「型」の呪縛

2015-09-30 07:14

いつ買ったかも忘れた「ツシマ」という本を夢中になって読んでいる。

バルチック艦隊の遠征、そして壊滅をおそろしくリアルな筆致で綴った名作である。

考えておかなければならないこととして、ほとんどの場合戦いにおいて自分たちの非は目につくが、敵の非はわからない。それゆえ「これだから負けた」という彼の感想(それは人間としての正直なものだろうが)は多少割り引いて読む必要がある。

しかしそんなことを除いても、この本が描き出すバルチック艦隊の行動は同じテーマを取り上げた日本の類書とは全く異なり、その言葉の持つ力が違う。この本からは日本の艦隊に一方的に打ちのめされるロシア戦艦上での様子が伝わって来る。この本の記述に迫るものがあるとすれば、プライベートライアンの冒頭シーンだけだろう。

それと共に感じるのは

「日本の戦史ものの定型的さ」

である。

日本人が書いた戦記では、兵隊は常に「日本の兵隊」という枠にはまっているように思える。それは半分神のような姿だったり、単にいやしく残酷な姿だったり。アメリカ人が書いた「ペリリュー・沖縄戦記」を読んでも感じたことだが、それらを読んで感じる

「人間の姿」

が日本の戦記からは決定的に欠けている。いや、これは私が読んだ本が悪いせいかもしれんが。

こうした文学や映画における「日本人の戦争の描き方の定型性」が延長されたところに「進撃の巨人」のような作品が生まれるのではないかなと思ったりもする。そういえば最後にみた「まともな邦画」は南極料理人か。。



自慢話しをするタイミング

2015-09-29 06:44

綺麗な上海問屋ことUPQが面白いことになっているらしい。

「格安SIMフリースマホ」として市場に出ている製品は、日本語対応が微妙だったりとか、技適が通っているのか不安だったりとか、単純にデザインが選べないという不満があると思うので。一回この市場で製品を作ってみたいと思っていました。
引用元:http://k-tai.impress.co.jp/docs/interview/20150821_717289.html

(一ヶ月経過)

発表の内容につきまして、「該当の製品に関する技術基準適合認定は取得」と記載しておりましたが、誤りでした。本日、総務省総合通信基盤局より電気通信事業法及び電波法に関する認証が未発行であるとの指摘を受けました。
http://upq.me/jp/news/20150925_2/

引用元:UPQ Phone A01 Part3 [転載禁止]©2ch.net

「格安スマホは技適が不安だよね!アタシが作るよ!」と言った本人が技適を取っていないスマホを出荷した、というオチである。

年をとってくると実感するのだが、世の中にはやたらとメディアで自慢をする人とそうでない人といる。最近では元LINEの森川とかいう人がやたらとメディアで顔写真をだしている。想像するにあちこちで「LINE成功の秘密」とやらをといているのではなかろうか。

問題は

「自慢するタイミング」である。UPQは「製品を発表する」ところがゴールだったようでそこで自慢を始めてしまった。まだ出荷されていなく、ユーザのフィードバックも得られていないうちに。こうしたやり方は別にUPQの専売特許ではない。学術の世界でもろくに検証されていない

「ニュートリノが超光速で動いた!」

がニュースになったりもする。多分これは「自慢した」のじゃないだろうが。

そして

経験的に思うのだが「早めに自慢する人」はほとんどの場合

「ろくなもんじゃねえ」

これは何の確証もない理論だが、心に留めておこうと思う。



うまくいかないことはもっとやれ

2015-09-28 07:09

悪い管理の第一法則
何かがうまくいかないときは、もっとそれを続けよ。

引用元:ジェラルド・ワインバーグ - Wikipedia

G.M.ワインバーグがこう書いているから、これは別に我が国独自の芸術というわけではないんだろう。いずれにせよ何かが決定的に間違っている構造ではこの「悪い管理の第一法則」がよく観察される。何かといえば

配給大手の東宝は、12年ぶりに製作する新作「ゴジラ」のタイトルが「シン・ゴジラ」に決定したことを発表した。また、脚本・総監督を庵野秀明、監督・特技監督を樋口真嗣が務める同作に、近年の日本映画界をけん引する長谷川博己、竹野内豊、石原さとみが出演していることが明らかになった。

引用元:庵野×樋口版「ゴジラ」に長谷川博己&竹野内豊&石原さとみ!タイトルは「シン・ゴジラ」に決定 : 映画ニュース - 映画.com

何に驚くといってこの面子は、現在絶賛公開中の進撃の巨人関係者とあまりに重複している。

進撃の巨人はどういうできかというと

「ネタにも伝説にもできないただの時間の無駄

であるらしい。不幸にして私はこの映画を見るだけの財力も時間の余裕もないので伝聞だが。そして来年ゴジラ公開時には

「あの”進撃の巨人”のスタッフが再集結!」

とか宣伝するのだろうか。

これは想像だがこの人たちはその「面白い映画を作り上げる力量」ではなく、人間関係を上手にマネージすることで仕事を得ているのではないかと思う。なんども書いているが、日本の娯楽は社会主義的に供給者の都合で決定される。つまり

「供給者側がつかいやすい」

人間がなんども使われるわけだ。

ゴミ映画であっても、あれこれ宣伝すれば私が考えるところの奇跡のような傑作マッドマックスの何倍もの収入を上げることができる。ほら、やっぱりこの方法が正しいんだよ。KPIが示しているじゃないか。

かくしてゴミ映画は量産され、映画の内容とは全く関係ない「マーケティングテクニック」によって人々は映画館に向かい続ける。ソ連が崩壊したいようにこの図式はいつか崩壊すると思うが、それがいつかは私にはわからない。



コンテンツブロックがもたらす未来

2015-09-25 07:32

Goromi for Youtubeの今のバージョンに広告は入っていない。

以前は右側に流れていくビデオの代わりにときどき広告が流れていた。これは邪魔にならないし、個人的には時々「をを、こんなものが」と発見もあって面白かった。しかしVer3で画面デザインを大きく変更した際に広告を入れる場所がなくなった。広告サイズのバリエーションが増えればまた広告をいれるかもしれないが、今のところ復活させる予定はたっていない。

貧乏な身であるからして、少しでも収入があるのはうれしいのだが、ユーザに不便を強いてまで小銭を稼ぐことは私にはできない。このブログに固定枠の広告がないのも同じ理由からである。

もっともこれは両方とも「暇つぶし」でやっていることだから言える綺麗事でもある。広告が貴重な収入源となっていることもあろう。しかしこういう言葉を聞くと何かが間違って居る気がする。

続けて、炎上効果でブログのアクセス数が増加し、炎上すればするほど広告収入などで儲かっていると自慢。そのお金を貯金しているとも語った。

引用元:矢口真里「炎上すればするほど儲かる」発言は“メンタル崩壊”の予兆!? | アサ芸プラス

芸能人が不愉快な言動をする。それを確認しにブログを閲覧すると同時に広告を見させられる。それ故不愉快な言動をした人に大金が転がり込む、ということらしい。事実はこうなのだろうが、果たしてこれは「正しい」ことなのだろうか?

