日本の大企業

2015-03-31 07:24

ある男が言った言葉だが

「日本の歴史上、名を残しているスピーチは北条政子のものくらいしかないのではないか」

私は未だにこの言葉に対する反例を見つけることができない。歴史に名を残すまでいかなくても日本の大企業に勤める人間であれば

「偉い人の話」

にはなんの意味もないことを体験的に知っているはずだ。逆説的になるが「あたりさわりのない訓示を大真面目にやる」ことができるメンタリティを持つ人間は日本の大企業で出世する可能性がある。「本当のことをしゃべってしまう」人間はまあ無理。

そうわかっていても「ひょっとしたら次くらいは」と希望を抱いてしまうのが人間というものであろう。

社外から伝わる深刻なニュースと経営陣が発するメッセージとの大きなかい離に、不信感を募らせていくシャープの従業員たち。こんな状況だが、従業員の中には髙橋の発言にわずかな期待も抱いていたものもいた。「たとえ痛みが伴う改革でもいい。今度こそ髙橋さんの本音が聞けるのではないか」(研究開発部門の40代管理職)。

 だが、そんなシャープ社員の期待はもろくも打ち砕かれた。

 「報道には惑わされないようにしてほしい」「銀行ではなく自分たちの力だけで立て直せるはずだ」「経営陣を信じてほしい」――。

 夕方から始まった約5分間の緊急メッセージで髙橋の口から飛び出したのは、イントラネットの掲載内容の繰り返しと言えるもの。社員の不安を和らげる狙いがあったとみられるが、むしろ逆効果となった。別部門の40代社員はこう怒りをあらわにする。「なぜわざわざ放送したのか意味が分からない。会社のことをより信じられなくなった」。

引用元:「けったいな文化」を変えられなかったシャープ (2ページ目):日経ビジネスオンライン

社会人として最初の10年余を日本の大企業で過ごした私にはこの時の「緊急放送」がどのようなものだったかありありと想像できる。

末期に芸能人をCEOに据えるという迷走をみせた三洋電機のようにシャープもきっと何かやらかしてくれると思う。真面目にシャープで働いている人たちには気の毒だが。