プレゼンの「スライド」に何を出すか

2014-01-10 07:25

CESで行われたSonyのプレゼンを適当に流し見した。なぜかといえば、もちろん他にやることがあるし、もっと重要な理由として退屈だったからだ。

しかし以前「もうソニーの悪口は書かない」と書いたからには、その根本的な問題点については書かない。(といいつつ一つだけ書くと、平井氏はWao! 感動 について何度も、そしてかなり長時間に渡って語ったがプレゼンにおいて一つもWao!を示せなかったことだ。Life Space UXってなんだよ。インタラクション2006のデモ発表か?)

その代わりに、一つプレゼンテーション上の些細な点-よくある話なのでおそらく言及する価値がある-について書いておく。

CESでのプレゼンテーションは、間違いなく「売り込み」であって「説明」の場ではない。従って目的は「ソニーの素晴らしい製品、コンセプト」を聞いている人に売り込むことだ。

平井氏の後ろに表示されているのは、舞台全面に広がったスクリーンである。どうやらこのスタイルは最近の偉い人のプレゼンでの流行らしい。多くのビジュアルエイドはなかなかよかった。特にごちゃごちゃした写真を出すのではなく、スケッチ風の手書きにし、強調したいところを明確にしたのは良いと思う。

また一部は動画になっていた。見ているほうははらはらする。後ろの表示が動画、ということは平井氏は時間のコントロール権を持っていない。それにぴったり合わせて喋らなくてはならないのだ。少なくともこの点においてもなかなかスムーズにしゃべっていた。

問題はこのチャートである。

ソニーのスライド

これは明らかに「説明」用のチャートだ。イメージセンサーによって人間の血管の情報までとれるんだよー、というもの(だと思う。多分)問題はここに書かれたごちゃごちゃした情報に平井氏が全く触れなかったこと。

聞いているほう(見ているほうでもある)は不安になる。あの97.7とか5.5mMという数字はなんなのだろう?それが素晴らしいものならなぜ平井氏は言及しないのか?このように「後でハンドアウトを見てください」とばかり、受け取れる以上の情報を「スライド」に詰め込むのは日本の会社でよく行われていることだが、なぜかそれがここで顔を出している。

こうしたやり方が全て悪いとは言わない。「説明」の時には有効な場合もある。しかし「売り込み」の場であるCESでそれをやるのは間違っている。

多分このプレゼンのビジュアルエイドは複数のソースから得た情報を並べたものなのだろう。多分これは真面目なエンジニアがいる部門から来たもので、それをそのまま(多少綺麗にして)出してしまったのではないか、と想像する。

「売り込み」として平井氏のプレゼンを観た時「そもそも売り込むものが何もない」という根本的な欠陥があるのだが、それについては触れまい。しかし少なくともこの「スライド」はもっと良く出来たはずだと思うよ。