スピード・スピード・スピード...

2013-07-08 06:31

ここ数年で激変したものは多い。今日は昨日の延長線上だと多くの人が想定しており、ほとんどの場合それは正しいのだが、それでも時々激変は起こる。

その昔mixiは日本において支配的な地位を築いていた。連絡はなんでもmixi.Facebookがあるよ、と言われても「日本では実名制は無理だよ」とかいうしたり顔の意見は後を絶たなかった。

支配的な地位を築いていた企業が没落するパターンにはいくつかあるように思える。イノベーションのジレンマのように「やるべきことを真面目にやったが故に没落する」こともあるが、単に

「トップを走っている企業がありとあらゆる間違いをやる」

こともある。PS3でのソニーがそうだったし、mixiもそのケースに分類してよかろう。

とはいえ、きちんと変化を起こそうとする態度は見習うべきだ。Panasonic,とかSharpに比べればね。ほとんどの企業は何か問題が起こった時、それは部下がちゃんと仕事をしなかったせいだ、と解釈する。

先週発売された週刊東洋経済(10月13日号)に
富士通の秋草直之社長の信じられないような迷言が掲載されている。
大幅な業績下方修正に対する経営責任を問われた秋草社長が
「くだらない質問だ。従業員が働かないからいけない。
毎年、事業計画を立て、その通りやりますといって、やらないからおかしなことになる」などと
ヤケクソのような回答をしているのだ。

via: 【人事/電機】富士通前社長の野副氏、真っ向から反論--「通院したが病名はない」「社長解職の手続き自体に大問題」 [03/07] | ログ速

こうした言葉は別に珍しいものではない。しかしmixiはきちんとトップを入れ替えた。それはすばらしい。

Facebookと異なり、匿名のIDで利用するmixiは「心地よいつながりを作りやすい」とも指摘する。「Facebookは実名ならではの『がんばってる感』が出てしまいがちだが、mixiは緩い感じでつながれる。日本の良い面の匿名文化は需要があるが供給がない状況。それを僕らはやればいいし、FacebookやLINEを追いかける必要はない」。

via: 「復活愛は求めない」新生mixiはアプリで存在感示す~川崎裕一取締役に聞く - INTERNET Watch

競合が何をするかを考えるより、自分たちが何をすべきか考える。こうした態度も好感が持てる。

そして新生mixiはスマホアプリに注力するのだそうな。

新生ミクシィが注力するスマホアプリ。これまでは、mixiおよびmixiコミュニティの2本のアプリを公開しており、会員数は延べ1000万人を突破。利用率はスマホ向けブラウザー経由の1.6倍に上る。アプリ開発に注力するのは「成長の余地が大きく合理的」(川崎氏)と判断したためだ。

via: 「復活愛は求めない」新生mixiはアプリで存在感示す~川崎裕一取締役に聞く - INTERNET Watch

これも同意できる考え方だ。なるほどなるほど、と読んできて次のステップでちょっと頭に「?」マークが浮かぶ。

スマホアプリの開発基盤に関しては、今後開発する50本のアプリで共通して使用するライブラリにアクセスできる仕組みを構築する。これにより、新規のアプリを開発するときにも「有り物」が使えるため、開発のスピードが大幅に向上する見込みだ。「アプリを2週間でローンチできるようにするのが大命題」(廣木氏)。

via: 「復活愛は求めない」新生mixiはアプリで存在感示す~川崎裕一取締役に聞く - INTERNET Watch

引用記事を読むと

「アプリを50本出す」
「2週間でローンチ」は決まっているようだが

それでは今後、どのようなアプリをリリースしていくのか。詳細は明らかにされなかったが、まずは個別の目的に合わせたアプリを提供し、mixi全体のトラフィックを拡大することを狙う。例

via: 「復活愛は求めない」新生mixiはアプリで存在感示す~川崎裕一取締役に聞く - INTERNET Watch

肝心の「何をしたいのか」が不明確なままだ。というか多分何も考えていないのだろうと思う。

二週間でアプリをローンチし、50本出すことはさほど難しいことではない。ちなみに「2週間」というのがローンチまでの期間とすると、発案から開発、検証、App Storeに提出するまで一週間である。毎週新アプリを作って一年で50本。確かにそれは可能だ。「使って意味のある、面白いアプリ」という制約さえ外せば。

Apple原理主義者としては、Designed by Apple in Californiaに込められたメッセージと比較したくもなる。

プロダクトがもたらす体験。 人が何を感じるのか。 生活をより良くするのか。 存在する価値があるのか。 私たちは、数少ない素晴らしいものだけに、時間を注ぎ込む。 手が­けるすべてのアイデアが、それを手にする人の暮らしを輝か­せるまで。

via: Designed by Apple - TV CM - 私たちの サイン (Japan - Japanese /日本 - 日本語 | HD - Our Signature) - YouTube

もう一つのバージョンではこうしたプロセスが時間がかかるものであることを主張している。

もちろん全てAppleのやり方が正しいと主張するつもりはない。しかし

「ゴミアプリを乱造してどうしたいのか」

という疑問が頭をもたげるのも事実である。肝心なところで「うさぎ跳び50周」になってしまうのがいかにも日本的といえばそうなのだが。