さて、こうした状況を一挙にふっとばしかねない機能をiOS9でAppleは実装した。ブラウザSafariの機能拡張として、広告ブロック機能が入ったのである。

ウェブメディアをはじめとして広告収入で成り立っているサイトを撲滅させてしまうのではないかと心配されているコンテンツブロッカー。iOS9からSafariの拡張機能として使うことができるようになった。

引用元:【激震】広告をブロックできるiOS9のコンテンツブロッカー解禁で起きた7つの出来事 | netgeek

これはおそらく世界中でAppleにしかできない「暴挙」である。この動きにはいろいろな反応があり、広告業界からは

「広告を表示させないのは、無料で本を盗む万引きと同じだ!」

という意見もある。ここらへんの言葉は、CMカット機能をもったVTRでも聞いた気がする。なんだかなだと日本国内では圧力をかけCMカット機能をつぶしたような記憶もあるが、彼らもどう逆立ちしてもAppleには手が出せまい。

もっと現実的な意見としては

「また別の方法で金をかせぐことになるんだろう」

というものもある。今朝みつけた「金をかせぐ新しい方法」は以下の通り。

The Wall Street Journal:

Eyeo GmbH, the company behind popular desktop ad-blocking tool Adblock Plus, now accepts payment from around 70 companies in exchange for letting their ads through its filter. Eyeo stipulates that they must comply with its “acceptable ads” policy, meaning their ads aren’t too disruptive or intrusive to users. In total, ads from some 700 companies meet the acceptable ads policy, an Eyeo spokesman said.
Eyeo is now reaching out to developers of other ad-blocking tools to cut deals that allow certain ads to pass ads through their filters, too, in exchange for payment.

(Dean) Murphy (who created Crystal, an application to help users block ads on Apple Inc.’s mobile devices) said he has taken Eyeo up on its offer, and plans to implement an option within his app whereby “acceptable” ads will be displayed to users. The feature will be switched on by default, Mr. Murphy said, and he will receive a flat monthly fee from Eyeo in return.

This is a predictable situation and it will only get worse or better depending on your point of view.

引用元:Apple propels an ad-blocking cottage industry

私なりに要約するとこういうことらしい。広告ブロック機能を「金をはらってくれた」サイトに関して無効化する、と。広告ブロック機能拡張を作る人たちは、その会社から報酬を受け取ることができる。

思えば

日本では長い間「CMを強制的に見せるからTVただね」という方式がまかり通っていた。仮にNetflixが普及すればその図式は「定額払って番組みてね」に変わる。そう遠くない将来Webを使ってどうやって金を儲けるかという図式がまた変わるのかもしれない。

私としてはその結果

「その昔、携帯電話でWebをみると、けばけばしい下品なバナーが光っていてね」

と笑い話にできるようになればなあ、とぼんやり考えている。


VWのチャレンジ

2015-09-24 07:23

フォルクスワーゲンが「排気ガスの検査中だけ排気ガスをきれいにするソフト」を搭載していたのだそうな。

よくもそんな面倒なロジックと検証をやる気になったものだ、と組み込みソフトウェアのエンジニアなら感嘆するところだ。それをやろうと思えば、ロジックの設計から念入りな検証まで複雑な手順を踏まなくてはならない。一番の悪夢は「政府の試験中」にソフトが誤動作を始めそうした「いかさまロジック」の存在が明らかになること。だから「検証」はずいぶん慎重に行われたにちがいない。それ故

ウィンターコルン会長は「ほんの数人の過ちによって、60万人の全従業員の懸命かつ誠実な仕事ぶりが疑われるようなことはあってはならない」と述べ、組織ぐるみの不正ではなく、あくまで一部の従業員によるものだと強調しました。

引用元:フォルクスワーゲン 不正ソフトは約1100万台に NHKニュース

この会長だかCEOだかの言葉を真に受ける人はいないだろう。自動車会社のような官僚的組織でこんなことが「数人」でできるはずがない。数千人の間違いではないのか。

こうしたことが明らかになれば、ここのところ続いていたVW関連の「奇妙な事象」の謎も明らかになるかもしれない。

では、現在、スズキが何か困っているかというと、何も困っていません。ワーゲンさんの持つ個別の技術について勉強させてもらいましたが、いますぐに欲しいという技術はありません。

引用元:スズキとワーゲンの今とこれから (鈴木修氏の経営者ブログ) :日本経済新聞

世界の新車販売で今上期、フォルクスワーゲンがトヨタを抜いて首位奪還というニュースが流れた矢先に、VW日本法人の社長が突然辞任することが明らかとなり、「VWに何が起きたのか?」と、輸入車業界で大きな話題を呼んでいる。

引用元:「ゴキゲン♪ワーゲン」のVWに何が!?日本法人社長の唐突な辞任劇が生んだ波紋|モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫|ダイヤモンド・オンライン

上の記事はいずれも「VWとの提携を解消したスズキ会長の慧眼」経由で知った。

なんとなく想像するに、これはドイツ版(私のような古い人間は未だに「西ドイツ」と描きたくなる)チャレンジではなかったのか。「VWはトヨタなんか蹴散らして世界一になるんだ!」という大号令が隅々にまで行きわったった結果こういうことが起こる。

とはいえ

私が考える「幸運な要素」はこの問題が発覚した場所が「米国」ということだ。かの国では我が国のように「玉虫色のやさしい解決」が図られることは少ない。もちろん馬鹿げた行き過ぎはあるが、FIFAの不正とおなじくこれも徹底的に糾弾してくれると思う。東芝のようなうやむや解決にはならんだろう。

そして私はいつか出版されるであろう「VWの落日(想像)」を楽しみにしていよう。そこには多くのサラリーマンが首がいたくなるほどうなずく様々な事象が記載されているにちがいない。


