は、その後社長になった人で、「最近の進捗管理方法はなっておらん。俺の頃は」と昔話をしたものである。しかしそれはちゃんと理にかなっていた。チームのメンバーの間を歩きまわり、どんな図面を書いているか見る。図面の点検ルートははっきりしており、点検、認可のどこでボトルネックがあるか物理的に見ることができる。冒頭の記事の人はいわばそれのデジタル版をやっているわけだ。

両者に共通しているのは空疎な言葉、すわなち

「そばやの出前」(もうできます。今でます)

は無駄であると最初から無視し、実際何をやっているかを観察しそれを元に進捗を把握していることだと思う。実事求是ですな。

そしておそらく、開発している対象は違えど、その次期社長も、冒頭の記事を書いた人もそうした「事実の累積」から進捗を想像できるだけの能力を持った人だったのだろう。

世代を超えた「有能さ」みたいなものが垣間見えて面白い。そのうち「私が考える有能な人の特徴」などまとめてみようかな。