多分私はハッカーなのだろう

2014-10-06 07:20

そのことに気がつくのに半世紀も費やすなということなのだが。それだけでなく、私はこの文章にだいぶ前に出会っていながら、その意味するところが理解できたのはつい数日前である。

ハッキングの最良の形態とは、仕様を創ることだ--- ただ、仕様を創るいちばんの方法はそれを実装することだ、ということに過ぎない。

引用元:Hackers and Painters

ハッカーという言葉はいろいろな意味で使われているが、この文章で使われている「ハッカー」の意味に多分私は当てはまる。私が行いたいことは「絵を描く」ことなのだ。誰かが書いた輪郭をきれいになぞったり、色を塗ったりすることではない。

そういう仕事ができるように装うことはできるが、数年のうちに倒れてしまう。自分でも(つい最近まで)その理由がわからないので始末が悪い。

この文章に書かれているように、「計算機科学」関連の学科がともすれば「色をきれいに早く塗る人」を「すごい絵を描くが雑な人」よりも高く評価する傾向にあるのは、やむ終えないこととはいえ不幸なことだ。というかおそらくその区別を認識している人すらあまりいないのではなかろうか。

どんな世界でもその世界で「評価される基準」というものがあり、それを見抜き、適合することで出世する人というのが存在する。それだけに長けた人がいるのも不幸なことだ。学会のポスター発表で時々「論文屋」にあうことがある。査読を通す論文を書くのは得意だが、作ったシステムはゴミ同然という人たちだ。正確にいえば、確かにすごい何かが使われているのだが現実世界で全く役に立たないし、たてようとも思っていないもの。

こうした区別は実に微妙であり、説明するのは困難だ。しかししつこく書いてみようと思う。微妙だが重要な区別だと考えるから。