企業として成功する方法

2013-02-25 06:48

企業として成功する「秘訣」を語る人は多い。

長年に渡ってそうした「秘訣」を観察した結果、私はある結論に達した。世の中の多くの問題と同じくこの問には解答が無数にあるのではないか、と。

たとえばこういう記事は一般的にウケが良い。

最高な会社は、最高な人々を引きつける賢く野心的な創業者によって創られる。自分が働きたい会社を創り最高な人材を採用して彼らに自由と権限を与えるべきである。

http://hiromaeda.com/2013/02/20/buildyourcompany/

じゃあそれだけが真実かと言われれば、Appleには素晴らしい才能が集まっているかもしれないが、社員にはおそらく自由がない。Amazonも同様である。そしてこんな会社の名前を最近あちこちで聞く。

 そういった環境だから、とうぜん社員の離職率も高く、外部から雇われてきた上級幹部でさえ長くは続かないケースが少なくない。とりわけ創業者のアーゲンが良くも悪くも曲者で、従業員を単なる人手と見下している風もあり、他の人間がいるところで部下を大声で叱りつける姿が目撃されることも珍しくはない。

via: 「アメリカでいちばん意地悪な会社」ディッシュ・ネットワーク - (page2) - ZDNet Japan

しかしこの会社は「成功」しているのだ。

というわけで、少し違った目でこれらの「成功」をみてみよう。社員に自由を与える。与えないは全く異なる。しかし共通しているのは

「創業者が自分がどんな会社を作りたいか明確にしている」

という点ではなかろうか。

それに同意すれば働けばよいし、同意できないなら「今までの貢献に感謝します。幸運を」ということになる。実にわかりやすい。

それに対して日本的な大企業ではそこが実に曖昧だ。「なりたい姿」は美しく抽象的で意味が無い。本当に経営陣が求めているもの(多くの場合何も求めていないのだが)を探るためには、「否定の積み重ねから消去法」で探るしか無い。当然動きは遅くなるしバカバカしくなる。結局のところ

「まあおとなしく暮らしてれば首にはならないや」

というところに落ち着く。

多くの日本企業にとってこの「わかりやすい」というのは敵であるということに気がついたのは最近のことだ。企業の本質は、戦前の天皇のようなもので神聖にて不可侵。わかりにくい密法のようなものでなくてはならない。

じゃあそうした「密法」で成功できないか、と言われれば20年くらいまえは成功していた。最近は不調な企業が多いが、将来復活しないとは誰にも言えない。

といったところで「企業成功の秘密」なんて記事は斜めに読むのが正しいという結論に達する。日本マクドナルドの社長のように、得意げに自分の成功の秘訣なんか語っていると落ち目になった時に言い返されるだけだからねえ。