いつも心に微笑みを

2015-09-18 07:01

年をとって体が弱ってくると実感するが、絶望とか不満をたらたら述べる、というのは若者の特権なのだな。体と心が疲弊していく。若者ならそれに耐えられるが、年寄りには無理だ。

とはいっても理不尽な世の中に憤りの気持ちが湧くこともある。そういうときは一歩引いて笑いに転換することを試みるべきだ、と頭ではわかっているのだがなかなかこれは難しい。とはいえ世の中にはいくつか見習うべきものがある。

「進撃の巨人」が実写化された。新春隠し芸大会にしか見えない予告編をみただけでげんなりしてしまった。もちろんみないのだが、映画評論を生業としている人はそういかない場合もある。「日本の評論家の掟」に身も心も捧げられる人は幸いだ。どんなに自分の心と違うことを書いても、「これは日本で映画評論をやるためには必要だ」と割り切れるから。問題はそこまで割り切っていない人。ゴミ映画をどう書けばよいのか?

ao8l22 すごい!全く褒めてない!!

elephantskinhead 誰が一番面白い罵倒をできるかという風潮

toshi20 心臓を捧げよ!→心境を察せよ!(レビュアーの)

houyhnhm レビューが立体機動やってるような感じが、お仕事大変という感じで見ていて辛い。

引用元:はてなブックマーク - 「心臓を捧げよ!」実写版「進撃の巨人」後編に制作陣のギリギリの覚悟を見てしまった - エキレビ!(1/3)

これは進撃の巨人後編に関して書かれたある映画評についたコメントである。読解力のない人はそういうコメントをつけるがちゃんと読めばこれが「婉曲なゴミ映画という罵倒」であることに気がつく。

結果はゴミであっても、その背景を察する(妄想する)ことであるいはなんらかの笑いを見出すことができるかもしれない。

邦画の限られたリソース、原作とは違うオリジナルの結末など、調査兵団なみに報われない任務。その中で「せめて観客の心に傷を残す」スタッフの意地を堪能してはいかがでしょう。

引用元:「心臓を捧げよ!」実写版「進撃の巨人」後編に制作陣のギリギリの覚悟を見てしまった - エキレビ!(3/3)

これは一つの手法として覚えておこう。


イット業界のプレゼンテーション

2015-09-17 06:52

昨日Potatotipsというイベントで5分間喋ってきた。正確には4分ちょっとだと思う。練習して時間を計るのだが、本番は緊張して早口になるので大抵時間が短くなる。

この半年に3回以上人前で喋ったことになる。その度に

「イット業界のプレゼンって」

と思う。

まず時間を全く守らない。昨日のはもともと5分でと言われていたので、何度かリハーサルしてあれこれ調整して5分にした。しかし10分くらい喋っている人がたくさんいた。一応5分でタイマー音がなるのだが、それを聞いても全く動じず悠々としゃべっている。それが

「まだここで終わっちゃ困る。もっと話してくれ」

というような興味深い内容ならともかく。10分喋ってもう終わるかと思ったら「もう一つ」とか言われたのにはのけぞりそうになった。3回のイット業界イベントで全てこんな調子だった。

しゃべる内容にしても、聴衆がどんなことに興味を持つのかとか全く考えずに「とにかく自分が調べた内容をしゃべる」というものが多い。スクリーン上に大量のコードを並べられてもねえ。

私が大学でやった「プレゼンテーション」は卒論と卒業設計のそれだけだったが、最近は大学でもあれこれ教育していると聞く。ではこの

「時間も聴衆も気にしない牛のよだれのような独り言」

の羅列はなんなのか。謎は深まるばかりでございます。

とかなんとか言っているが

私のプレゼン自体は短かったが費やしてしまった時間は長かった。接続にトラブルがあったから。プレゼンターは休み時間に接続を確認するという基本動作を怠った私のミスである。これだから人のことを偉そうにあれこれいうのは慎重でなければならない。

もっと驚いたのが、会場にはプロジェクターの接続がHDMIしかなく、2010年購入の私のMac Book Airはどうやっても接続できなかったことだ。それで困っていたのは私だけなので、HDMIやサンダーボルトがない人間はプレゼンするな、ということなのだろうか。いや世の中の移り変わりは激しい。

ついでにいうと、ではということで主催者のMacを借りてプレゼンしたのだが、ファイルの受け渡しにAirDropは機能せず、結局USBメモリを使った。いつまでたっても「信頼できる」ファイルの受け渡し、プレゼンの投影は難問だ。


いつかは私も

2015-09-16 06:49

というわけでこれまでのサラリーマン人生よりも残りの方が圧倒的に少ない状況になっている。60歳か65歳か知らないがとにかくそこを過ぎても何か仕事を探さねばならん。

そう考えるとこのブログ主の言葉が身にしみる。

高知の方々、、、僕はライターとして成功したいです。

彼女(未来の妻)と将来の子どもひとりくらいと一緒に本当に豊かな生活を手に入れるために、そして大好きな文章を書く事を生業にしながら、周りの人にも喜んでもらえる生活を送りたいのです。 それが叶うなら泥水でもすする覚悟はもうできています。

引用元:ライターとしてお仕事ください。高知の方々、連絡お待ちしております。 : Discover Innovatorsー100人取材で人生変わるかー

この人のサイトや文章にツッコミを入れることは、マメコガネが繁殖した花壇から虫を集めるほど易しいこと。問題は自分が同じ立場になったときこの人より上手に立ち回れるという自信がない、ということ。

「僕にはお金が必要です。だから仕事ください」

これは街頭募金じゃない。仕事をお願いするとすれば「自分にとって払った金に見合ったメリットがあるか」だけが問題。その人が億万長者だろうが、生活に困っている人だろうが関係はない。だからこの人がやっているのは「マーケティングの間違いその1」なのだが、いざその場になると結局自分もそれをやりそうな気がする。

というわけで、何年後か知らないが、私がどこかに移住して

「⚪︎⚪︎のみなさん。僕はブロガーとして成功したいです」

とか書き出したら生暖かく見守ってやってください。


「綺麗な上海問屋」を礼賛する人たち

2015-09-15 07:04

京大の教授がこんなTweetをしていた。

などとつぶやいているうちに出会った UPQ(アップ・キューと読むらしい)という会社のホームページ https://make-store.dmm.com/  クリエイティブな香りに満ちたモノたち.

