インターネットは多様性 を殺す

2014-07-16 07:03

すいません。また「ウケ狙いのこそくな題名」をつけてしまいました。しかし言わんとしているところとそう外れているわけではない。

先日のシンポジウムの講演内容。

70億人がインターネットにつながることで、創造性や才能、デザインや感性といった個々人に依存するものがWeb上で表現される可能性が生まれ る。

また、ありとあらゆるモノがネット接続することで、多種多様なデジタルデータがネットに流通する可能性もあり、その数は想像できないほどの大き い数になるだろう。

「創造されたモノはWebに流通し、シェアされ、多くの創造性や感性が尊重されつつも改善されることで、個人で創造していた今までとは違うモノ が生まれるはずです」

via: 「イ ンターネットの父」村井純氏、未来のモノづくり《ファブ地球》構想を語る - エンジニアtype


繰り返しになるが、この言説を聞いて「げっ」となるのが、これは村井氏が「インターネットの父」だったころのあおり文句としては正しいが、今はそこから何十年もたっている、ということだ。

従って私としては、「実際にCGMコンテンツを共有できるサイト」を運営しているこの人の言葉により信頼を置く。

川上 完全にウソですね。クリエイティブの楽園なんかにはなりません。オープンなマーケットで、みんながコンテンツをつくれるようになるほど、コンテンツの実質的な多様性は減るっていうのが僕の持論です。数が多いということは、ある解にむかって自動的に収束していくってことですからね。

— 実質的な多様性が減る、とは?

川上 例えば、「小説家になろう」っていう小説投稿サイトがあるんですけど、そのランキング上位の小説の設定がほとんど一緒になってたりするんですよ。だいたい転生もので、主人公が生まれ変わって、別の人生を歩んで、活躍するっていうストーリーです(笑)。

— ユーザーの願望が(笑)。

川上 投稿されている小説の中には本来多様性があるはずなんだけど、ランキング上位に来るものは全部似たようなものになる。ニコ動だって、いろいろな作品が投稿されていますが、何かが流行るとそれ一色になりがちです。参加数が多いってことは、逆に実質的な多様性を減らす効果があるんです。

— じゃあ、みんながクリエイターになるってことは……。

川上 逆にクリエイティブの自由度が減るってことです。いや、個人が何をつくるのも勝手なんですけど、人気になったり売れたりするものの自由度は減っていきます。

via: 【第8回】いま、好きなアニメをつくれるのはジブリくらい。|川上量生の胸のうち|川上量生|cakes(ケイクス)


こうした「時代遅れの言説」に文部科学省が乗っかる図柄。

いや、いいんだよ。高い目標を掲げて、それに向かって進むのは。問題は「現実をふまえた上で」その主張をしろ、ということ。川上氏が主張しているような「現実」をふまえた上でそれを克服しよう、という姿勢が先日のシンポジウムでは全くみられなかった。20年前の「インターネットがもたらすバラ色の世界」をかたり、それに対して「もちろん問題もありますが、自分たちがやっていることが解決になります!」という自己完結した主張のようにしか見えなかった。

いや、私は年寄りだ。他人がやっていることに文句を述べる暇があれば、自分はどうしたいかを考えなくてはならん。

この「誰もが”表面上ほしがっているもの”ばかりが投票で上位にくる」傾向を打ち破るためには何が必要なんだろうね?参加者のマスを集めながら、かつ多様性を確保するにはどうすればいいのだろう?