日の丸アカデミック村は今日も平和です

2014-07-18 07:19

大学の先生という世界は一つの村社会を形成している(ちなみにNTTとかトヨタも村というか独自の国を形成している)その中では権力者の意向に沿うこと、お互いを助け合うことが何よりも優先される。

小保方リーダーの博士論文について、調査委は報道向けに配布した資料の中で、「多数の問題箇所があった」「内容の信ぴょう性および妥当性は著しく低い」と痛烈に批判している。それにもかかわらず、なぜ「学位取り消し」にはあたらない、という結論に至ったのか。弁護士でもある小林委員長は記者会見で、次のように説明した。

「学位の取り消しは一つの法律行為なので、その要件に合致しなければ、たとえ心情的にはおかしいと思っても、取り消すことができない性質がある」

via: 早稲田はコピペしても「博士号」が取れる?小保方さんが「学位取消」にあたらない理由 (弁護士ドットコム) - Yahoo!ニュース


まあ、こういう結論になるんだろうなと予想は誰もがしていたと思う。理由はわからないが、小保方氏には議員先生の強い支持があり、日の丸アカデミック村の親方たる文部大臣が意味不明の言説を繰り返しているところから、早稲田大学はこの結論以外出せなかったのだろう。

かくしてアカデミック村の平和は保たれた。「日本の大学の博士号は冗談」という事実は別に今に始まったことではないし、今回のことも半年もすればみんな忘れることだろう。

注意したいことだが「日本の大学の博士号は冗談」というロジックを逆転して「日本の博士号を持っている人は冗談」とするのは間違いである。早稲田で博士をとった人というとまず産総研の後藤さんが思い浮かぶが、後藤さんのやっていることが冗談、などという人間は小保方氏なみに頭がおかしい。つまるところ日本のPhDがあろうがなかろうがすごい人はすごいし、だめな人はだめ。日本のPh.Dはだめな人でもとれます!ということを誰の目にも明らかにしたことが今回の一件の功績か。

他の大学の先生のtweetとかみていると「うちは早稲田じゃない!」とか言っているが、おそらく早稲田の中では「うちは○○学部じゃない」とか「うちは○○研究室じゃない」とかやっているのだろう。こういう線引きというのはハタからみているとなかなか興味深い。

それはさておき

こういう「村社会の平和を保つ方法」というのは興味深いことなのだが、問題は「外からの攻撃」に弱くなってしまうことだ。日本軍という村社会が、その秩序を保つことに巧みであったが、戦争にとても弱かったことを思い起こそう。

今回の一件は、おそらく日の丸アカデミック村内部に何の変化も与えずに消え去っていくのだろうが(理研もおそらく何もかわらないだろう)、外から見たときはどうなんだろうね。少なくとも私は自分の子供が「日本で博士号をとりたい」といったら「金はださんよ」と言う。Ph Dとりたいならアメリカの大学に行け、と言うだろうな。