オノマトペの壁

2013-03-18 07:06

オノマトペというものがある。定義を引用すれば

擬音語

物が発する音や真似て字句で描写した句のこと。

カー」「サラサラ」「ワンワン」など

擬態語

状態や心情など、音のしないものを音によって表す言葉。

ツンツン」「デレデレ」「ニヤニヤ」など


via: オノマトペとは (オノマトペとは) [単語記事] - ニコニコ大百科

日本語ではこのオノマトペが非常に多いのだそうな。というわけで、関連する学会でこのテーマをとりあげた研究をよく見かけるようになった。

しかし

それらの多くは「面白い」から先に進めず壁にぶつかっているように思うのだ。先日聞いた研究で

商品レビューについたオノマトペをクラスターに分けると、お米と炊飯器が同じカテゴリーになりました

というのがあった。これは近年まれに見る大ヒットだと思う。「常識的」に考えればそうなんだけどさ、家電製品と食材は普通同じカテゴリーにはいらない。

この話しを聞いて「それがどうした」と思う人も多かろう。もちろん私が知らないだけだと思うが、オノマトペ研究で私が記憶に残っている「ヒット」はこれだけである。

例えば今日こんな記事を見つけた。

次に松井氏は、ICCでの「触覚的なオノマトペ」という取り組みについて触れた。これは「物理世界の触り心地を感性語によって分類しようという試み」だったという。感性語というのはオノマトペのことだ。オノマトペを操作できる触覚パレットのようなものを作ろうと思ったのだという。

 ただ、この研究ではオノマトペは人によって個人差があるものだということを自覚しておいたほうがいいし、オノマトペは記号的に使われているということしか分からなかったという。

via: 【森山和道の「ヒトと機械の境界面」】YCAM「TECHTILE」集中ワークショップレポート ~触感を採集記録・再生する「テクタイル・ツールキット」と触感をめぐる議論

まずアプローチの仕方によっては必ずぶつかる「個人差」の壁というのがある。同じオノマトペでも人によって使い方が違うかもしれないのだ。オノマトペではないが、これは言語全般に言えることで、いつか被験者が「こってり、こってり」といって食べ物のメニュー探索をしていたが、それを後ろから見ていた私は「これのどこが"こってり"だ」と首をひねった。

でもってそこを無理やり難しいアルゴリズムで分類とかクラスタリングとかしてみたところで結局何をやっているかわからない、という結果にもなりかねん。

とかなんとか書いていると「感性インタフェース」とかそうしたものにも共通する悩みのような気がしてきた。と書いていて気がついたのだが、子供はオノマトペを妙な形で使っり、あるいは知らなかったりする。例えば幼稚園年少の子供に

「つるつる」

といっても通じないだろう。

彼らと彼女たちがどのようにオノマトペを習得していくかをよく観察すると、何か得られるところがあったりしないかなあ。

あるいは開き直って「オノマトペは個人的なものなので、その個人に閉じた世界でしか使えません」と断言してしまうとかね。

今日はいつもにもましてまとまりがないがここで唐突におしまい。