必要条件と間違いと

2015-03-23 07:02

世の中にはほんの少しの「必要条件」と滅多にない「十分条件」と大量の「それ以外」がある。

特に「成功した企業の秘密」の類はほとんどが「それ以外」だ。つまり文脈によって「成功の秘密」にも「失敗の理由」にもなりうるものである。

Steve Jobsの「常軌を逸した細部へのこだわり」はよく知られている。最近ではそれは「成功の秘密」として語られることが多いが、私が初めてMacを買った頃、つまりAppleといえば「ジョン・スカリー」だった時代、それは「失敗の理由」として扱われていた。

思うに世の中は短い言葉で切り取るには複雑すぎるということなのだと思う。「成功に結びつく細部へのこだわり」と「誰にも理解できない自己満足」の間に明確な線などない。少し前に書いた

「ハイレゾ音源用のメモリーカード」

は誰にも理解できない類だと思うが。

なぜこんなことを書き出したかといえばある「フィギュア」の「目へのこだわり」を誇らしげに書いている文章を見つけたから。

細部へのこだわり

引用元:月サンは困ってます

左は「ぜんぜんダメ。話にならない」なのだそうだ。

間違い探しのつもりで見比べてみたが、私には黄金のメモリーカードのほうがまだ違いがわかりそうな気がする。

一つだけぼんやりわかるのは、こういうことに価値を見出す人たちが一定数存在する、ということ。そういえばメモリーカードによる音質の差異が分かる業界には「ピュアオーディオ」という名前もついているらしい。世の中は私が知っているよりはるかに広く多様だ。