敗軍の将

2014-05-12 08:07

ここ数ヶ月間で、何人かの「敗軍の将」をみることになった。まずは「現代のベートーベン」氏。次に理化学研究所の小保方氏、そして最新がこの人である。

【全て私が悪いです】

メディアで発言する自分の言葉に自分が洗脳を受けていき、周りを取り巻く女性たちに逃げ、全てから一時的にでも解放されたいがために飲むアルコール。
この1か月間も日夜、突き抜けきってしまおうと思って行動しては迷いを生じの繰り返し、行動原理を失っていき、とうとう限界に達しました。
今までの行動エネルギーではもう動けないことを確信しました。
酒と見栄と女に狂った典型的なアホ経営者です。
全て私が悪いです。
経営者の反面教師の鏡だと思います。

via: 与沢翼からご報告します。 | 与沢翼オフィシャルブログ


何度か電車の中の広告で見たことがある人だ。秒速で一億稼ぐ、とかなんとか。とはいっても何をやっているのか今ひとつよくわからない。あれこれ探してみるとどうやら「きわどい」商売をしていたようだ。

この章、かなり面白いです。普段ウシジマくん読んでない人もぜひ読んでみてください。作中で与沢翼(作品内では天生翔)はこのように表現されています。

丑嶋「あいつらがやってんのマルチ商法だろ?」

戌亥「どーかな?丑嶋くん。情報を高額で売ってるみたい。広告の打ち方もキワドイね。」(中略)

戌亥「基本、マルチと同じ論理で、天生翔は自分自身をアイコン化して、セミナーやパーティーとかで表に顔をさらけ出して稼ぐとこが、前の世代と違うところかな。」

戌亥「自分の成功体験をみせつけて、あこがれを抱いた連中に、かなり高額な情報商材を売っている。」

戌亥「天生塾で成功できるのはごく一部で、他はどんどん高い商材を買わされてパンクするやつもいるってよ。」

via: 与沢翼とポーカーしてきたので写真うpするwwwww : IT速報


そしてこの人の事業は破綻した。しかし驚いたのはその「負けっぷりの良さ」だ。これには正直感心した。もちろんこれを含めてすべて「今までの路線の一環」と見ることもできるわけだし、世の中「良い話」にはそれくらいの姿勢で臨むのが正しいと思うが。

【際限なき欲望を満たし続ける先にある虚しさと歪んでいく思考】

欲は、満たせば満たすほど増大していきました。女性との交際が
増えれば増えるほど性欲は増し、そして思考は歪んでいきました。
食欲も睡眠欲も、地位欲も名誉欲も、金銭欲も、容易に満たされた
ものは、歪んだ形でさらに増大していきました。

ただ、一点、間違ってはいけないのは、豊かになること、素敵な
パートナーを得られること、世界を見られること、幸せになれる
ことは、大切なことです!

via: これからの私 | 与沢翼オフィシャルブログ


私が同じことをいっても「なんの説得力もない」のだが、実際に体験した人がいうと重みがある。とりあえずダイエットし、頭を丸めて「教祖」になってはどうだろうか。これだけ実体験に基づいた「教え」を語ることができる教祖は多くないと思う。

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自己正当化の先にあるもの】

それが今回の私の帰結です。自分は正しいと思い込んだ時点で、
人生は負けているのだと確信しました。

死ぬ最後のときまで、改善の先は、常にある。

それが人生なんだと思います。だから、自分のやり方や考え方が
一度でも絶対に正しいと思った私は、もうその世界観の中で、
その時点で負けが決まっていたんだと、今になって、わかります。

via: これからの私 | 与沢翼オフィシャルブログ


この言葉には個人的に頷かざるを得ない。半世紀を(ものすごく選択的に)振り返ってわかることだが、自分が正しい、これで自分もなかなかのものだ、と思った時足元にはぽっかり穴が空いている。例外なしに、だ。

弁護士によると、小保方氏は「たまたま1つだけできたのではなく、幾つも作っている。何度も見たし、他にも見た人がいる」と説明。論文の誤りとSTAP細胞の有無は「別次元の話」と主張しています。

via: 小保方氏が会見、STAP"真実"と強調 - LINE NEWS


これらの言葉を見ると、与沢氏は明らかに小保方氏とは違った人間であることがわかる。(ベートーベンは論外)それどころか小保方氏を持ち上げ、そしていまは知らんぷりを決め込んでいる「博士様達」より与沢氏の言葉のほうに耳を傾けたいとすら思う。これが2ヶ月後には

「己の不明を恥じます」

になるかもしれん。そうなったとしても先ほど引用した氏の言葉は胸に刻んでおこう。