引用元:Toyoaki NishidaさんはTwitterを使っています

京大教授が礼賛しているのは、日本のメーカーではなく中国メーカーである。UPQという実態のない会社は中国メーカーの製品に色を塗りロゴをつけただけだ。もっともこの教授はその「色彩とロゴのセンス」に「クリエイティブな香り」を感じたのかもしれないが。

不思議なことにこの「日本メーカー」を礼賛する人が何人もいる。

家具やスタビライザーまで作るブランドは非常に珍しいと言えます。そんなUPQには、わずか2カ月たらずで「blue x green」(ブルー・バイ・グリーン)に染まる17製品24モデルを発表した芯のある代表がいました。

引用元:UPQ SIMフリースマホ、50型4K開発秘話。私の作りたいように作り私のものにする決意(更新) - Engadget Japanese


日本の家電メーカーの不振が叫ばれて久しいが、もともと日本の大手家電メーカーも数名の小さな会社から始まったはず。UPQのような1人家電ベンチャーに、不振脱却のためのヒントがある気がするのは私だけではないはずだ。このUPQのケースを見て、ぜひ日本のメーカーの方々に、自分たちにはこのアプローチはまねできないのか、考えてもらいたい。

引用元:女性1人の家電メーカー 細部の勝負避け開発迅速 (徳力基彦) :日本経済新聞

この人たちは

「真面目に一から設計して、デザインを練って、生産の調整を必死にやって、ユーザテストの結果のフィードバックして必要な法的認証をとって、サポートやサービス体制をちゃんと整えてそして製品発表

なんてばかばかしいよ!

"日本のものづくり"は”中国製品に色を塗ってロゴつけました"でいいじゃん!」

と言いたいらしい。徳力氏にいたっては、かつての日本家電メーカーのそのような存在だったと主張している。

本日の題名「綺麗な上海問屋」というのはSlashdotからの引用。私がここに見るのは「日本の家電メーカーの未来の姿」ではなく

「日本のベンチャーシーンに巣食う気持ち悪い人間関係」

だ。

「指が一本しかはいらないメリケンサック」ログバーを礼賛するTech Crunch Japanとか、綺麗な上海問屋を持ち上げるEngadgetとか、ソニーはもともと上海問屋だったと主張する徳力氏とか、こういう腐ったメディアがスタートアップ界隈の「お友達」と癒着している姿には嫌悪感しか感じない。

それは「公開前は酷評しないのが最低の仁義」とか寝ぼけたことを言っている邦画の制作者と評論家の癒着にも相通づるものがある、、ような気がする。どちらも気持ち悪い。そしてどちらも私には先が見えない。

まず「本当のこと」を言いませんか?そんなにお友達が大切ですか?


携帯キャリアの終焉

2015-09-14 07:10

なーんども書いたことだが、いくつか面白い動きがあったのでまた書こうと思う。

日本には携帯電話会社が3社あり、それぞれ殴り合ってはいるがお互い「3社の寡占状況」には満足しているようだ。それゆえ値段は下がらないどころか上がっているし、その事実を隠すためにわけのわからないプランは山盛りだし、はてにはこんなことも頻繁に起こる。

でさ、それならもういっそのこと新機種にしようかなーつって
その辺も検討しながらお値段とか見てみたらさ
 
 
8万5000円
 
 
は?
 
(中略)
 
でもまあ、時代は進化してるわけで、それに伴って値段が上がるのは仕方がないのかもしれない。スマホがなくては僕も困るし、きっとその値段だけの価値があるんだろう
 
とか思ってたらさ、これだよ
 
 
他社からの乗り換えの場合 0円
 
 
は?
 
 
しかも今なら商品券2万円プレゼント!
 
 
はぁ?
 
 
いやいやいや待て待て待てと
お前な、普通に考えておかしくないか?

引用元:DoCoMoって俺の事舐めてない? スマホのキャリア乗り換えについて - 今日はヒトデ祭りだぞ!

この「普通に考えておかしいことが堂々とまかり通る」のは携帯電話3社の競争がお互いの攻撃に閉じてしまい消費者をはじき出しているがゆえの減少。そしてこういう「浮き足立った状態」は長くは続かない。

安倍晋三総理大臣は、9月11日に行われた第15回経済財政諮問会議で、高市早苗総務大臣に携帯電話の料金引き下げを検討するよう指示を出した。会議終了後に甘利明内閣府特命担当大臣が明らかにした。

 甘利氏は、家計支出に占める携帯通信料の割合が拡大しているが、3社体制で固定化してしまっており、競争政策が働いていないとする指摘もあるとした上で、それを含めて安倍総理が料金引下げを総務大臣に指示した、と状況を説明。

引用元:安倍首相、総務相に携帯料金の引き下げを指示 - ケータイ Watch

安倍くんの指摘は正しいが、いかんせんお上がどうとかいったところで状況は動かんだろう。MVNOを進めているのは私は総務省の大ヒットだと思うけど。

というわけで期待は「営利企業」に向かうわけだ。

これは「iPhone Upgrade Program」という販売プログラムで、毎月32.41~44.91ドルでApple Careの保険もついてくる。対象となるのはSIMロックフリーモデルで、アップルと最低2年間、iPhoneを使い続ける契約は必要だが、電話会社との2年契約は不要なので、途中でキャリアを乗り換えたくなったら、それも可能になっている。

 携帯電話をサブスクリプション型で提供する画期的な売り方で、この発表が既に日本のキャリアも巻き込んだ新たな動きを生み出す台風の目となっている。

引用元:Apple新製品のすべて【特大版】:「iPhone 6s」を林信行が読み解く――これは“羊の皮をかぶった狼”である (6/6) - ITmedia PC USER

今回のイベントで顎が外れるほど驚いたのは、この発表だった。あまりにもさらっと言われたので気づかなかった人も多いとは思うが。

つまり「2年契約するのならキャリアではなく、Appleにしなさい。そしたら毎年新機種が使えますよ。SIMフリーだから”土管”なんかはどこでもいいです」と言っているのだ。

私の予想では、これは「Appleキャリア化計画」の第一歩だと思う。具体例で書こう。IIJ のmioと組み合わせると「月5600円の固定料金で常に最新のiPhoneが使えます!」が実現する。やれなんちゃら割引とかかんたらボーナスとか面倒なことは一切なし。故障してもちゃんと保証がついてきます。この場合回線会社は別にIIJに限る必要はない。要はDocomoの回線を土管として提供するところならどこでもいいのだ。こう書いているいまもDocomo回線の値段は下がり続けているはず。であればAppleが消費者の側からみて直接回線を提供してもなんの問題もない。

