電気自動車はどこから普及するのか

2012-10-04 07:01

破壊的イノベーションはその定義により、そもそも市場がどこにあるのかわからない。だから顧客の声なんか聞いても無駄だし、調査も、理論的な裏付けもできない。あれこれやってみて何が響くか確かめるしか無いのだ。

先日NHKの朝のニュースで面白い話しをやっていた。寝ぼけ眼で聞いた話だから間違っているかもしれないが概略こんな話だった。

秋田の農家にとっては、ガソリンのほうが、電気より遠い存在であり不便。ガソリンスタンドまで20kmあり、収穫で忙しい時はいく時間がないという。それゆえ、家で充電できる電気自動車のほうがたよりになるのだそうな。

これには驚いた。例えば私が電気自動車を買おうとすれば、まず充電できないことで躓く。マンションの立体駐車場にそんな設備ないもんね。次に遠出の時に充電できるかどうかが気になる。

だから結局「電気自動車だめだね」ということになるわけだ。しかし秋田の農家にとっては話は全く逆だ。自動車は家の軒先に駐車できる。そして確かに往復40km走ろうと思えば小一時間は浪費してしまう。

電気自動車普及の鍵は案外こんなところにあるのかもしれん。こういうのがあるから、破壊的イノベーション普及の話は面白いなあ。

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もう一つ。これは破壊的イノベーションではないが、不幸にしてこの学校に負けた高校にとっては「破壊的イノベーション」とも見えるだろう。

そんな開成高校野球部の戦略は以下のようなものだ。

まず、1番から6番まで、できる限り強い打球を打てる選手を並べていく。もっとも強い打者は2番。そして、ひたすら強振する。一番チャンスがあるのは8番、9番からはじめるイニングで、彼らがうまいことヒットやフォアボールで出塁した場合だ。下位打線を抑えられなかったことで動揺する相手ピッチャーに1番が強振して長打、そして最強の2番打者が打つ。弱いチームに打たれたことにショックを受けている相手を逃さず、後続がとにかく振り抜いて連打を食らわせして大量点を取るイニングを作り、そのままドサクサに紛れて勝つ、のだそうだ。

超進学校の勝てるセオリーは「ドサクサ」なのである。そして、実際そうやって勝ち上がってきたことは、冒頭の戦績で見た通りだ。

via: 『弱くても勝てます』 超進学校の「異常な」セオリー - HONZ

試合中、「野球をしようとするな!」という青木監督からの罵声が飛ぶ。「ピッチャーをしようとするな!」とピッチャーに指示を出し、ヒットを打っても「なんだそのスイングは!」と激怒。思いきりのよい空振りには「ナイス空振り!」と褒め、「ドサクサ! ドサクサ!」と連呼する。勝ったある試合の後には「これじゃまるで強いチームじゃないか」と怒りまくる。極めつけは「大体、打つのは球じゃない、物体なんだよ」とのお言葉。ほとんど禅問答である。

via: 『弱くても勝てます』 超進学校の「異常な」セオリー - HONZ

いや楽しい。アマチュアなんだからこれでいいじゃないか。最近は野球というものをさっぱりみないが、インターネットの発達のおかげで、例えば青森代表のチームがほとんど県外出身者で占められていることは知っている。

そうやって試合に勝ち、学校の名前を挙げるのもまあ一つの道だろうが、「俺が俺が」でドサクサに紛れて勝つやり方でもいいじゃないか。どうせプロになって食っていける人間なんて一握りなんだから、それぞれのやり方で楽しくやればいい、と思うのだが。