自動車メーカーの奇妙なデザインセンス

2014-03-06 07:18

AppleのCarPlayが登場したことで、いくつか面白い点が浮き彫りになっているように思える。まずはこの意見。

  • The Volvo implementation looks pretty good.
  • The Ferrari implementation looks pretty bad (resistive touchscreen?). And who the hell buys Ferraris anyway?
  • The Mercedes-Benz dashboard panel looks like a $50 drugstore Android tablet taped to the dashboard.
  • via: Daring Fireball: 'It's the Software, Dummy'


    Volvoの実装はなかなかいい

    Ferrariの実装はひどい(抵抗皮膜式のタッチスクリーンか?)そもそも誰がFerrariなんか運転するのか?

    メルセデスベンツのは,5000円のアンドロイド端末をダッシュボードに貼り付けたように見える。

    ということで、興味深い点その一。ソフトウェアデザインがCarPlayに統一されることによって、各社の「デザインセンスの差」がまるわかりになってしまったのだ。

    もう一つ興味深い点。Ferrariは車の「外装」のデザインにはものすごい金を払い、労力をかけている。しかし内装というかダッシュボードに関しては、信じられないほど無頓着、ということだ。


    これはDaring Fireballの表現を借用すれば、5000円のAndroid tabletにも達していない。20世紀のカーナビそのままである。こんな製品ならDESNOでも作れる。

    watch how hard the person is pressing the screen here and please tell me I’m wrong and that Ferrari didn’t really put a resistive screen into a car costing $330k?

    via: Opinion: Does CarPlay go far enough, or should car manufacturers let Apple do more? | 9to5Mac


    ユーザがどれだけ強く画面を押しているか見てほしい。3,300万円もする車に抵抗皮膜式のタッチスクリーンを使うなんて!

    上記引用文章がどのようなことを主張しているかといえば

    「Carplayはいいとして、それは車のインタフェースの一部でしか無い。Carplay以外の要素を使おうとすれば(たとえばエアコンの調節)各社のインタフェースに戻る必要がある。ユーザは、運転中異なるインタフェースを何度も行き来することになる。いっそのことAppleが車内インタフェースを全部デザインしたほうがいいんじゃないか?」

    という点。しかし自動車メーカーはこの「ユーザに複数のインタフェースの使用を強制する」という点に関しては「自信」を持っているに違いない。彼らは長年そうしたことを平気でやってきたからだ。

    例えばToyotaのenTuneだが、このインタフェースはenTune内では共通。しかし他の部分とは完全に独立している。我が国の例で言えばG-Bookがある。これも他の部分とは完全に独立したインタフェースだ。

    彼らはハードウェアのデザインに関しては異常なほど気を使い、金を注ぎ込む。しかし不思議なことに未だに「ソフトウェアはタダ」という常識の元で生きている人たちでもある。ゴージャスな内装の中にゴミのような画面が表示されていても一向にかまわないらしい。ユーザからみれば同じ「インタフェース」なのだが、そういう視点はないようだ。

    誤解してほしくないのだが、私が知っている自動車会社(及び関連メーカー)のデザイナーは優秀な人達である。だから問題は実際に手を動かしている彼らと彼女たちにあるのではなく、経営陣にある、と言いたい。そうした「異常性」はこれまで「カーナビとスマホは別物だからね」というわけのわからない線引で正当化されていたのだろうが、これからどうなっていくんだろうね。仮に変わるとしても10年後かな。