これがAppleSIMと結びつくとどうなるか。土管の選択もAppleが遠隔で自動で行えるようになる。我々はAppleに月5600円払うだけだ。どのキャリアを使っているかも気にしなくてよくなる。Appleなら「長年のAppleユーザほど優遇する」割引があってもおかしくはない-簡潔さとのトレードオフだが。

キャリアが如何に文句を言いたかろうが「不満ですか。そりゃ仕方がない。じゃあ御社との契約はこれで打ち切りということで」と言われたらキャリアは何も言えない。(こう書いていて”ザマーミロ”という気持ちが沸き起こるのを抑えられない私のような人は多かろう)

いや、楽しい。総務省の人。これはチャンスですよ。日本企業の膠着した構図を打破しようと思えば黒船に頼るしかない、というのは周知の事実。キャリアとしてのAppleは日本から始まる!なんて誰にとってもわくわくする図柄じゃないですか。


Special Event September 2015で不満だったこと

2015-09-11 07:07

いや、iPhone6Sでの3D Touchの威力には驚きました。これいいわ。今作ってるものであのforce touchが使えたらなあ。きっともっといいことができる。この「一覧からのPeek」ってとっても必要だけどなかなかやりにくいものだから。

あとこれを使うと見られてもばれないパスワードが簡単に作れる。などと感心しているまえに論文にしなきゃ。

あと大きなiPadもいいなあ。あれでGoromi for Youtubeをみると絶対生えるぞ。それに子供とあれこれやるのもあの大きさがいい。

とApple原理主義者が喜んでいても説得力があるまい。しかし昨日のイベントで一点大きな不満点があった。

Appleの発表によると、新しい有料プランは3種類です。日本円での発表がないため、括弧内の金額は現在の料金プランから推測した料金です。

5GB:無料
50GB:月額0.99ドル(100円?)
200GB:月額2.99ドル(300円?)
1TB:月額9.99ドル(1,200円?)
現在の有料プラン

括弧内はアメリカでの料金です。

5GB:無料
20GB:月額100円(0.99ドル)
200GB:月額400円(3.99ドル)
500GB:月額1,200円(9.99ドル)
1TB:月額2,400円(19.99ドル)

引用元:iCloudの容量を増やす有料プランが値下げへ、50GBで月額100円〜? | AppBank

ものすごい利益を上げている企業が、なぜこういう「チマチマとした課金」を行うのかが理解できない。そりゃ某Googleみたいに「写真・動画無制限」は無理ってのはわかるけど、200GByteまで無料。1TBは月額$1でもバチはあたらんと思うよ。Apple製品を買えば自動的にCloudにバックアップで安心!ってのは大きな売り文句になると思う。

無料部分を増やすと途端にみんなが使うようになるからサーバーが持たない、ってのも理解はできるけど今時無料で5GByteなんて、、せめてiOS機器の最大容量128GByteまで無料にするとかさ。それからiOS機器の最大容量に合わせ無料部分を拡大する。それでこそ

It just works

と言えるんじゃなかろうか。なんだかiCloudの設定を開いてちまちまチェックを外すなんてAppleらしくない。Tim、あれだよ。来年のWWDCでどかんと行こう。


唯才

2015-09-10 07:20

これは曹操がかかげた言葉である。

曹操の成した偉業は数え切れない程あるが、今の時代から見ても斬新すぎる施策が、建安15年(西暦210年)発令した「求賢令」である。この命令の真価は冒頭の4文字にある。そこには「唯才是挙」と書かれていた。唯(ただ)才のみ是(これ)を挙げよ。つまり、家柄や出自、経歴にこだわらずに、ただ才能のある者だけを推挙するように役人に命令したわけである。

当時は儒教が中国の学問の中心であり、役人は儒教家ばかりであった。孝の道を説く儒教にとって、才能さえあれば家柄なんて関係ないという考えは、あり得ないことであった。しかも、才能がある人物を見逃してしまった役人には、国家に機会ロスを与えたとして厳罰を下すと明文化されていた。

引用元:唯才是挙 - ノスタルジー社会を打倒せよ(その2) - 仙人の祈り

少し前学生さんに就職活動について話を聞いた。なんでも

「おじさんとうまくコミュニケーションをとれる人間から内定が決まっていく」

とのこと。私の考えではそうした企業は間違いなく衰退する。そしてこれは面白いことだが、そういった環境しか体験したことがない人間に採用をやらせると

「口ばかり威勢がいいバカ」

を雇う傾向があることだ。まあそれはいいや。

太平洋と2000年の時を経て同じ言葉を聞く。

経験を積めば積むほど、社員一人ひとり(自分を含む)に何か重大な問題があることに気づく。完全な人間などいない。だから、弱みがないことではなく、強みが何かで人を選ぶことが絶対的に重要だ。誰にでも弱点はある。人によって見つけられやすさに違いがあるというだけだ。弱点のない人間を雇おうとすることは、心地よさを最優先することを意味している。そうではなく、自分が必要としている強みを見つけ出し、その分野で世界レベルの人物を探すべきだ──ほかの重要度の低い領域に弱点を抱えていたとしても。

引用元:【読書メモ】「HARD THINGS」を読んで「困難との闘い方」についてまとめた - Curiosity

こうした態度は、あるいは「マネーボール」に描かれていたアスレチックスの採用にも通じるところがあるかもしれない。

アスレチックスは「試合に勝つために何が必要か」を徹底的にデータから分析し、その要素を持っている人間を安く獲得した。例えスローイングができないキャッチャーであっても獲得する。ファーストにコンバートすればよい。足が遅かろうが、おっぱいが三つあろうが採用する。出塁率などアスレチックスが重視する特性を持っていれば。

日本企業は「リクルートスーツ」(最近しって驚愕したのだが、彼らと彼女が身にまとうスーツは会社にはいったあとは使えないのだそうな)に身をつつみ、おじさん、おばさんと仲良くできる人から採用していく。それは「心地よさを最優先する」ことに他ならない。心地よさを重視することが間違っていると言っているのではない。それを最優先するのが間違っているというのだ。


現実をみるところから始めませんか

2015-09-09 07:31

現実から目を反らすのは楽しい。お兄ちゃんにはかなわないけど、僕は仮面ライダーだ、と現実逃避するのは幼児がやることだが、大人にとってもこれはとても楽しいことである。

さてもうこれで何作目かもわからないがSteve Jobsの映画の試写が行われたらしい。

The top tier critics won’t comment on the Telluride screening of Universal Pictures’ “Steve Jobs.” They’ll hold their reviews for the week when their readership’s interest is highest, just before the film’s Oct. 9 nationwide release.

