バブルの楽しみ

2016-03-16 07:07

根拠のない熱狂-これが私が考えるところのバブルだ。いわば宴会でよくわからず大盛り上がりしているような状態。だから場がおひらきになったり、翌朝太陽の光にさらされるとそれはあとかたもなく消え、二日酔いの痛みが襲ってくる。

バブルは楽しいし、誰が馬鹿か、そうでないかを見分ける格好の機会にもなる。何度も書いているが、碁でコンピュータが人間のチャンピョンに勝った!シンギュラリティだ!と本気で言っている人は不勉強かバカである。などと私が書いても説得力がないので、その碁のプログラムを開発した二人の言葉を聞こう。

20年後、われわれの社会はどうなっているのだろうか? Siriのようなオペレーティングシステムと恋に落ちる映画『her』のようなことも現実に起こりうるのだろうか? 「それはSFですよ」とレグは言う。

「いつかはそこへ行き着くのか? そうであればいいとわたしも思います。でも、ほとんどの人工知能は人間のようにはならないでしょう。言語とは極めて洗練されたものだからです。わたしたちがいまつくっているのは、昆虫程度のものだと考えてください。数年後には、ネズミをつくれるようになるかもしれません。わたしたちの人工知能はスペースインベーダーをマスターし、ブロック崩しもこなしますが、パックマンにはまだ苦戦しています。現在の技術レヴェルと、哲学についてじっくり議論できるような人工知能との間には、まだまだ大きなギャップがあるのです」

ハサビスも同意する。「人間と同等の汎用人工知能ができるのは、まだ何十年も先の話です。でも5年か10年後には、何かしら役に立つものはできると思います。ぼくたちはいま、梯子の1段目に上ったところです。この先10や20のブレイクスルーを起こさなければ、その梯子が全部でいったい何段あるのか、そして『知性とは何か』を解明することはできないでしょう」

引用元:DeepMind:AlphaGoをつくった「4億ドルの超知能」はいかにして生まれたのか? « WIRED.jp

いつも思うことだが、馬鹿は騒ぐことはできても、何か意味があるものを作ることはできない。つまり騒ぎの対象になっているものを作った人は誰よりもその限界についてちゃんと認識している。(こういうバカ騒ぎは別だよ)

かつてSONYはアイボというロボット犬を販売していた。そして開発者達は誰よりも「そのロボット犬の見せる可愛い仕草が、たんなるプログラムである」ことを知っていた。

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いつものことであるが、このAlpha GOと人間の試合は「手のひらを返し、当惑する解説者」を見るのが楽しい。昨日の試合は前半で

「あ、これはセドルさんの勝ちです。もう取り返せません。人間相手ならセドルさんは”これはもう決まり”といって他の試合を見にいきます。そういう人ですから」

と解説者が言った。その1時間後に見たときは沈痛な声で

「なんでこうなっちゃったんでしょ」

と言っていた。結局最後の最後までどちらが勝つかわからない状況だったようだ。いや、楽しい。