風立ちぬ

2015-10-26 06:31

いや、某老人の映画のことではなく、その半分ベースとなった堀辰雄の小説のことだ。恥ずかしながらいままで読んだことがなかったのだ。

昨日ふとあの映画の中で主人公が読んでいる詩が頭に蘇る。しらべてみて小説を読んでいなかったことに気がついた。さっそくiPhoneで読み出す。

読みながら

「これは21世紀ではなりたたんな」

と思う。それは結核の治療方法が進歩したとかそういう問題ではない。主人公と女性は景色を眺め、お互いのことを思いやり会話を交わす。

これを今にもってくれば、女性はFacebookを閲覧し、書き込むのに忙しく主人公の視線など気がついちゃいない。お互い「ご飯食べる?」とかそういう用事は口にするけどお互いのことなど考えもしない。主人公は主人公で

「サナトリウム来たよ!(ハート)」

など写真をとってTweetばかりしている。かくして世の中はケータイショーセツの世界に染まっていくのであった。

それは極端な意見だ、という人は我が家に来るとよい。今や少しでも手が空けば奥様はFacebookを閲覧し、書き込むことに全精力を費やしている。家族に背を向け、一人でネットの世界に向き合っている。

「風立ちぬ:2015」という文章をかけるような文才があると良いのだけど。