Docomoの夜明け

2013-04-23 07:16

よく言うではないか。夜明けの前が一番暗い、と。経験から知っているのだがこれは大嘘だ。夜明けが近づくにつれ空は明るくなる(いや、そっちじゃなくて)

というわけでDocomoにもきっと夜明けが近づいていると思うのだ。なぜなら今はとても憂鬱な時期に見えるから(外から見ると)

ドコモメールにつきましては、提供時期の度重なる延期によりお客様に大変ご迷惑をお掛けしております。
ドコモでは、提供開始時期を変更し、便利かつ快適にご利用いただけるためのサービス品質を目指して開発内容や開発スケジュールの精査を行ってまいりました。その結果、一部開発内容における抜本的な見直しの必要があることが判明したため、サービス品質の改善・強化を行い、10月下旬よりサービスを開始する予定です。

via: 報道発表資料 : ドコモメールの提供開始時期について | お知らせ | NTTドコモ

「遅れる」のではなく「いつ提供できるかわからない」というのは(経験者にはわかると思うが)実によくない状況である。自分たちが何を作ろうとしており、かつそれをどうすれば実現できるか理解できていれば、努力が形になる。しかし何を作っているかわからない状態ではいくら金を人をつぎ込んでも何もできない。

炎上対策の要は、複雑性を減らすことにある。全体を見渡し、分からないことをなくす。当たり前のことばかりかもしれないが、この「当たり前」ができない場合が多いのだ。

via: [録音禁止]「今日から僕は神になります」と言われても......:山本一郎氏が語る、プロジェクト炎上のメカニズムと鎮火法 - @IT

彼らが何を根拠に10月下旬からサービスを開始する、といったか是非聞いてみたいものだ。もうシステムはひと通り動いており、検証に6ヶ月かかる、というのなら理解できるが多分そうではなかろう。10月末をwktk(そして同じサラリーマンの立場としては深い悲しみをもって)眺めようではないか。

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iPhoneはDocomo独自のサービスを載せられないからだめだ、と言い続けてはや何年。独自サービスがこの有様では

スマホで簡単に決済できる強みを生かし、通販事業に本格進出する考えで、加藤社長は「段階を踏んで米アマゾンのようになっていく」と述べた。

via: ドコモ社長「米アマゾンになる」 来年度からモバイル通販で野菜、健康機器など販売 - SankeiBiz(サンケイビズ)

などと言ったところで、誰も耳を貸してくれないだろう。持ち株の担当者も聞いてくれないかもしれないよ。

そもそもDocomoのスマートフォン=Androidであるが、それにしたところで「キャリアの独自サービス」という言葉は冗談として捉えられる兆候が見られる。

どんなに端末ベンダーやキャリアが工夫をこらして端末をお膳立てしておいても、Playストアからダウンロードした1つのアプリの設定だけで、それをそっくり乗っ取ってしまえる。正直なところ、これからの展開が気になって仕方がない。

via: 【山田祥平のRe:config.sys】シェルまでとられて、どうするキャリア

Androidの世界では、ユーザが触れる部分全てをアプリが乗っ取ってしまえる。LINEシェルが登場すれば、若者のほとんどはDocomoのAndroid端末を

「LINE Phone」

として使うことになるだろう。Docomoがおそらくは多数の死人を出しながら開発した「ドコモメール」など誰も使わない。さらに階層深くの奥底に「らでぃっしゅぼーや」のメニューがあったところで誰が触るのだろうか。

ということくらいは、頭のいいDocomoの社員はとっくに理解しているのだろう。問題は組織としてそれを理解し、行動に移せるか、ということだ。「誰もが馬鹿げていると思っている」プランが実行されることは、大企業では珍しくない。

しかしまあなんといっても天下のDocomoだ。仮に全てに失敗したところでユーザは簡単には減らない。

一方、30代後半〜60代までで、現在ドコモを使っている方は、

恐らく死ぬまでドコモを使います。

via: docomo・au・ソフトバンク 3社の未来を本気で予想。: →: iPhone愛用中ドコモ店員のブログ

何が起こってもそうした人たちにとっては「携帯電話=Docomo」であり、

そうカンタンにドコモを出て行かないとわかっているから、安くする必要がないんです。

via: docomo・au・ソフトバンク 3社の未来を本気で予想。: →: iPhone愛用中ドコモ店員のブログ

安くする必要がないどころか、多分値上げしても出て行かないと思うよ。別に30代じゃなくても、姪と甥は家族でDocomoを使っており、いつも文句ばかり言っているが結局動く気配もない。少なくとも加藤社長が在任の間はDocomoは安泰だと思う。

こう考えるとあれだね。Docomo=プロ野球=大相撲という図式が成り立つのではなかろうか。今やプロ野球のTV中継を見ているのは50代以上ばかりと聞く。大相撲も多分そうだろう。それでもそれらが消滅する気配はない。(今のところ)

Docomoの携帯をもち、月に数度プロ野球の中継をTVでみてスポーツ新聞を読む。そして大相撲の開催を心待ちにする。それらは手に手をとって衰退の道を辿るがおそらく私が生きている間は消滅はしないだろう。