引用元:Apple: The first reviews of Aaron Sorkin's 'Steve Jobs' - Fortune

「前」評判がすこぶるいいらしい。日本でいつ公開されるかもわからないが期待が高まるというものだ。

しかしまだ「一流批評家」は自分たちのレビューを発表していない。それは日本のように

「気に入らない映画を批判するのは自由のはずだ」と思うだろうけど、オイラも、菊地さんの酷評が公開日の4月17日以降に発表されたのなら、別に黙ってました よ。でも、菊地さんは公開の一週間以上前に1万6千字も使って徹底的に叩いたでしょ。試写かDVDで配給会社に見せてもらったから。
 というのは、劇場公開が決まっている映画をメディアで酷評する際、それを発表するのは公開日当日以降、理想的には公開最初の週末以降、という暗黙のルールみたいなものがあるんですよ。映画批評で食ってる人の世界には。
 (中略)
 そのルールにはいくつかの理由があるけど、まず、単純に試写などでタダで見せてもらいながら公開前に酷評して興行に悪影響及ぼすのは仁義にもとるからというのがひとつ。
  それに、映画を批評する人たちは、好きじゃない映画を批判したくても、映画がコケることを望んでいるわけじゃないから。観客の邪魔をするのは望んでないから。映画の内容は配給や宣伝の人たちの責任ではないから、彼らに迷惑かけたくないから。映画観客が減り、映画業界が衰退するのは望んでいないから。

引用元:『セッション』菊地成孔さんのアンサーへの返信 - 映画評論家町山智浩アメリカ日記

という理由ではない。公開「前」一週間にもっとも注目が高まるときに発表するのだそうな。太平洋の向こう側では。

わが国においてゴミ映画を公開前に「ゴミ映画」と言うことは

「仁義にもとる行為であり、観客を邪魔することであり、配給や宣伝する人に迷惑をかける行為であり、映画産業を衰退させる行為」

なのだそうな。

ゴミ映画では金が儲からないようにし、よい映画に観客がはいるようにしたほうが長い目で見て映画産業の隆盛に寄与すると思うのだが、わが国ではそう言うとおそらくつまはじきに合うのだろう。

こういうメンタリティは今の東芝やソニーと相通づるものがあると思う。ソニーはダメになった、東芝は嘘をついてばかりいる。内部でこう言えば

「いつも後ろ向きな発言しかしない」

と糾弾されることだろう。それでこそこうした組織は平和に存続できる。しばらくの間は。現実から目をそらし「和を持って尊しとなし」摩擦が起こらない判断ばかりしていると、結果として組織は衰退する。今朝見かけた文章だが

困難だが正しい決断をするたびに、人は少しずつ勇気を得る。逆に安易な間違った決断をするたびに、人は少しずつ臆病になっていく。

引用元:【読書メモ】「HARD THINGS」を読んで「困難との闘い方」についてまとめた - Curiosity

粉飾を続けるのも、死に体の会社を「イノベーションを起こしている」といいはることも、周りの人たちを気遣って「ゴミ映画を賞賛する」こともすべては「容易な間違った判断」ではないのだろうか。


「額に社名を刻むこと」

2015-09-08 07:34

多分洋の東西を問わないと思うのだが、「一流企業」に勤めている人は額に社名を刻んでいる人が多い。そういう人は、会社が危機に陥っても心安らかに暮らすことができる。

ブロック玩具で世界最大規模の企業であるレゴ社は2004年に競争の激化により、310億円という大きな赤字に陥りました。当時CEO(最高経営責任者)に就任したのはクヌッドストープ氏でした。そのときに彼と一緒に再建を任された前CFO(最高財務責任者)が言った言葉は次のようなものでした。

 「こんなにひどい業績を見たのは生まれて初めてだ。何もかもひどい。まったく儲けが出ていない。売り上げの予測すら立てられない。なのに、誰もが満ち足りた顔をしている。これこそ不思議だ」(「日経ビジネス」<日経BP社/2月16日号より>)

引用元:ソニー、アバクロ…強いブランドが企業を滅ぼす?過剰な慢心=「全能感」病の罠 (Business Journal) - Yahoo!ニュース BUSINESS

こういうのは、会社が不調なときにようやく語られ始める。しかし会社が好調なときにも額に社名が刻まれていることにはかわりない。こういう態度は基本的に「変身ベルト」を買ってもらい仮面ライダーになったつもりの幼児と変わるところはない。

当時雪印乳業に勤務してこの事件を経験した人物に、鳥越淳司氏という人物がいます。鳥越氏はこの事件のさなか、雪印乳業の営業社員として関西エリアの被害者を回って見舞う仕事をしています。鳥越氏は雪印をのちに辞めて、群馬県にある相模屋食料という企業の社長になり、豆腐製造業として同社を日本一の会社に導きました。

 鳥越氏は雪印時代の経験を振り返り、自著の中で次のような教訓を得たと語っています。「自分が誇っていいのは、自分がやってきたこと、自分にできること」だけだと。

引用元:ソニー、アバクロ…強いブランドが企業を滅ぼす?過剰な慢心=「全能感」病の罠 (Business Journal) - Yahoo!ニュース BUSINESS

なかにはこういう立派な人もいるが、その数は少ない。人間は私も含めてバカなものだ。こういう言葉を心から発することができれば、一流企業の幹部としてまず合格だ。

ソニーがこれから挑戦していくなかで、変わらないものがあるとすれば、全世界のお客様に対してさまざまなイノベーションを盛り込んだコンシューマーエレクトロニクス製品を出し続けること。これはソニーのDNAであり、使命である。期待に応えられるような製品を出したい。

 ハイレゾ対応ヘッドホンの「h.ear」は、いい音を楽しんでもらうという狙いとともに、ファッショナブルに自己表現をしたいお客様のニーズにマッチする感性価値を高めた製品である。

引用元:イノベーションがある製品を出し続けるのがソニーのDNA--平井社長語る (CNET Japan) - Yahoo!ニュース BUSINESS

額に「東芝」マークを焼印した社員ばかりになっている東芝はこれからどこにいくんだろうね。わが国で一旦そういう「文化」ができあがってしまうと「一旦焦土化」しないと再生できないのだけど。


完成形・究極

2015-09-07 06:53

ここまでくるともはやギャグでやっているのではないかと疑いたくもなる。

――Xperia Zというシリーズは続けていくのか。Z4は完成形ではなかったのか。

伊藤氏
 確かにXperia Z4のときに“1つの”完成形とお伝えしたが、それよりもすごい技術が出てきた。表現が難しいが、Xperia Z5はXperia Z1からの「究極の集大成」。それと同時に、次のXperiaにつながる架け橋だと思っている。

