判断しない、という判断

2012-08-28 07:21

こういう考え方を見ていると、このキャリアからiPhoneがでてこないのは尤もだと思う。

ただし、この調査自体は「現時点でのニーズ」であり、半年後、1年後のニーズも掘り起こせるわけではない。今後のニーズを見極めるためにも、現在、最も多く求められている画面サイズだけを用意するのではなく、少し先を見越した、幅広いラインアップを展開して様子をみている。

via: 5インチまではスマートフォン:多様化するディスプレイサイズ ドコモのスマホ戦略に迫る (2/2) - ITmedia Mobile

現状を力いっぱい調べる。それについて滔々と語る。しかし結局未来はわからない。だから未来についてもたくさん製品を出す。どれか当たるだろう。
つまるところ、これは「判断を放棄した」ということを長々としゃべっているにすぎない。

一方、ディスプレイサイズのバリエーションが増えると、プラットフォームの「分断化」を招き、特にアプリ開発者にとってはさまざまな解像度へ対応しなければならないという問題を招いている。この点についてドコモは、「現在のデバイスは8~9割がHDまたはフルワイドVGAという解像度に集約され、十分スケーリングで吸収できる」(後藤氏)というスタンス。

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その昔docomoのガラケー向けにアプリを作るとき、無意味とも思える解像度の違いに悩まされた。「ほぼ」同じサイズなのだが、微妙に大きさが違う。それぞれに対応するか、あるいは切り捨てるかの判断をしなければならない。

もちろんそれぞれの差異について聞けばこれまた滔々と語るだろう。しかし作る方にしてみれば鬱陶しいだけだし、その意味もわからない。そして結果として優秀なアプリが生まれない。キャリアが決断を放棄したツケを払わされるのはユーザなのだ。

「2流品を幅広く揃える」というのも確かに一つの「戦略」ではあるだろう。「自ら決断してリスクを取るのを放棄しました」と堂々と顔をだして発言できる勇気には感服する。

などと実績のないサラリーマンが言っても説得力がないだろう。というわけでいくつかの発言を引用しておく。

A : デザイナーとしてこういうことを言うのは変なのかもしれないけど、私が本当に苛立ってしまうことのひとつが、ある製品を使っていて、その製品のデザイナーたちがユーザーに媚びを売っているのに気づいてしまうときなんだ。

我々の目標は、ただシンプルに、モノを創ること。他には考えられないようなモノを。

via: ジョナサン・アイヴ独占インタビュー (2) | 田園Mac

意思決定をソーシャルの最適化にゆだねるというのは、スマートに見える。しかし誤解を恐れずに言えば、マクロ的にはデフレ的なるものを加速することになるのではないか。価格だけではなく感覚のデフレ、緻密さや丁寧さが支持されにくくなるという。

via: Twitter / haraken_tokyo: 意思決定をソーシャルの最適化にゆだねるというのは、ス ...

我々はユーザーに変わって、製品の理想的なバランスという難しい決断を下しているのです。これは大変に勇気がいる行為ですし、我々の決断に不満を感じる顧客が出てくる危険もはらんでいます。しかし、こうしたタフな決断を下すということが、長期的に見ると、ユーザーにとって非常によい体験を提供することになるのだと我々は信じています。

via: アップル上級副社長に聞く:「デジタルライフスタイルの未来はiPhoneにある」――フィル・シラー (2/4) - ITmedia PC USER