社長さん

2015-08-21 06:55

行ったことはないのだが、夜の街にいくと「社長さん」がたくさんいるのだそうな。夜があけると本当の社長さんの数はぐっと減る。

一言に社長さんといってもいろいろな人がいる。「一流の大企業」の周辺にもたくさん社長がいる。親会社で上にはいけなかったけどまあがんばってくれた、と「会社が評価する」人間は子会社の社長になる。そして子会社(あるいは孫会社)には馬鹿しかない、と自分の価値を再認識して悦にいる。毎朝ゴミ箱をチェックし、可燃物の箱に不燃物が捨てられていれば全社員を集め訓示を垂れる。ああ、なんてこの会社の人間は馬鹿なんだ。彼は認知症の初期症状を示していたが、無事次の「社長さん」が落ちてくるまで勤め上げた。

そんな人間の数を推測しようかと思ったがあまりにも馬鹿馬鹿しいのでやめる。馬鹿を相手にしている暇はない。今朝読んだのはこういう「社長さん」の言葉だ。

「それから、私は外様です。よそから来た若造の言うことを、実績50年の社長の前と同じように、みんな理由もなく聞くわけがないんですよ。じゃあ、徹底して丁寧に行こうと思いましてね。たぶん、ものすごくしつこく何回も同じことを言っています。任天堂はどこへ行くのかとか、何が目的で何が手段なのかを、また社長同じこと言ってるよって言われるぐらい、呆れられるほどしつこく言い続けています」

 「おかげで、会社の人たちの考え方の軸や、今までうまく協調できなかった違う部門のエネルギーがうまく揃ってきた。結果として、とてもいい回転になったと私は思っている。でも、天の時に恵まれなければきっと私は同じことはできないし、それから、任天堂がもともと持っていた社風や哲学がなければ同じことはできない」

 「だから自分がぽんと落下傘で降りていって、どこへいっても何かができるというような意識はないですね。ただ、そういうめぐりあわせと相性があったんだな、と思っています」

引用元:任天堂・岩田さんが遺した本当の功績 (3ページ目):日経ビジネスオンライン

こういう人が志半ばで逝ってしまうのも世の習いというものだろう。彼に手ぬかりがあったとすれば、それはTim Cookを探していなかったという点にある。二人の専務はとびきり優秀だが社長ではない。これから任天堂はどうするのだろう。