引用元:「Xperia Z5は究極の集大成」――ソニーモバイルが語るXperia Z5シリーズの狙い - ケータイ Watch

完成形がでた半年後には究極の集大成。なんというかもう少し頭使って売り文句を考えろといいたくもなる。まあ多分内部で「Xperiaシリーズを続けるか否か」というどうでもいい議論があり、その風向きが変わったとかそいういうことなのだろう。

私の想像では「ソニーがオーディオ部門で成功した”ハイレゾ”を映像の世界にも広げるべきだ!」とか誰かが言ったんだろうな。先日家電量販店にいったら4KテレビとHDのテレビを並べていた。両方とも当家の居間にはおさまりそうもない代物だが、とにかく「見比べてください!」とばかりにおいてあった。私にはどちらがどちらかわからなかった。ましてやスマートフォンの画面においてをや。しかしもはやソニーの行く手を阻むものは何もない。

――このサイズだと、4KとフルHDで区別がなかなかつかない。どのようなところで差が出るのか。

伊藤氏
 4Kで撮って、4Kで見たとき、一番チューンナップされた画質になる。また、過去のコンテンツもそうだし、1080pで撮ったものもアップスケールで見られる。確かに、クオリティを肉眼で捉えにくいという方はいるが、写真や動画を見たときの“艶”や“奥行き感”まで含めて、評価していただける方もいる。4Kという数字に関わらず、一番いいクオリティで映像に集中していただける商品に仕上がっていると思う。

引用元:「Xperia Z5は究極の集大成」――ソニーモバイルが語るXperia Z5シリーズの狙い - ケータイ Watch

ブラインドテスト、、とは言ってはいかんのだろうな。それを言い出したらソニーのオーディオ部門が成り立たなくなってしまう。

時々電車の中でXepriaを使っている人を見る。人にはそれぞれ趣味というものがあり、個人のお金をどこに使おうが部外者があれこれいう筋合いのものではない。とはいえ狂信的Apple原理主義者からみると

「半年ごとに”ものすごい製品”がでてくる会社のを使うのは大変だろうな」

とぼんやり思う。いや、そんなことに頭を使っている場合ではない。私のiPhone4Sはあと1年もつのか。7はいつから手に入るようになるのか。


大日本娯楽供給公社

2015-09-04 07:29

オリンピックのエンブレム問題は遠くからボンヤリ眺めていた。そしてなんの根拠もないが

「このデザイナーも本来の力ではなく”和をもって尊しとなす”で決まったんだろうな」

と思っていた。そしてどうやらそれは正しかったようだ。

#1134golden 五輪エンブレムの選考過程、まだ入選が決まっていない「原案」に組織委員が2度もアドバイスしてできた最終案を審査するって、明らかに広告代理店出身の佐野研二郎ありきの茶番だったとしか思えないじゃん。この期に及んでまだ擁護するの?

引用元:風間新吾(城南信用金ユーザー)さんはTwitterを使っています

人物相関図

引用元:【悲報】マスコミが佐野エンブレム審査委員8人に取材を申し込んだ結果wwwwwwwwwww

最近ではどうか知らないが「二科展」に入賞しようと思ったら、創作活動そっちのけで全国挨拶周りをしなくてはならない、とかそういう話を聞いたな。日本の「デザイン業界」というのもそういう業界なのだろう。

何よりも大切なのは「自分たちの絆」であり、成果物ではない。いや、すばらしい。

というのは、劇場公開が決まっている映画をメディアで酷評する際、それを発表するのは公開日当日以降、理想的には公開最初の週末以降、という暗黙のルールみたいなものがあるんですよ。映画批評で食ってる人の世界には。
 それは明文化されてもないし、そういう話し合いがあるわけでもない。ましてや破っても処罰があるわけでもない。自分も含めてみんな時々破ってしまうけど、映画批評を生業にしている者たちは、最低の仁義として守ろうとしているの。
 だから宇多丸くんや柳下毅一郎くんや井筒監督は徹底的に映画を批判するけど、公開後に自腹で観て、公開後に発表することにしている。菊地さんは「俺は、そんなルール、関係ないし、知ったこっちゃねえ」と言うだろうけど。
 そのルールにはいくつかの理由があるけど、まず、単純に試写などでタダで見せてもらいながら公開前に酷評して興行に悪影響及ぼすのは仁義にもとるからというのがひとつ。
 それに、映画を批評する人たちは、好きじゃない映画を批判したくても、映画がコケることを望んでいるわけじゃないから。観客の邪魔をするのは望んでないから。映画の内容は配給や宣伝の人たちの責任ではないから、彼らに迷惑かけたくないから。映画観客が減り、映画業界が衰退するのは望んでいないから。

引用元:『セッション』菊地成孔さんのアンサーへの返信 - 映画評論家町山智浩アメリカ日記

何度も書くが、この「評論家」の頭の中には「デタラメな評価に騙されて時間と金を無駄にさせられた」観客のことはカケラも存在しないようだ。観客がどういう目に会おうと、「業界の仁義」と「お互い支え合うことが重要」

エンブレムの「選考委員会」のマインドもにたようなものに違いない。いいよもう1964年のエンブレムで。今の日本はお互い仲良くすることに忙しくて「創作」ができないことを世界に対して認めようじゃないか。


「記憶にございません」

2015-09-03 07:13

と言われてロッキード事件を思い出すのは私以上の世代だな。今の若い人にはなんのことかわからんだろうが。

@ssig33 正直な話、知らないですね。そういう噂は確かに何人かいっている人がいるので、元になるような話は何かあるのでしょう。ただ少なくともエンジニアを総務部とか、そんなことやってないんじゃないかな。

引用元:kadongo38さんはTwitterを使っています:

ドワンゴの会長だか社長が、元社員のブログに関するTweetに対して返したコメントである。

最後は総務部を追い出し部屋にしたことです。やめさせたい人間をグループウェアから登録解除し、総務部という名前を持った統合思念体に統一し、PCも共有で1台しか与えない。昨日までエンジニアをしていた人間がスーツを着て社内を歩いて備品の補充をする。そんなことが許されていました。

