コリン・パウエルの講演に行ってきたよ

2014-06-23 07:04

というわけで、ソフトバンクが主催したコリン・パウエル氏の講演に行ってきた。なぜ行こうと思ったかといえば、何かの本で「パウエル氏の講演がすばらしかった」と読んだからだ。

全般的にはあまり「面白い!」というような内容ではなかった。しかし印象的な要素がいくつかあったのは確かである。

まず彼が国務長官だったときに小泉首相と話したときの内容が語られる。真面目な話をひとしきりやったあと、エルビスプレスリーの話になったのだそうな。小泉はプレスリーの大ファンで、パウエルが「ドイツに駐在していたときに、プレスリーと会った」と聞くと大ノリだったとのこと。

でもって日米の関係は、プレスリーの歌のようだ、と言ったと。曰く

I Want You, I Need You, I Love You

なのだそうな。安倍くんがオバマに期待していたのもあるいはこういう「雑談」だったのかもしれん。

孫社長をひとしきり持ち上げたあと、なぜか「移民を受け入れろ」と延々話をしだす。彼も移民の息子だから。さらに話は「リーダーシップ13箇条」に移る。ここらへんあまりうまくつながっている気がしない。

その13箇条で面白いと思ったのは以下の項目。

続いての教訓「まず怒れ。その上で怒りを乗り越えろ」。

「怒りが大きすぎて、相手を敵と思ってはいけません。スタッフには、私が怒っているときは数分1人にしてくれればいい、と話しています」

via: 孫正義 x コリン・パウエル対談講演、リーダーシップ論特別講義「Leadership: Taking Charge」 - Engadget Japanese


講演だから、非常に丁寧にしゃべっているとはいえ、パウエル氏は移民の息子から四つ星の将軍に上り詰めた男なのだ。きっと職場では怒鳴りまくってんだろうなあ、と思える雰囲気がある。彼が"Next"(スライドを次に送れ、という意味)という言葉は将軍のそれだ。

さらに印象的だったのは、彼の姿自体。プレスリーに会ったことがある、ということからもわかるとおり、彼はかなりの歳だ。Wikipediaを調べれば77歳。日本の基準で言えば立派な後期高齢者である。

しかし一時間壇上に立ちっぱなしで語るその姿からはそうした年齢は全く感じられない。現役時代から少し髪は白くなったように思うが、それ以外は四つ星将軍時代と何もかわるところはない。

そうした「知性がすばらしいが、怒ると怖い将軍」の姿が一番印象に残った講演会だった。

そのあと孫君との対談があったようだが、孫君には全く興味がないのでそこで退席。ちなみにもう一つ印象的だったのは、講演の前に流れた「ソフトバンクアカデミア」のビデオ。なんでも孫君が自分の後継者を育てるための「学校」を開いているのだそうな。

そこでは目をきらきらさせた人たちが「孫社長から直に学べるなんて!」「プレゼンしたプランが採用された!」とか語っている。多分このアカデミアには2種類の人間がいるのだろう。孫から学べるだけ学んで利用してやろうと思っている人間と、「孫社長から学べるなんて光栄!孫社長の言葉が聞けた!」と感動している人間。もし孫君の後継者という意味で考えるならば、どちらのタイプを求めているかは明白だが。