引用元:ドワンゴは大量退職に関する印象操作をやめろ - hiroki-uemuraのブログ

元となった文章がこれ。でもってそれに対して否定するわけでもなくもちろん肯定もせず単に

「記憶にございません」

と言って逃げる。これが一番「正しい」方法だ。ニクソンも連邦大陪審に出席する誰かに対して「記憶にありません、と言え」と指導していたな。

周りがどう言おうと、社長としてはこれが正しい方法である。もちろん

「自分の会社の社長が、高級寿司食いながらドヤ顔で過去の犯罪行為を自分の手柄話にすり替えているのを聞かされる」

ドワンゴ社員の気持ちを少し考えたりもするが、まあどこの会社でも「社長はそんなもんさ」と割り切っているのだろう。あ、もちろん今私が勤めている会社の社長さんは違いますよ。

ちなみにmixi(笑)で同じく追い出し部屋が問題になった時のこの社長のコメントがこれ。

構造的な赤字構造をそのままにして会社は維持できないから、なりふりかまわず従業員削減を含めて固定費減らすのは急務だし当たり前。311もそうだけど緊急事態での決断を外野がいちいち批判するのは楽ちんだね。

引用元: - kawango のコメント / はてなブックマーク

こういう例が続くと、もう米国並みに自由に首を切れるようにしたほうがお互いいいんじゃないか、と思えてくる。前に勤めていた米国ベンチャーで米国のCEOが

「俺はいつでも従業員を自由にクビにできる。日本じゃそういかないらしいからどうやればいいのか調べて教えろ」

とか誰かに言っていたなあ。正直にやると会社がつぶれるか、自分が牢屋行きになる。「賢く」立ち回ると双方に大きな傷ができる。となるとやっぱり仕組みが間違っているんじゃなかろうか。


結局はコンテンツ

2015-09-02 06:56

大日本娯楽提供公社が存在している限り、この原則は日本で一般的とはならんだろう。しかしおそらく正しいのは

「娯楽で一番重要なのはコンテンツ」

ここで「重要」というのはもっともお金がおちる、という意味でもある。それゆえ美国娯楽提供カンパニーがひしめきあっている米国ではそれぞれが「一番優良なコンテンツ」を作り出そうとしのぎを削っている。

Variety によると、アップルとハリウッド関係者との話はまだ具体的なものにはなっていない模様。ただアップルは来年をめどに独自コンテンツ制作部門を稼働する計画で、その部門を取り仕切る有能な人材の引き抜き準備も進めているとしています。

引用元:アップル、動画ストリーミング開始に向け独自番組を準備中? ハリウッド関係者と交渉 - Engadget Japanese

やはりというか、Appleもそれを考えているらしい。TVばなれがどうとか言ったところで「あまちゃん」ができれば皆TVの前に座り、そしていろいろなチャンネルで会話をする。不思議なことに大日本娯楽提供公社の構成員はこの単純な原則が理解できないようだ。

しかし

これはチャンスかもしれない。日本においてはエンターテイメント業界においては「娯楽提供公社」への忠誠心(=事務所の都合)が採用の基準。であれば真に才能をもった人はたくさん埋もれているはずだ,,,というのがニコ動とかが目指した世界だったかもしれないのだけど結局そうではないのかな。

話を変える。Appleはどこまで自前でサービスを提供するつもりなのだろう。私は遠からずAppleがキャリアになると考えている。その上で独自のコンテンツを流通させる。おそらくAmazon,Googleも似たようなことを考えているだろう。道路を走るのは彼らが作った自動運転車。10年後、20年後彼らはどんな企業になりどんな戦いをしているのだろう。(そしていつものことだが、日本企業の役割は彼らに良質な部品を供給することだ)


大企業で出世するタイプ

2015-09-01 07:17

確かにこういう人間は出世するだろうなと思う。

課長:「がんばります、とは言いましたが…」

 上司:「あの場(会議)で『がんばります』って言ったことはイコール『やります』という意味ですよ。そうなってるじゃない。じゃないとあの会議は何のためにあるんだ。そんな話は通用しない!数字を落とす(達成できない)のはあり得ない!」

 課長:「実力不足でできなかったんです」

 上司:「やるって言ったのに今さらナニ言ってるの。結果は結果。あんたが自分で(カンパニー)社長に対して、数字を落としたと説明してこいよ」

引用元:東芝現役社員が録音していた「無間地獄」 (3ページ目):日経ビジネスオンライン

ビジネス書には部下のモチベーションがどうとうかいろいろな話がのっているが、まあ多くの企業で行われていることはこんなものだろう。そしてこういうことができるタイプは大企業で出世する。間違いない。

ということは多分東芝の「上の方」にいる人間はここにでてくる「上司」のような人間ばかり、ということになる。それがいきなり

「これまでのような粉飾はせず、正直に報告しろ」

なんて言われてもねえ。想像だが東芝の内部では

「正直ってのはどこまで嘘をつくこと?」

というのが部門間で調整されているのではなかろうか。おおっぴらではなくてもね。その調整をしくじれば失脚する。

室町正志社長は「内部通報が企業風土の改善につながるという意識が社員に出てきた。これに向き合うことが株主の信頼を取り戻すために大切だと思っている」と話した。前向きな話に聞こえるが、それほど不適切会計が社内にまん延していたことの表れといえる。

引用元:東芝、土壇場で混乱増幅 内部通報が相次ぐ  :日本経済新聞

上司に向かって「本当にこと」なんか言えるわけないから内部通報をする。つまり正式に上がってくる「修正決算」は全て嘘なわけだ。そりゃ修正決算もいつまでもまとまらんわな。

だがシニア記者はこの「修正」を「鵜呑みにするわけにはいかない」と考えていた。なぜか。詳しくは今週発売の日経ビジネス8月31日号をとくとお読みいただきたいが、一言でいえば、決算修正にかかわっているのが、東芝と、東芝にまんまと欺かれた新日本監査法人だからである。

 修正の前提となっている調査報告書をまとめた第三者委員会も、東芝が選任した弁護士、会計士で構成されている。つまり依然として東芝による「自作自演」が続いているのだ。

引用元:東芝会見、やっぱり当ててもらえませんでした:日経ビジネスオンライン

もう東芝は上場廃止し、社内の検査は東芝と関係ないところが行い、(米国でいうところのSEC?ゴルゴ13でそんな場面を見たような気がする)罪をおかした連中は残らず刑務所に放り込む。こうするべきだと思うが、「和をもって尊しとなす」の日本ではそうはいかんだろうな。

しかし

私は米国流の「ルールを構成に守った上で正面から殴り合う」という文化が正しいと思う。スポーツにしてもビジネスにしても。これをきっかけにそうした透明性導入の機運が、、とは聞こえてもこないねえ。